海外ミュージシャンの逸話・エピソードをまとめてみた(その8)

海外ミュージシャンのものすごくどうでも良い、でもなんだかおもしろい逸話・エピソードがそこそこ集まったので、ひさしぶりにまとめて記事にしてみましょう。

 

ベック

ミューテイションズ

ミューテイションズ

  • アーティスト:ベック
  • ユニバーサル
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・つい先日開催された来日公演にて「じつは『Mutations』(※メジャー3作目のアルバム)のジャケのフォントはPARCOのロゴにインスパイアされたんダヨーン!」と語ったらしい。さすがオシャレさんのベックらしいエピソード。「じつは、きぬた歯科の看板のフォントにインスパイアされて……」とかだったら誰もがズッコケてたに違いない。

 

モリッシー

ザ・ベスト・オブ・モリッシー<ヨウガクベスト 1300 SHM-CD>

ザ・ベスト・オブ・モリッシー<ヨウガクベスト 1300 SHM-CD>

  • アーティスト:モリッシー
  • ワーナーミュージック・ジャパン
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・本シリーズ2度目のご登場。モリッシーといえばベジタリアンとして有名だそうで、ツアーのケータリングには肉類は一切なし。ついでに魚や乳製品もなし。なので、日本来て「肉食いてー!」ってなったローディーはバレないように吉牛にこそこそ駆け込んでいたらしい。つーか私、モリッシーのことあんまり詳しくないんだが、こないだ来日したときにファンの方々が投稿されていた氏に関するエピソードツイートなりポストなりポテトなりを拝見して「この人ってなんというかいろんな意味ですごいんだな…」ってなった。なんならオモシロエピソードだけで本一冊つくれるのでは。

 

アレクシスオンファイア

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・「嫁ブサイクでした」の曲つくった人たち。ネットで発見したのであろうか、空耳の映像をメンバーやファンが見てブチギレたらしい。まあ、日本語わからない人らからしたら「馬鹿にしてるのかコノヤロー!」ってなっちゃうよなあ……。

 

ポール・レアリー(バットホール・サーファーズ)

・レッド・ツェッペリンのベーシストの人の乳を掴んでブチギレられたらしい。そして今も許されておらず後悔しているらしいが、本当に「掴んだ」だけなのか。「許されてない」ぐらいだからなんなら「激しく揉みしだいた」のではないか。まあ、こればっかりはじっさいの現場を目撃したわけではないのでなんとも言えない。

 

シェイン・マガウアン(ザ・ポーグス)

・U2ボノ所有のガラス張りのゲストハウスに住んでいたときに近くを通過する列車に向かってあろうことかポコチンを振っていたらしい。なんでも「乗客がボノが振っているものと思い込むことを期待してしょっちゅうやっていた」とのこと。そんなことを「期待」するな。ちなみにシェインの嫁曰く、その後、ボノから「出てってくれ」と言われたらしい。当たり前だ。おもしろすぎる。

 

フィル・コリンズ

・武蔵野のマンション持ってる人でガチのファンがいるらしい。

 

ニール・ヤング

・「ギターとか機材を持ち運ぶのに便利だから」という理由で霊柩車をマイカーにしていた時期があったらしい。ソースは↓の松村雄策氏の著作。

 

以上。疲れた。おしまい。

柴田聡子『Your Favorite Things』収録曲、ベスト5

柴田聡子のニューアルバム『Your Favorite Things』が2月28日の0時ぴったりにサブスクで配信開始になった瞬間、飛びつくようにSpotifyを立ち上げて再生した。基本的にどのミュージシャンのどのアルバムも少なくとも10回以上は聴かないとなんだかよくわからなかったりする鈍感な私だが、今回は珍しく一聴して「いやーこれは素晴らしいアルバムだ。というか、なんなら柴田聡子の最高傑作じゃないか」と思った。

それから3日後の3月2日、『Your Favorite Things』のリリースツアー初日のライブを観るために恵比寿リキッドルームに行った。

 

印象的な場面がいくつかあった。まず、ニューアルバムからの曲のほとんどはいつものようにギターを持たず演奏はすべてバンドに任せてハンドマイク片手に歌っている。MCもいつものようにどこかぎこちないような感じはなく、じつに堂々としていて超気合い入ってる感まんまんだ。そして、すべての力を使い果たしたかのようにアンコールを行うことなく、風のように颯爽と去っていった。

なんだこれは。なんだか新鮮だ。こんな柴田聡子ははじめて見た。そしてカッチョいい。終演後、「いやー素晴らしいライブだった。というか、これまで観た柴田聡子のライブでダントツのデキだったんじゃないか」と思った。

とにかく、ニューアルバムを一聴して、そしてリキッドルームでのライブを観て思ったのは、「なんかこれまでとは違うフェーズに到達した感がある」ということだった。「一皮剥けた」というか「垢抜けた」というか「化けた」というか、とにかくいままでの柴田聡子とは違う。

アルバムのオープニングナンバーでありライブでも1発目に披露された「Movie Light」のイントロを耳にした時点でまず唸る。荘厳で優雅なストリングスと凛としたピアノの音色が重なり、ひたすら美しい音像が広がる。これまでの柴田聡子の作品とはあきらかに毛色が異なる楽曲だ。というか、全体を通しても手癖感が一切感じられない。こりゃ完全におニューな柴田聡子じゃないか。

いまにして思えば前兆はあった。

去年の夏に家主というバンドとのツーマンライブを観に行った。そしたら、バンドのメンバーがいつもの「柴田聡子inFIRE」ではなかった。

もちろん、FOHはDUB MASTER Xだった。さらにギターの岡田拓郎の姿も確認できた。

ただ、ベーシストはかわいしのぶではなかった。ドラマーもイトケンではなかった。柴田聡子の盟友でありコーラスとパーカッション担当のラミ子もいなかった。

このアルバムの製作にもこの3者は関わっておらず、代わりに参加しているのは、まきやまはる菜というベーシストと、浜公氣というドラマーである。そして今回のツアーも柴田聡子、DUB MASTER X、岡田拓郎、まきやまはる菜、浜公氣、さらにキーボード谷口雄というラインナップになっていた。

つまり、これは建設的なメンバーチェンジだったのだろう。また違う段階に行くための必要なステップしてこの決断に至ったのだろう。

マンネリや行き詰まりを感じさせる前に違う所に行ってしまう。現状に満足せず、これまでとはまた違うタイプの「いい曲」をつくる。そんなような執念のような思いが感じられる力作感みなぎるアルバムになっている。

なにしろ素晴らしい。紛れもなく最高傑作だわこれは。

というキモい妄想込みの感想文はいいかげんこれぐらいにして、例によって私個人の独断と偏見で選ぶ「柴田聡子『Your Favorite Things』収録曲、ベスト5」を発表したい。収録曲は以下である。

Your Favorite Things

Your Favorite Things

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  1. Movie Light
  2. Synergy
  3. 目の下
  4. うつむき
  5. 白い椅子
  6. Kizaki Lake
  7. Side Step
  8. Reebok
  9. 素直
  10. Your Favorite Things

以上10曲。このなかからベスト5にランクインするのは果たしてどの曲なのか。

それでは早速行ってみよう。

 

5位「Synergy」

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まず5位は弾けるようなポップセンスが爆発しているこちらの曲。ファンキーなバンドアンサンブルと色鮮やかな電子サウンドの融合っぷりがじつに心地よい。柴田聡子の十八番である多彩なコーラスワークも光に光りまくっていてウキウキ気分になれること請け合いのナンバーだ。

 

4位「Your Favorite Things」

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続いて4位はアルバムのタイトルトラックであるこの曲。ここまでもの悲しさを感じさせるバラードははじめてではないか。様々な仕掛けが施されたエレクトロニクスサウンドがおもしろいし、アウトロのストリングスがまたとんでもなく素晴らしい。儚くて、美しくて、たまらないほどのせつなさを感じさせる名バラードである。

 

3位「Reebok」

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3位はこちらも柴田聡子にとってはじめてのタイプの曲と言っていいだろう、シティポップ調のオシャレな雰囲気がまんまんなこの曲にしたい。個人的にはこのアルバムのなかでもとびきりに素晴らしいメロディラインが展開されていると思う。何度でも聴き返したくなるような中毒性が強烈な一品だ。それにしても、地味めのフォークソングをやってた活動初期のころがもはや別人のように思えてしまう。

 

2位「Side Step」

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2位のこの曲はなんとディスコだ! ダフト・パンクの「One More Time」を換骨奪胎したような感じがあって、なにしろアゲアゲな多幸感がハンパない。実際、リキッドルームではこの曲をやったときが一番盛り上がった記憶がある。地味めのフォークソングをやってた活動初期のころがもはや別人のように思えてしまう(2回目)。

 

1位「Movie Light」

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そして栄えあるナンバーワンを勝ち取ったのはアルバムのオープニングを飾るこの曲、「Movie Light」だ。なんといっても曲名がこんな感じだし、この曲はエンニオ・モリコーネを意識したんじゃないだろうか。イントロのストリングスとピアノの音色が聴こえてきた瞬間から一気に持ってかれる。ひたすらに美しい。間奏で展開されるスライドギターもまた良い。メロディアスで情感たっぷりな雰囲気をより一層盛り上げてくれる。なにしろ沁みる。これこそ泣く子も黙る大名曲だ。

 

以上。疲れた。おしまい。

クーラ・シェイカー『Natural Magick』収録曲、ベスト5

誰かがニューアルバムをリリースして

「ま、なかなかという感じかな」

ってなって、で、その「なかなかのアルバム」のリリースツアーが開催されて、ライブを観に行ったら思いのほか素晴らしくて、「なかなかのアルバム」をあらためて聴き直してみたら、

「いや、これはとても良い……というか傑作じゃないか!」

みたく手のひらを返すことが私には往々にしてある。私が鈍感なアホだからである。

先日の2月15日、EXシアター六本木にライブを観に行ったときも同様のことが起きた。その日、件の会場で開催されたのは、新作『Natural Magick」のリリースツアーのためにやってきたクーラ・シェイカーのライブだった。

 

まあ、良かった。なにしろ新作からの楽曲が全盛期の、具体的に言えば1stアルバムの『K』や2ndの『Plesants, Pigs & Astronauts』に収録されている数々の名曲と比べても全然負けてねえ。そのことに万感の思いのようなものが込み上げてきたというか、とにかくめちゃくちゃ感動した。

なんといってもどの曲もポップで瑞々しいエネルギーが満ち溢れている。さらにクーラ・シェイカーといえば、あの腰にグッとくるグルーヴィなバンドアンサンブルだ。これも完全に復活しているじゃないか。

この日、新曲を生で聴いた客の反応もすこぶる良く、大いに盛り上がっていた。私自身、「まあ、「Hey Dude」や「Shower Your Love」に比べたら…」みたいになるかと思ったら全然そんなふうにはならなくて、なんならもっと新作からの曲が聴きてえよってなってしまったぐらいだ。というか、リズムセクションの緻密度や楽曲のバラエティという意味では『K』よりも上ではという気がするし、なんなら最高傑作と言っても言い過ぎではないのかもしれない。

最高傑作の1stのリリースからおよそ30年後にそれを更新するアルバムをつくりあげたバンドなんて例がないんじゃないか。

まあ、私は古今東西の音楽家の物語をすべて把握しているわけではないのでよくわかりませんが、なんにせよ、再結成したもののその後はパッとしない作品ばかりで、もはやファンからも「そういやいたよねー」みたいな感じにどん底まで落ちていた姿を見てきた者として、これはもう、感無量と言うしかない仕上がりのアルバムになっている。

というわけで、完全復活を祝して「クーラ・シェイカー『Natural Magick』収録曲、ベスト5」を発表したい。収録楽曲は以下のとおりである。

ナチュラル・マジック (通常盤) (特典なし)

ナチュラル・マジック (通常盤) (特典なし)

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  1. Gaslighting
  2. Waves
  3. Natural Magick
  4. Indian Record Player
  5. CHUYA LIYA - You Stole My Heart
  6. Something Dangerous
  7. Stay With Me Tonight
  8. Happy Birthday
  9. Idon'twannapaymytaxes
  10. F-Bombs
  11. Whistle and I Will Come
  12. Karifornia Blues
  13. Give Me Tomorrow

この13曲のなかからベスト5にランクインする曲ははたしてどれか。

それでは早速行ってみよう。

 

5位「Indian Record Player」

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今作でバンドに復帰したジェイ・ダーリントンのオルガンがなにしろ良い。カッチョいいリフ満載のエレキギター、タイトに突き進むリズム隊との絡みが絶妙。クーラ・シェイカーならではのうねるようなバンドアンサンブルが光るロックチューンだ。

 

4位「CHUYA LIYA - You Stole My Heart」

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こちらは古いインド映画に使われていた曲のカバーらしく、つまり、インド音楽とロックの融合というクーラ・シェイカーの真骨頂が遺憾なく発揮されたナンバーになっている。クリスピアンとインド人女性によるダブルヴォーカルがなんだかムーディな味わいがあるし、途中マカロニウエスタン風の展開になるのもおもしろい。「Hush」に引けを取らない名カバーである。

 

3位「Waves」

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こちらはイントロのシタールとギターリフを聴いた瞬間、「来た来たー!」と一気に持っていかれること必至のナンバーだ。キャッチーなメロディもいいし、縦横無尽に躍動するリズムセクションも、クリスピアンの気合い満々なヴォーカルも、なにもかもがカッチョよくて嬉しくなってしまう。アルバムからの先行配信1発目に選ばれたのも納得の出来。

 

2位「Natural Magick」

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横ノリのグルーヴィなバンドアンサンブルが最高に気持ちよすぎる。もちろん、聴き馴染みの良いポップ性も抜群だ。そしてワウギター! いやあ、いいねえ。クーラ・シェイカーといえばやっぱりこういう曲だよなあ。

 

1位「Give Me Tomorrow」

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そして1位はアルバムのラストを飾るこちらの曲、「Give Me Tomorrow」だ。バンドの完全復活を高らかに宣言するような祝祭感溢れるバンドサウンドがもうとにかく良い。素晴らしい。グっとくる。泣ける。文句なしの一等賞だ!

 

以上。疲れた。おしまい。

ビートルズの2分以内で聴けるタイパ最強の名曲、ベスト5

どうやらいまの時代、音楽になにより求められているのは「タイパ」らしい。

「タイパ」=「タイムパトロール」ではない。費やした時間に対する満足度の度合いを示す言葉、すなわちこれを「タイパ(タイムパフォーマンス)」と呼ぶ。

ようするに、

  • いろいろとやるべきことがあり忙しい。
  • なので、音楽を聴くにしてもできるだけ時間を節約したい。
  • イントロもギターソロもいらん。だるい。
  • とにかく短い時間で手っ取り早く満足させてほしい。

みたいな音楽がZ世代と呼ばれる若者たちを中心に求められているらしい。

私個人としては音楽を聴いて「気持ちよくなりたい」のになぜ時間を節約したがるの? と思わないでもない。

とはいえ、若者は忙しい。私のような独身の中年男は基本的に仕事をしてあとはオナニーをするだけののんきな生活をしていればよいが、とりわけ高校生をやってる若者などは、まず勉強をしなければならないし、それからゲームをして、アニメを観て、アルバイトをして、さらに回転寿司屋の醤油ボトルの注ぎ口をペロペロ舐め回す動画をSNSにアップして、オナニーをしてと、息つく暇もないほど毎日が忙しく、だからこそ短時間で満足できる音楽が求められているのだろう。

そんなタイパを重要視する若い音楽リスナーにとってまさにおあつらえ向きと言うべきバンドが存在する。ロック・ミュージック界の王様、ビートルズである。

じつはビートルズはトータルタイムが短い楽曲がとても多い。とくに中期と呼ばれている7作目のアルバム『Revolver』あたりまでは3分を超える楽曲はほぼほぼ皆無である。つまり、カップラーメンが出来上がるのを待っているあいだにひとつの楽曲を聴けてしまうのだ。しかもビートルズなのでいずれの楽曲も素晴らしい。

しかし、3分でもまだ長いという人がいるかもしれない。ならば2分だ。

というわけで、今回は「ビートルズの2分以内で聴けるタイパ最強の名曲、ベスト5」を発表しようと思う。

それでは早速行ってみよう。

 

5位「Why Don't We Do It In The Road? 」(1分42秒)

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5位は10作目のオリジナルアルバムとして2枚組でリリースされた通称『White Album』からのナンバーで、作詞作曲はポール・マッカートニーである。まず注目してほしいのはギターソロがない点だ。イントロだってたったの7秒なのでほぼないに等しい。なにしろかったるくなくて大変よい。というか、この曲には展開らしい展開すらほぼない。基本的にポール・マッカートニーがただひたすら「Why Don't We Do It In The Road?(道路でヤっちまおうぜ?)」と叫んでいるだけの曲である。なのに、めちゃくちゃポップでカッコよいというコスパ抜群のナンバーである。

 

4位「I'm Happy Just To Dance With You」(1分57秒)

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3作目の『A Hard Day's Night』に収録されている曲で、作詞作曲はジョン・レノンとポール・マッカートニー、リードヴォーカルはジョージ・ハリスン。この曲もイントロはわずか6秒でやはりあってないようものだし、もちろんギターソロもないので安心してほしい。すこぶるキャッチーなメロディライン、鮮やかなバッキングコーラス、歯切れの良いバンドアンサンブルがじつに気持ちいい一品である。

 

3位「For No One」(2分00秒)

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イントロなしギターソロなしというタイパ最高すぎる楽曲である。前述したアルバム『Revolver』に収録されている曲で作者はポール・マッカートニー。フレンチホルンの優雅な響きがとろけるように甘くてひたすら美しいメロディをより一層光輝かせている。夢見心地な気分になれること請け合いの名曲だ。

 

2位「I Will」(1分46秒)

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いよいよトップ2の発表である。まず2位は『White Album』に収録のポール作のナンバーだ。こちらもイントロやギターソロはない。思わずガッツポーズをしてしまった人もいるだろう。それはどうでもいいが、まず、なんと言ってもポールならではの耳によく馴染むメロディがとんでもなく素晴らしい。さらにポール自身の声によるマウスベース、ポンポコ聴こえてくるパーカッションも効果的でじつに味わい深い心地よさがある。短い時間のなかに様々な音楽的アイデアが敷き詰められている至高のポップソングである。

 

1位「Misery」(1分49秒)

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そして栄えある1位に輝いたのはこの曲、「Misery」だ。1stアルバム『Please Please Me』収録曲でジョンとポールによる共同作。なにしろデビュー作だけあってジョンのヴォーカルもバンドアンサンブルも若々しい瑞々しさが溢れていてもうたまらん。イントロは10秒でやや長いが、ギターソロなし、最高にポップでロックでキュートな初期ビートルズの魅力がたっぷりと詰まっているタイパ最強の名曲である。

 

以上。疲れた。おしまい。

2024年1月の消化物(音楽、映画)その1

晩飯にステーキを食べに行きます。私はニンニクが好きなのでステーキにめちゃくちゃがっつりニンニクを塗りたくります。そしてお腹を壊したくないので食後に必ず正露丸を飲みます。翌日めちゃくちゃ下痢してます。なぜですか。先月もぐもぐした音楽と映画の感想文です。

 

【音楽】ザ・スマイル『Wall Of Eyes』

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レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドとトム・スキナーさんというドラマーの人が結成したバンドの2ndアルバムです。前作同様、このバンドとレディオヘッドが大きく異なる部分としてはもちろん「ドラマーが違う」という点が挙げられるわけですが、逆に言うと「ドラムが派手なレディオヘッド」というか、なんか「それだけ」な気が今回もしてしまいました。なにより私がこよなく愛するトム・ヨークならではのキャッチーで美しくて何度も聴き返したくなるようなメロディが展開されている曲がないような気がするのが残念でなりません。うーん。まだ聴き込みが足りないのかなあ。

 

【映画】『ラ・メゾン 小説家と娼婦』

小説家やってるおねーちゃんが「娼館を舞台にした新作の小説を作るぞ! よっしゃ、いっちょ潜入取材してみっか!」つってマジの風俗嬢になっちゃうお話です。パイはもちろん、珍はがっつりめだし、満も「具が見えてるのでは…」みたいなシーンがわんさかで、相当気合いが入ってました。最終的に「娼婦とはなんぞや?」みたいな人生訓っぽいことが提示されますが取ってつけた感が否めず、「ほぼポルノ」という感じでした。まあ、エロかったです。いろんな意味でとても満足しました。

 

【映画】『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』

韓国軍の兵士やってるにーちゃんが1等当選した宝くじを拾って「今日から俺は大金持ちだ!」つって大喜びしてたら突風でくじが舞ってあれよあれよと軍事境界線を飛び越えてくじは北朝鮮の兵士の手に渡って……みたいなお話です。北と南の人が宝くじをきっかけに一悶着を起こし、やがて友情が……みたいなことになっていくのですが、とてもおもしろかったです。なにしろギャグと人情劇のバランスがちょうどよろしい。言ってみりゃおとぎ話なのですが、リアルな世界でもこういうことをきっかけに仲良くなれるといいねと思わされる、すこぶるほっこりできる楽しい映画でした。好き。

 

【映画】『NOCEBO/ノセボ』

原因不明の病を患っているデザイナーのおばはんのもとにある日雇った覚えがないフィリピン人のメイドが現れてまあ細けえことはいいやととりあえず住み込ませてメシ作らせたり娘の学校の送り迎えとかさせてるうちに「私の素晴らしい民間療法であなたの病気を治してあげる!」みたいなことになってって……みたいなお話です。よくある悪魔憑きホラーの亜種みたいなもんかな、と思ったら全然違いました。メシ作ったり食ったりのシーンとかでも終始なんだか不穏な空気が流れていて、「なんだろうなこれは…」と思ってるうちに異世界に堕ちていることに気づく、という仕掛けがなかなかに鮮烈でした。一昔前のホラーっぽいレトロでカルトな雰囲気も味わい深くて良し。これもかなり好きなやつでした。

 

【映画】『コンクリート・ユートピア』

ざっくり言うとユートピアを作ろうと思ったらディストピアになっちゃったデヘヘ、みたいなSF映画です。「世界を襲った大災害」とかポスターにも書いてますが、ごくごく小規模な地域しか基本的に映らないのでなんだかスケール感がいまいち伝わってきませんでした。テーマ的に派手なCGとかを売りにするような作品ではないのは理解できますが、にしても「終末っぽさ」を感じさせるようななにかがもう一捻り加えられてても良かったように思いましたし、なんだかやや規模がデカい痴話喧嘩を眺めているような気分になってしまいました。あとカラオケのシーンがなんだかツボでそこだけ笑ってしまいました。

 

以上。続きは次回。

疲れた。おしまい。

ZAZEN BOYS『らんど』収録曲、ベスト5

正直言って『すとーりーず』はとくに思い入れのあるアルバムではない。

失敗作と言うつもりないし、好きな曲だってないではない。ただ、ナンバーガール時代を含めて、それまで向井秀徳の新作を聴いたときには必ず「そう来たか!」みたいな驚きがあった。『すとーりーず』にはそれがなかった。

いくつかの曲は過去のZAZEN BOYSの焼き直しのように聴こえたし、いくつかの曲はナンバーガールの焼き直しのように聴こえた。ライブで定番となっている「ポテトサラダ」は、向井秀徳らしいユーモアが発揮されたZAZEN BOYSの代表曲のひとつと言えるだろうが、「ボールにいっぱいのポテトサラダが食いてえ」というリフレインは、もうとくに言いたいことがなくなってしまったがゆえの苦肉の策のように思えたし、個人的には向井秀徳の創作活動にはじめて行き詰まりのようなものを感じてしまった。

事実、私はそれまでは新しいアルバムがリリースされてツアーが開催されるとなると必ず駆けつけていたが、『すとーりーず』リリース時のツアーには行ってない。

5年前の2019年、ひさしぶりにZAZEN BOYSのライブを観に行った。10年ぶりのZAZEN BOYSだった。そんなに観に行ってなかったのかよ…。

とはいえ、そもそもこのライブを観に行くことにした理由は、当時再結成したばかりのナンバーガールのライブの抽選にことごとく外れて、「だったら代わりというわけじゃないけど、ひさびさにZAZEN BOYSを観に行こうかな」という、言ってしまえば消極的な選択だった。

で、10年ぶりのZAZEN BOYSである。

これがとても良かった。

なにしろ、変わってねえ。いい意味で変わってない。『すとーりーず』以降、新作のリリースがないのにダレたところが一切ない。というか、相変わらずギラギラしている。

いい意味で変わっていた部分もあった。新ベーシストとして数年前に加入していたMIYAだ。全身で激しくアクションしながらグルーヴィなベースラインを刻んでいて、なにしろ存在感がすごい。なんだか新鮮だ。10年ぶりというのもあっただろうが、MIYAのパフォーマンスがバンドに新たな風を吹かせているのはあきらかだった。

しかし、これだけでは終わらなかった。なんと待望の新曲が演奏されたのである。しかも3曲だ。

ライブではじめてお披露目される曲だという。10年ぶりにライブ観に来て初披露の新曲3曲聴けちゃうとか俺はなんてラッキーなんだ。以下がそれらの曲名である。

「公園には誰もいない」

「杉並の少年」

「黄泉の国」

ZAZEN BOYSのニューアルバムが遂にリリースされた。前作『すとーりーず』以来、12年ぶりの新作である。もちろん、上記の3曲も収録されている。

らんど

らんど

  • アーティスト:ZAZEN BOYS
  • SPACE SHOWER MUSIC
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メインとなっているのはお馴染みの金属的な楽器音がじゃきじゃき鳴り響くロックバンドアンサンブルである。まず、向井が念仏のように呟き、ときに咆哮するファンクロックがある。ナンバーガールを思わせるセンチメンタルなメロディが印象的なロックナンバーもある。また、それらをミックスしたような曲もある。つまり、向井秀徳のキャリアを集大成したような作品になっている。

テンション、緊張感も高い。満を持して、みたいなものがビリビリ伝わってくる。10年そこいらぶりに重い腰を上げたのだから、そりゃ生半可な気持ちでレコーディングに臨んだわけではなかったはずだ。

なにかZAZEN BOYSにとって特別新しいことをしているわけではない。それでいてマンネリを感じさせないどころかじつにバラエティに富んでいるように聴こえるのは大きく分けて3つの理由があるように思える。

まず、どの曲も完成度がすこぶる高いというのがある。さらに向井の歌唱力があきらかに上達していて表現力や深みが増したのも大きい。最後のひとつはやはりMIYAである。お馴染みのアンサンブルのなかに新鮮な調味料が加えられているような感覚がある。

というわけで、なにだらだらとわかったような口ぶりで書いてんだクソでも食ってろカスと言いたくなるであろうが、本作『らんど』のお気に入りの曲を例によってベスト5形式で選んでみようと思う。

収録されている曲は以下だ。

1.DANBIRA

2.バラクーダ

3.八方美人

4.チャイコフスキーでよろしく

5.ブルーサンダー

6.杉並の少年

7.黄泉の国

8.公園には誰もいない

9.ブッカツ帰りのハイスクールボーイ

10.永遠少女

11.YAKIIMO

12.乱土

13.胸焼けうどんの作り方

このなかからベスト5にランクインする曲は果たしてどれなのか。

それではさっそく行ってみよう。

 

5位「バラクーダ」

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タイトで粘り気があるバンドサウンドの黒光りっぷりがハンパない。つまり、ファンクミュージックの影響がはっきりと出ている曲である。とりわけ印象に残るのが向井のヴォーカルで、ソウルシンガー風のスタイルを完璧にモノにしている。それでいてThis is 向井秀徳と言うしかない歌唱を聴かせてくれるのがまた嬉しい。12年のあいだに培われた進化が窺える曲だ。

 

4位「黄泉の国」

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ZAZEN BOYSといえば変拍子! なにしろノリにくいし身体を動かしづらいったらありゃしない。なのにじつに心地よい、という従来のZAZEN BOYSの真骨頂が詰まったファンクナンバーである。と同時にやはりここでも向井の歌唱の充実ぶりが際立って聴こえる。なにしろ色気がとんでもない。黒光り感まんまんでセクシーでなんだかエロい。いやあ、いいねえ。

 

3位「永遠少女」

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『らんど』のリリースに先駆けて配信されたナンバーで、はじめて聴いたときはひさびさに音楽を聴いて鳥肌が立った。キレ感、タメ、タイミングが絶妙かつ刺激的なロックンロールであるのもさることながら、歌詞がまた強烈で否応なしに耳に突き刺さってくる。なんでも向井曰く「この世はこういうもんだとはっきり言ってやろう」という気持ちで綴られた言葉だという。つまり、諸行は無常である、ということを歌っている曲である。12年経ってもブレてない。向井秀徳は向井秀徳だった。そのことが確認できてなんだか嬉しくなった。

 

2位「ブッカツ帰りのハイスクールボーイ」

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なんといっても、はっきりと情景が浮かび上がる歌詞が秀逸で、じつに味わい深い余韻が残る。というか、ナンバーガールっぽい。しかしナンバーガールっぽいが完璧にZAZEN BOYSの曲になっているのが素晴らしい。それにしても、「唐揚げ」とシャウトしてこんなに様になる人間は向井以外にいないだろう。

 

1位「YAKIIMO」

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これもナンバーガールっぽいというか、具体的に言えばナンバーガールの「SUPER YOUNG」の語り部分を発展させたような楽曲である。ときおり聴こえてくる「石焼き芋」のフレーズがじつに効果的だ。この曲もやはり「諸行は無常」の世界が濃密に描かれていて、美しくてせつない。ひんやりとした感触もある。やはりこの男、ブレてない。とにかく素晴らしいと言うほかない名曲である。

 

以上。疲れた。おしまい。

2023年の曲、ベスト5

2023年が終わった。音楽インポになってひさしい私だが、なんだかんだで好きになれた新規ミュージシャンに出会えたし、ライブもかなりの本数観に行けたし、いくつかの好きな曲にも出会えた良い年だった。良い年だったとしたい。というわけで私の私による私のための2023年の曲ベスト5がこちらである。

 

5位.ボーイジーニアス「Not Strong Enouph」

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「3人の著名シンガーソングライターがトリオを組んだスーパーバンド」と言われても正直誰ひとり知らんし、さんざ絶賛されていた1stフルアルバムもあんまりピンとこなかったが、この曲は好きだ。気に入った。なにしろ瑞々しいバンドサウンドが良いし、キャッチーなメロディも、眩いコーラスワークスも、いずれも素晴らしく、それでいて暑苦しさとは無縁なのがとてもよろしい。なんかよくわからんが広大な平野を軽やかに進んでいくような解放感があり、これぞアメリカンロックという趣があるというか、ホールの『Celebrity Skin』という私の大好きなアルバムを彷彿とさせるというか、とにかくすこぶる良い。

 

4位.ザ・ウェイヴ「You’re All I Want To Know」

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ブラーのグレアム・コクソンとローズ・エリナー・ドゥーガルという人が結成したユニットのデビューアルバムからのナンバー。この曲の魅力はなんといっても「ちょっと暗くてオトナな雰囲気」に尽きる。まず、グレアムのギターがなんといっても素晴らしい。静と動を巧みに行き来するギター奏法でもって、ただ単に暗いだけではない、メロウな味わいだったり静謐な美しさだったり、奥行きの広さを感じさせてくれる。さらりと歌い上げるツインヴォーカルもベタベタ過ぎないストリングスもちょうどいい塩梅で、くどさとは無縁なのがまた良い。

 

3位.ZAZEN BOYS「永遠少女」

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11年ぶり新曲ということもあったのかもしれない。とにかく、はじめて耳にしたときは音楽聴いてひさびさに鳥肌が立った。音楽的になにか特別変化した感じはない。11年経ってもZAZEN BOYSはZAZEN BOYSだった、みたいな、「変わってなかった喜び」のほうがなんならデカいかもしれない。ギターとベースとドラムがジャキジャキブリブリドゴドゴ鳴ってて、そんで向井がバリバリ気合い入った歌うたってて、ああZAZEN BOYSだなー、やっぱカッケーなー、で、まあ、とても良いな、嬉しいな、と思った。

 

2位.カネコアヤノ「気分」

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私が単に怠け者であるせいもあるのだろうが、にしても「堕落は悪くない こころを守るんだ」という歌詞が良い。なんてやさしい言葉なんだろう、と思う。しかし、ただのあまっちょろい曲ではないというか、どちらかというと現実の厳しさが投影された、切なくてほろ苦い楽曲である。感傷的なメロディ、表情豊かな歌声がまた良い。グッときてしまう。まあ、沁みる。名曲。

 

1位.ブラー「Barbaric」

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ブラーがひさびさに復活してライブをやるという第一報が流れてきたのは2022年の8月で、その時点では2024年に復活予定という話だったので、まさか2023年に復活してしかも新譜まで出すとは思ってなくてビックリしたし、新譜がすこぶる素晴らしいデキだったのもビックリした。で、この曲は件の新譜『The Ballad of Darren』に収録されている曲のなかでも個人的に一番好きな曲であり、私の2023年ベストソングでもある。ブラーらしい快活さのみならずおセンチなエキスがたっぷりで、これはいま現在のブラーだからこそ出せた味でしょう、と何度聴いてもグッときてしまうし、終盤(3分36秒あたり)のストリングスがさり気なく入ってくる瞬間は涙腺が崩壊してしまいそうになる。

 

以上。疲れた。おしまい。

2023年11月の消化物(音楽、映画)その1

『ゴジラ-1.0』は観に行きましたか。私はゴジラよりもゴリラが好きです。先月聴いたり観に行ったりした音楽と映画の感想文です。

 

【音楽】スネイル・メイル『Valentine(Demos)』

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2021年にリリースされた2ndアルバム『Valentine』収録曲のデモ音源と未発表曲で構成されたEP。デモ音源なので当然ながらどの曲も未完成感がハンパないですが、なにしろほぼ骨格のみのシンプルな作りなので、メロディの良さやリアルな息遣いみたいなものは完成品よりも引き立ってます。とくに③「Headlock」は名曲だなあ、とあらためて思わされました。先日開催された来日公演も観に行って大変素晴らしかったですが、これからもスタジアムロックみたいなのはヘンに意識せずに、きのみきのままエレキ弾いて歌うたう飾りっ気のないオルタナロック大好きなねーちゃんとして活躍してほしいなと思います。

 

【映画】『理想郷』

フランスからスペインの田舎町に移住してきた夫婦が陰湿な住人どもから村八分的な扱いを受けた挙句、なんかいろいろと大変なことになっちゃったりするお話です。まあ、地味です。筋肉モリモリの超人が悪い田舎者どもを成敗みたいなのは一切ありません。言ってみりゃワイドショーがたまに取り上げるようなご近所トラブルの拡大版みたいな感じです。あまりに地味なので「そういや、いっとき話題になった引越しおばさん、いまなにしてんのかな…」などとついうっかり余計なことを考えたりもしました。ところが中盤で衝撃的な事件が起こり、さあ来たか、と思ったらやっぱり最後まで地味なままでした。ただ、「イヤーな気分」はたっぷり味わえます。個人的にはこういうのもわりと嫌いじゃないです。また観たいとは思いませんが。

 

【映画】『私がやりました』

フランソワ・オゾンには「地味で小難しげな映画を撮る人」という苦手意識があったので若干不安を抱えつつ観に行ったのですが、これは大変良かったです。なにしろ、往年の古典コメディにオマージュを捧げたようなエレガントなムードが終始心地よい。テンポ感も肩の力が抜けたような小気味よさがあり観ていて疲れないし、いい意味でルーズでブラックジョーク満載の捻った展開っぷりも好感。「映画館へ足を運んで観に行って良かった!」と心から思えた作品でした。

 

【映画】『恐解釈 花咲か爺さん』

あの『花咲か爺さん』をバイオレンスホラー化したヤツです。ぶっ殺し満載で、血飛沫だのバラバラ死体だのエグい描写がわんさか出てきます。いやあ。なんなのでしょう、これは。いや、「めちゃくちゃにしてやんぜ!」みたいなガッツは買ってあげたいな、とは思いました。にしても、鈍重なテンポ感だったりまったくセンスを感じさせないカメラワークだったり、なんというか映画好きの学生たちが仲間内で撮ったようなノリというか、「小津やクロサワを彷彿とさせろ!」とは言いませんが、とにかく脳味噌が破裂しそうになりました。

 

【映画】『デシベル』

「潜水艦映画にハズレなし!」と言いたいところですが、潜水艦してるようでしてないというか、つーか「潜水艦してる」って日本語おかしいだろ、というのはひとまず置いといて、どちらかと言うと「潜水艦のなかで起こった出来事のその後」に比重を置いた半潜水艦映画というか、だから半潜水艦映画ってなんだって話ですが、まあ、キリがないので結論を言うと、お涙頂戴のヒューマンドラマとクライムサスペンスと爆発と潜水艦を混ぜてみたら口の中でいろんなモノがケンカしてる大味な料理が出来上がっちゃいました、みたいな感じであんまりでした。

 

以上。続きは次回。疲れた。おしまい。

珍紅白歌合戦

つい先日、今年の紅白歌合戦の出場者が発表された。

正直、どうでもよろしい。紅白歌合戦なんぞ生まれてこの方まともに観たことは一度もない。まったく興味がない。

ただし、「こんな紅白歌合戦なら観てみたい」というのは個人的にある。それはこんな紅白歌合戦だ。

「ライブ時のトラブルに定評があるミュージシャンたちによる紅白歌合戦」

というわけで、トラブルメーカーのミュージシャンたちが闘う「珍紅白歌合戦」が開催されることになったと妄想して、対戦カードと試合の見どころを解説したいと思う。

尚、女性ミュージシャンの数が若干足りないので、便宜上、ちんこ付いてる何人かを白組ではなく紅組のほうに振り分けさせていただく。

なにはともあれ、早速行ってみよう。

 

【第1試合】ガンズ・アンド・ローゼズ「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」(白組)VSマドンナ「マテリアル・ガール」(紅組)

オープニング・マッチからファン垂涎の夢のカードがいきなり実現する。ガンズといえばなんといっても「遅刻」で有名。1、2時間のライブ遅延は当たり前だ。対するマドンナは2016年の来日公演が2時間遅れでの開演となり日本中が騒然となったのは記憶に新しい。しかもこの騒ぎでさすがに反省したかと思いきや、数日後のオーストラリア・メルボルン公演ではなんと定刻から4時間遅れの開演という荒技を披露。試合の展望としては、あの武蔵と小次郎の「巌流島の決闘」を彷彿とさせる内容になるだろう。つまり、「どちらがより遅れるか(武蔵になれるか)」がある意味で重要なテーマになるであろうマッチアップとなる筈だ。なんならいつまで経っても「歌合戦」が始まらないという前代未聞の事態になる可能性も充分考えられる。「放送事故なんぞ知るか」と言わんばかりの魂のファイトに期待したい。

 

【第2試合】宮本浩次「俺たちの明日」(白組)VSイアン・ブラウン「アイ・アム・ザ・レザレクション」(紅組)

日本を代表するロック・シンガーである宮本に、イアンがNHKホールに乗り込んで挑戦する形となったこの一戦。宮本は周りのメンバーの演奏が気に食わないとギタリストの頭を小突いたりドラマーにマイクを投げつけたりする超攻撃的なスタイル。対するイアンは昨年10年ぶりにソロ・ライブを敢行するもなぜか舞台にひとりで登場しそのままテープ再生のバンド演奏をバックにカラオケを披露。「ナメんじゃねえ!」とファンから非難を浴びたが我関せずのマイペースぶりが持ち味だ。やる気がありすぎるあまりやりすぎてしまう漢と、やる気があるんだかないんだかよくわからない漢の究極の対決はまさに予測不可能。通常の紅白ではなかなか見られない日英カリスマロッカーによる至極の潰し合いは会場をも巻き込む珍妙な雰囲気を演出することだろう。

 

【第3試合】奥田民生「さすらい」(白組)VSジャネット・ジャクソン&ジャスティン・ティンバーレイク「ロック・ユア・ボディ」(紅組)

ミュージシャンなら誰もがその舞台に立つのを夢見る「ARABAKI ROCK FEST.22」のステージ上に泥酔した状態で現れ物議を醸した奥田を迎え撃つのは、全米が注目するスーパーボウルのハーフタイムショーで乳首を故意に露わにしたとして同じく物議を醸した経験があるジャネットだ。トライセラトップスの和田唱から叱られてしまった奥田と全米のアメフトファンから叱られてしまったジャネット。規模の大きさではジャネットに軍配が上がるが、そこは奥田持ち前の飄々としたファイトスタイルに期待したい。

 

【第4試合】リアム・ギャラガー「リヴ・フォーエヴァー」(白組)VSソフィア・ウリスタ「トイレの神様」(紅組)

喉の不調を理由に途中退場を度々繰り返し、その名前と実力を知らしめたリアムが珍紅白初出場・初勝利を狙う。こちらも初出場のソフィアはブラスバンド構成でカヴァーするメタル・バンド「ブラス・アゲインスト」のヴォーカリスト。ライブの最中に小便がしたくなりわざわざ呼び寄せた客の顔面に放尿したことで一躍時の人になった新鋭だ。一見すると勝負論がなさそうなマッチアップだが、じつはリアムはかつてステージ上でゲロを吐いた逸話も持つ。一瞬のタイミングを狙う者同士の対峙は緊張感漂う物になること間違いなし。一刻も早くゲロ吐いて退場したいリアムと、絶対に小便をするという断固たる決意を持つソフィアによる頂上決戦を制するのはどちらか。

 

【第5試合】モリッシー「ディス・チャーミング・マン」(白組)VS山崎まさよし「One More Time, One More Chance」(紅組)

英国の英雄モリッシーが、遂に珍紅白の舞台に挑む。挑戦者は「歌うたうのは体力持ってかれる」「今日はトークの回にしたい」「でもこういうのも良いんじゃないですか?」などの数々の名言で話題をさらい、その勢いのままNHKホールに乗り込んでくる山崎だ。待望の来日公演を控える中、間際のシンガポール、香港、バンコクでのコンサートを次々とキャンセルしファンをやきもきさせているモリッシー。フジロックのアクトをドタキャンし代わりにモノマネバンドがトリで出演という珍事は伝説としていまだに語り継がれている。対する山崎はやはり歌ではなくトークに勝機を見出すのか。というか、そもそも「歌合戦」が成立するのか。メインを飾るに相応しい、大波乱必至のマッチアップだ。

 

というわけで、例によってものすごくくだらない記事を書いてしまいましたが、みなさん頑張ってライブやって我々を楽しませてほしいと私は思っている。

以上。疲れた。おしまい。

2023年9月の消化物(音楽、映画)その1

笑けてくるくらいやる気が出ませんが先月もぐもぐした音楽と映画の感想文を頑張って書いてみましょう。

 

【音楽】ケミカル・ブラザーズ『For That Beautiful Feeling』

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4th『Come With Us』以降のアルバムは軽く聴いたり聴かなかったり状態のケミカル兄弟だが、今作はひさしぶりにがっつりめに聴いた。新しさは感じられないが、かといって古臭いわけでもない。なんか「ケミカルだなー」という感じ。ベックとコラボした⑧「Skipping Like A Stone」やケミカルらしさ満々のダンスチューン⑩「Feel Like I Am Dreaming」あたりはアガるし全体を通しても嫌いじゃないが、どうもマンネリ感が否めず愛聴盤とまではいかず。うーん。

 

【映画】『福田村事件』

数々のドキュメンタリー作品で名を馳せた森達也によるはじめての劇映画。関東大震災後に起きた朝鮮人(のちに日本人であることが判明)殺害事件の顛末の様子を再現した社会派作品で、実際にその場に居合わせているような臨場感がすごい。どう考えてもフィクションであろう、村の人間が不倫してどうこうみたいな話とか、これでもかと舐め回すように描かれていて、本来なら無駄と言えるであろうシーンなんかがあるおかげでこう言っちゃなんだが「エンタメ」としてもちゃんと楽しめることが出来るような作りになっている。ドキュメンタリーであまたの「無駄」を撮ってきたこの監督だからこそ、「無駄の活かしかた」みたいなのをよく知っているのでは、とか、なんかそんなようなことを考えたりした。

 

【映画】『ファルコン・レイク』

童貞の少年とちょっとおませな少女のひと夏の青い体験みたいなまったく興味が湧かないお話というか、とにかくクソおもしろくなくて超絶的なまでに眠たくなってしまったというか、あまりにおもしろくなさすぎて感想をツイートするのも忘れてしまったぐらいというか、まあ、ホラー映画だと勝手に思い込んでうっかり観に行ってしまった俺が悪い。

 

【映画】『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』

アニメには基本関心がない私だが、少年時代にコミックスを揃えていた人間なのでこれは観に行かないわけにはいかない。20年ぶりに公開された前作『新宿プライベート・アイズ』とはうってかわって、相変わらずもっこりしてアレみたいな展開はあるものの相当シリアスかつヘヴィなお話で、まあ泣けたし燃えた。なにしろあのお馴染みのキャラクターたちがあのお馴染みの声で飛んだり跳ねたりしてるのだから楽しいったらありゃしない。おそらく次作が完結作となるのだろうが、「最後はミックが出てくるのかな?」とかすでに股間がじゃなくて妄想が膨らんでいるし、もっこりとじゃなくてしっかりと見届けたいと思っている。

 

【映画】『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』

名探偵やってるポアロさんが難事件を解決する映画、ってそりゃそうか。タイトルが「名探偵」ってなってるのに、ゴリラによく似た元傭兵と、ゴリラによく似た元傭兵の娘をさらった悪党一味が延々としばき合いをする内容だったら詐欺である。というか、それは『コマンドー』である。で、なんでこんなどうでもいいこと書いてるかと言うと、ほぼ100パー内容を覚えてないからである。

 

以上。続きは次回。疲れた。おしまい。