究極かつ至高の焼き鳥

焼き鳥屋に行った。

 

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持ち帰り専門の焼き鳥屋だ。はじめて行く店だ。

「えーっと、ももが3本となんこつが2本。……あっ、ぜんぶ塩で」

「ハイ、塩のもも3本、なんこつ2本ね! ○○円です!(動揺してしまったので正確な値段は忘れた)」

なんだかひどく愛想の良いオヤジにジ小銭を渡す。

「はい、ちょうどいただきます! 少々お待ちください!」

オヤジは小銭を手で受け取りレジへ放り込むと、そのまま勢い良く串に刺さった焼き鳥を直に手に取って網の上に置いて焼きだした。

「へいお待ち!」

ぎゃああああああああああああああああああ!

きったねえよ!!

「へいお待ち!」、じゃねえよオヤジ!!

……とは、私は優しい人間なので言えなかったが、一瞬、固まってしまった。

なんで? なんで小銭を受け取ったその手で直に肉を掴むの?

串のほう持てばいいじゃん!

ああ、焼くからいいのか。焼いてバイ菌を殺すからいいのか。だからいいのか。

ほんとうにそれでいいのか…?

べつに私はこまめに手を洗ったりだとか、風呂は毎日5回入るようにしているとか、常日頃から清潔にと心がけている人間ではない。むしろ、こまけえことは気にしないタチの人間だ。

でもな、ジャリ銭だぞ。

鼻クソほじった子どもとか、うんこしたあと手を洗ってないおっさんだとか、そういう不特定多数の人間が、とくに気にも留めず手に取る。

それが小銭だ。

つうか小銭だけじゃなくお札だってそうだろう。

小銭にしろお札にしろ、金を手に取るからといっていちいちハンドソープで入念に手を洗ったりする人間はいないはずだ。

あるいは、

「お金っていろんな人が触るから汚いよなー。よし、一度洗濯機にかけてから遣うようにしよう」

なんていう人間も当然ながらいない。いないはずだ。

つまり、小銭(と、お札)はバイ菌の集合体と考えてよろしい。

なんなら、もう、「ほぼ、うんこ」と言っていいかもしれない。

そんな手で直に肉を掴むな。

なんだか気持ちが沈んだ感じで家に帰った。気が進まなかったがもったいないのでとりあえず焼き鳥を食べてみた。

これが思いのほか美味くて驚愕した。

そうか。出汁か。小銭のバイ菌がオヤジの手を伝って絶妙な出汁として肉に降りかかり、そうこうして焼きあげた結果、旨み成分が存分に引き立った焼き鳥が完成する。

なるほど。究極かつ至高の焼き鳥か。そういうことか。

店は都内にあるので食べてみたいという人はご一報ください。こっそり教えます。

まあ、俺はもう2度と行く気はないが。