ビートルズの2分以内で聴けるタイパ最強の名曲、ベスト5

どうやらいまの時代、音楽になにより求められているのは「タイパ」らしい。

「タイパ」=「タイムパトロール」ではない。費やした時間に対する満足度の度合いを示す言葉、すなわちこれを「タイパ(タイムパフォーマンス)」と呼ぶ。

ようするに、

  • いろいろとやるべきことがあり忙しい。
  • なので、音楽を聴くにしてもできるだけ時間を節約したい。
  • イントロもギターソロもいらん。だるい。
  • とにかく短い時間で手っ取り早く満足させてほしい。

みたいな音楽がZ世代と呼ばれる若者たちを中心に求められているらしい。

私個人としては音楽を聴いて「気持ちよくなりたい」のになぜ時間を節約したがるの? と思わないでもない。

とはいえ、若者は忙しい。私のような独身の中年男は基本的に仕事をしてあとはオナニーをするだけののんきな生活をしていればよいが、とりわけ高校生をやってる若者などは、まず勉強をしなければならないし、それからゲームをして、アニメを観て、アルバイトをして、さらに回転寿司屋の醤油ボトルの注ぎ口をペロペロ舐め回す動画をSNSにアップして、オナニーをしてと、息つく暇もないほど毎日が忙しく、だからこそ短時間で満足できる音楽が求められているのだろう。

そんなタイパを重要視する若い音楽リスナーにとってまさにおあつらえ向きと言うべきバンドが存在する。ロック・ミュージック界の王様、ビートルズである。

じつはビートルズはトータルタイムが短い楽曲がとても多い。とくに中期と呼ばれている7作目のアルバム『Revolver』あたりまでは3分を超える楽曲はほぼほぼ皆無である。つまり、カップラーメンが出来上がるのを待っているあいだにひとつの楽曲を聴けてしまうのだ。しかもビートルズなのでいずれの楽曲も素晴らしい。

しかし、3分でもまだ長いという人がいるかもしれない。ならば2分だ。

というわけで、今回は「ビートルズの2分以内で聴けるタイパ最強の名曲、ベスト5」を発表しようと思う。

それでは早速行ってみよう。

 

5位「Why Don't We Do It In The Road? 」(1分42秒)

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5位は10作目のオリジナルアルバムとして2枚組でリリースされた通称『White Album』からのナンバーで、作詞作曲はポール・マッカートニーである。まず注目してほしいのはギターソロがない点だ。イントロだってたったの7秒なのでほぼないに等しい。なにしろかったるくなくて大変よい。というか、この曲には展開らしい展開すらほぼない。基本的にポール・マッカートニーがただひたすら「Why Don't We Do It In The Road?(道路でヤっちまおうぜ?)」と叫んでいるだけの曲である。なのに、めちゃくちゃポップでカッコよいというコスパ抜群のナンバーである。

 

4位「I'm Happy Just To Dance With You」(1分57秒)

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3作目の『A Hard Day's Night』に収録されている曲で、作詞作曲はジョン・レノンとポール・マッカートニー、リードヴォーカルはジョージ・ハリスン。この曲もイントロはわずか6秒でやはりあってないようものだし、もちろんギターソロもないので安心してほしい。すこぶるキャッチーなメロディライン、鮮やかなバッキングコーラス、歯切れの良いバンドアンサンブルがじつに気持ちいい一品である。

 

3位「For No One」(2分00秒)

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イントロなしギターソロなしというタイパ最高すぎる楽曲である。前述したアルバム『Revolver』に収録されている曲で作者はポール・マッカートニー。フレンチホルンの優雅な響きがとろけるように甘くてひたすら美しいメロディをより一層光輝かせている。夢見心地な気分になれること請け合いの名曲だ。

 

2位「I Will」(1分46秒)

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いよいよトップ2の発表である。まず2位は『White Album』に収録のポール作のナンバーだ。こちらもイントロやギターソロはない。思わずガッツポーズをしてしまった人もいるだろう。それはどうでもいいが、まず、なんと言ってもポールならではの耳によく馴染むメロディがとんでもなく素晴らしい。さらにポール自身の声によるマウスベース、ポンポコ聴こえてくるパーカッションも効果的でじつに味わい深い心地よさがある。短い時間のなかに様々な音楽的アイデアが敷き詰められている至高のポップソングである。

 

1位「Misery」(1分49秒)

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そして栄えある1位に輝いたのはこの曲、「Misery」だ。1stアルバム『Please Please Me』収録曲でジョンとポールによる共同作。なにしろデビュー作だけあってジョンのヴォーカルもバンドアンサンブルも若々しい瑞々しさが溢れていてもうたまらん。イントロは10秒でやや長いが、ギターソロなし、最高にポップでロックでキュートな初期ビートルズの魅力がたっぷりと詰まっているタイパ最強の名曲である。

 

以上。疲れた。おしまい。