2024年2月の消化物(映画)その1

先月もぐもぐした映画の感想文です。

 

『サンセバスチャンへ、ようこそ』

小説を執筆中のジジイが映画のプレスエージェントやってる嫁と映画祭に参加したものの嫁の浮気を疑うあまりメンタルクリニックに赴いてそしたら担当してくれた女医に惚れてすったもんだして、みたいな毎度お馴染みのウディ・アレン節満載のロマコメです。ちょっと笑いのキレがあんまりかな、という意味で、個人的にはウディ・アレンのフィルモグラフィーのなかで上位に入れたくなるような作品ではありませんでしたが、とはいえ一定の水準が保たれていてるのは流石。終盤の死神との対話シーンは、これまでのウディ・アレン映画の集大成のようでもあり、自分自身に「まだまだやるぞ」と発破をかけているようでもあり、なんだかグッときました。「次はあるのかな。まだまだ劇場に観に行きたいなあ、ウディ・アレンの映画」と思わずにいられませんでした。

 

『梟ーフクロウー」

盲目の鍼師が王の子の死を目撃して……という医療スリラーです。「盲目なのに“目撃”ってワレなにヌカしとんじゃあ!」と突っ込みたくなるでしょうが、なにしろこの設定がじつに巧い。そう来たかー、と唸りました。テンポもすこぶる良いですし、いろんな人物がわんさか登場しますが展開的にしっかりと整理整頓されているので、「で、この人、なにしてる人だっけ…?」みたいなことにもなりません。とてもおもしろかったです。

 

『ジェントルマン』

牛丼大好きな超人が悪い超人どもと闘って、ってそりゃキン肉マンです。えーっと、んーっと、覚えてない。とりあえずポスターに犬が写っているので犬は出ています。出ていたはずです。覚えてません。これはある意味、何度でも楽しめる映画と言っていいかもしれません。ああ、でもおもしろくなかったんだったなコレ。

 

『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』

廃墟と化したレストランのマスコット人形たちが勝手に動き出して……って、これニコラスのあのアレおもいっきりパクってんじゃねーかざけんな! と思ったら、まさかのこっちのほうが原作だった、というオチでした。まあ、相当マイルドなホラーです。つーか、おもしろくない。おもしろくねえよ。ニコラスのインスパイア映画はおもしろいのに原作はバリバリおもしろくないとかいったいどういうことなのでしょうか。かつて柏原崇が結成したオアシスをおもいっきりパクったバンドのほうがオアシスよりも断然イケてる、みたいな状況でしょうか。そんなバンドは知らないですか。そうですか。

 

『THE WILD 修羅の拳』

違法賭博の試合中に対戦相手をボコって死なせてムショに入って刑期を終えて出てきた元プロボクサーのおっさんが真っ当な生活を送ろうとするが昔馴染みのヤクザな連中がわらわら寄ってきて……みたいなお話です。で、30分間25000円の過ちや、徒党を組んで安心しとる奴等や、さりげなく行われるURAGIRIや、みたいな向井秀徳みたいなことになっていくのですが、いろいろと話を端折りすぎててなにがなんだかよくわかりませんでした。たとえば、同僚を半殺しにした帰り道にドスで刺されて瀕死の重症を負ったはずなのに女から海に行こうとか連絡があって何事もなかったようにノコノコ出かけるとかおまえはターミネーターか、と言いたくなりました。映画なんてファンタジーなんだから、嘘なんだから、リアルに徹しろ、などと言うつもりはありませんが、あまりにも現実離れしていてノレませんでした。

 

以上。続きは次回。疲れた。おしまい。