珍紅白歌合戦

つい先日、今年の紅白歌合戦の出場者が発表された。

正直、どうでもよろしい。紅白歌合戦なんぞ生まれてこの方まともに観たことは一度もない。まったく興味がない。

ただし、「こんな紅白歌合戦なら観てみたい」というのは個人的にある。それはこんな紅白歌合戦だ。

「ライブ時のトラブルに定評があるミュージシャンたちによる紅白歌合戦」

というわけで、トラブルメーカーのミュージシャンたちが闘う「珍紅白歌合戦」が開催されることになったと妄想して、対戦カードと試合の見どころを解説したいと思う。

尚、女性ミュージシャンの数が若干足りないので、便宜上、ちんこ付いてる何人かを白組ではなく紅組のほうに振り分けさせていただく。

なにはともあれ、早速行ってみよう。

 

【第1試合】ガンズ・アンド・ローゼズ「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」(白組)VSマドンナ「マテリアル・ガール」(紅組)

オープニング・マッチからファン垂涎の夢のカードがいきなり実現する。ガンズといえばなんといっても「遅刻」で有名。1、2時間のライブ遅延は当たり前だ。対するマドンナは2016年の来日公演が2時間遅れでの開演となり日本中が騒然となったのは記憶に新しい。しかもこの騒ぎでさすがに反省したかと思いきや、数日後のオーストラリア・メルボルン公演ではなんと定刻から4時間遅れの開演という荒技を披露。試合の展望としては、あの武蔵と小次郎の「巌流島の決闘」を彷彿とさせる内容になるだろう。つまり、「どちらがより遅れるか(武蔵になれるか)」がある意味で重要なテーマになるであろうマッチアップとなる筈だ。なんならいつまで経っても「歌合戦」が始まらないという前代未聞の事態になる可能性も充分考えられる。「放送事故なんぞ知るか」と言わんばかりの魂のファイトに期待したい。

 

【第2試合】宮本浩次「俺たちの明日」(白組)VSイアン・ブラウン「アイ・アム・ザ・レザレクション」(紅組)

日本を代表するロック・シンガーである宮本に、イアンがNHKホールに乗り込んで挑戦する形となったこの一戦。宮本は周りのメンバーの演奏が気に食わないとギタリストの頭を小突いたりドラマーにマイクを投げつけたりする超攻撃的なスタイル。対するイアンは昨年10年ぶりにソロ・ライブを敢行するもなぜか舞台にひとりで登場しそのままテープ再生のバンド演奏をバックにカラオケを披露。「ナメんじゃねえ!」とファンから非難を浴びたが我関せずのマイペースぶりが持ち味だ。やる気がありすぎるあまりやりすぎてしまう漢と、やる気があるんだかないんだかよくわからない漢の究極の対決はまさに予測不可能。通常の紅白ではなかなか見られない日英カリスマロッカーによる至極の潰し合いは会場をも巻き込む珍妙な雰囲気を演出することだろう。

 

【第3試合】奥田民生「さすらい」(白組)VSジャネット・ジャクソン&ジャスティン・ティンバーレイク「ロック・ユア・ボディ」(紅組)

ミュージシャンなら誰もがその舞台に立つのを夢見る「ARABAKI ROCK FEST.22」のステージ上に泥酔した状態で現れ物議を醸した奥田を迎え撃つのは、全米が注目するスーパーボウルのハーフタイムショーで乳首を故意に露わにしたとして同じく物議を醸した経験があるジャネットだ。トライセラトップスの和田唱から叱られてしまった奥田と全米のアメフトファンから叱られてしまったジャネット。規模の大きさではジャネットに軍配が上がるが、そこは奥田持ち前の飄々としたファイトスタイルに期待したい。

 

【第4試合】リアム・ギャラガー「リヴ・フォーエヴァー」(白組)VSソフィア・ウリスタ「トイレの神様」(紅組)

喉の不調を理由に途中退場を度々繰り返し、その名前と実力を知らしめたリアムが珍紅白初出場・初勝利を狙う。こちらも初出場のソフィアはブラスバンド構成でカヴァーするメタル・バンド「ブラス・アゲインスト」のヴォーカリスト。ライブの最中に小便がしたくなりわざわざ呼び寄せた客の顔面に放尿したことで一躍時の人になった新鋭だ。一見すると勝負論がなさそうなマッチアップだが、じつはリアムはかつてステージ上でゲロを吐いた逸話も持つ。一瞬のタイミングを狙う者同士の対峙は緊張感漂う物になること間違いなし。一刻も早くゲロ吐いて退場したいリアムと、絶対に小便をするという断固たる決意を持つソフィアによる頂上決戦を制するのはどちらか。

 

【第5試合】モリッシー「ディス・チャーミング・マン」(白組)VS山崎まさよし「One More Time, One More Chance」(紅組)

英国の英雄モリッシーが、遂に珍紅白の舞台に挑む。挑戦者は「歌うたうのは体力持ってかれる」「今日はトークの回にしたい」「でもこういうのも良いんじゃないですか?」などの数々の名言で話題をさらい、その勢いのままNHKホールに乗り込んでくる山崎だ。待望の来日公演を控える中、間際のシンガポール、香港、バンコクでのコンサートを次々とキャンセルしファンをやきもきさせているモリッシー。フジロックのアクトをドタキャンし代わりにモノマネバンドがトリで出演という珍事は伝説としていまだに語り継がれている。対する山崎はやはり歌ではなくトークに勝機を見出すのか。というか、そもそも「歌合戦」が成立するのか。メインを飾るに相応しい、大波乱必至のマッチアップだ。

 

というわけで、例によってものすごくくだらない記事を書いてしまいましたが、みなさん頑張ってライブやって我々を楽しませてほしいと私は思っている。

以上。疲れた。おしまい。