2023年12月の消化物(映画)

私は猛烈に馬鹿な人間で高校生やってたころにはじめてバイトの面接に行って特技の欄に「やる気がないこと」と書いた履歴書を提出したら普通に落とされたのですが逆にどうですか。採用しますか。先月もぐもぐした映画の感想文です。

 

『バッド・デイ・ドライブ』

いつものようにガキンチョらを学校に送り届けるためにリーアム・ニーソンさんが車ぶっ飛ばしてたら正体不明の人物から「車に爆弾仕掛けたよ。あっ、降りたら爆発するからね」」という電話が掛かってきて「んなわけあるか! って、どれどれ……爆弾だーッ!!!」みたいなことになるお話です。「なーんか観たことあるような…」と途中からなんだか釈然としない思いが湧いてきてモヤモヤしたまま劇場出てググってようやくわかったのですが、何ヶ月か前にアマプラで観た『ハード・ヒット 発信制限』という韓国映画のリメイクでした。と思ったらその韓国映画もリメイクで、実際は『タイムリミット 見知らぬ影』というベルギー映画がどうやらオリジナルらしいことが判明したのでした。ああややこしい。で、ベルギーのは私は観てないので置いとくとして、韓国のやつはわりかし社会的な問題を盛り込んだ内容だった記憶がぼんやりあるのですが、本作はもっと単純明快というか、「わさび山かけ牛丼がシンプルな牛丼になった」みたいな、ようするに「リーアム・ニーソンさんが悪いやつをぶっ飛ばすいつものアレ」でした。

 

『市子』

恋人にプロポーズされて快諾したのに翌日バックレてしまったおねーちゃんのお話です。当然ながら「なぜ?」という話になっていくわけで、話が進むにつれていろいろと込み入った事情があることが明らかになっていきます。意外な展開の連続で途中までは興味津々に観ることが出来たのですが、「不幸の連鎖を描くのはいいとして、ちょっと現実味がなさすぎでは。つーか、くどい」みたく段々どうでもよくなっていっちまったというか、たぶん中盤あたりからはCoCo壱のカレーうどんのこととか考えてたような気がします。

 

『ほかげ』

終戦直後の東京を舞台にしたお話です。居酒屋を営みながらひっそりと身体を売って生計を立てている女、空襲で両親を失った男の子、PTSDに苦しむ帰還兵の3人を軸に物語は進んでいきます。ぼんやりと薄暗い質素な画が、焼け野原となってしまった当時の風景そのものを映しているかのようでリアリティがありました。「戦争はやだなあ…」という当たり前を、具体的な事象でもってあらためて思い起こされてくれる、いい映画だな、と思いました。ただ、「映画=エンタメ」を求める私としてはもう一捻り欲しかった、というのが正直な感想ではあります。

 

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』

よくある悪魔憑きホラーのようでしっかり捻りを加えられたお話になってて好感。フツーに楽しかったです。なにしろこっくりさんみたいなあのアレが良い。おかーちゃんの怨念がアレしてみたいなのは正直よくわからない部分がありましたが(とくにオチ)、グロあり幽霊ホラー耐久ゲームみたいなあのアレがとにかく新鮮味があっておもしろかったです。

 

『PERFECT DAYS』

役所広司演じる清掃員のおっさんが毎日毎日公衆便所をピカピカにしてカセットテープで音楽聴いて飲み屋に行って一杯ひっかけて小説読んで洗濯して写真撮ったりする。それだけ。たまーに「ちょっとした出来事」が起きるが基本的にはそれだけ。だのになぜかこれがすこぶるおもしろい。一体どういうことなんだ。とにかくこの一連のルーティンの流れ、映像、音楽、さらに役所広司をはじめとする役者陣のアクト、すべてが静謐で滑らかで美しくも心地よい。そしてこの主人公みたいなおっさんはたぶんいない。というか断言してもいい。絶対にいない。しゃらくさいといえばものすごくしゃらくさい。なんだかハリボテの世界のような嘘くささがある。そうか。これはよく出来た御伽話なんだ。どうりでうんこがびっちりついた便器が一切出てこないわけだ。御伽話にうんこびっちりはありえない。仙人がピカピカの嘘東京に降臨、みたいな御伽話なんだ。あー、とても感じの良い仙人を観られてしみじみとした。みたいな映画でした。

 

『サンクスギビング』

モールが感謝祭セールを開催したはいいが安売り目当てで狂人と化した客が殺到してそのせいで死人が出て死人の遺族っぽい人が怒り狂って事故関係者たちをバカスカぶっ殺していくみたいな馬鹿馬鹿しい展開には笑わせてもらいましたがそれだけだったなー。

 

『ファースト・カウ』

西部開拓時代にドーナツで一攫千金を企てた男たちの愛と信頼を余すことなくドラマ化したのかどうかよくわかりませんが、とにかく地味で眠たくなりました。あとドーナツが全然美味そうじゃないぞ! つーかコレ、ドーナツか? 観終わったらプレスリーみたくドーナツばくばく食う気まんまんだったのに! みたいなよくわからない感想しか出てこないまったく合わない映画でした。

 

以上。疲れた。おしまい。