2022年6月の消化物(音楽,映画)

今月もぐもぐした音楽と映画の感想文を気が向いたから書いてみたので気が向いたときに読んでみたらいいんじゃないかなと思います。

 

【音楽】坂本慎太郎『物語のように』

「今回のアルバムはソロ史上もっともポップな作品に仕上がっているんダヨーン」みたいなことを坂本さんご本人がおっしゃっていたので相当期待して聴いた。うん、なるほど。坂本さんならではの贅肉を極限まで削ぎ落としたようなスカスカな質感のサウンドデザインや、これまた坂本ならではの熱くもなく暗くもない終始ぼんやりとしたような歌は相変わらずながらも、これまでも充分控えめだったアレンジ面はよりシンプルにというかほぼほぼ必要最低限的に施されている感がするのがまたいかにも坂本さんぽいなーと思う一方、それでいて坂本さんならではの毒っ気や厭世感みたいなのは今作ではほとんどなくなっていて、かわりに朴訥とした風情ながらもどこかシュールで捻くれた味を醸す「ポップソング」がこれでもかと敷き詰められた坂本さん節満載のアルバムであり、ようするにいつもの坂本さんとたいして変わりがないようなというか、全体の雰囲気的には好きだけどどの曲もいまいち強度弱くね? つーかこの路線もう俺飽きた、というのが正直な感想だったりする。とはいえ感度が鈍いせいか私の場合、生のライブで聴くとよくわからなかった曲の魅力を理解できたりすることが多々あったりするし、そもそもソロになってからの坂本さんのライブをまだ観たことなくて、ならばと来月リキッドルームで開催されるライブの抽選に申し込んでみたがフツーに外れ一般でも手に入れることが出来ませんでしたというオチであった。
 

【音楽】クーラ・シェイカー『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』 

open.spotify.com

長らく開店休業状態だったクーラ・シェイカーのおよそ6年ぶりとなる新作アルバム。再結成後にリリースされたいくつかアルバムにはガッカリさせられてきたのでとくに期待せずに聴いたが、これがまさかの起死回生・一発逆転と言っていいほどの充実した内容に仕上がっていてビックリした。なんといっても代名詞と言える小気味良いあのバンドアンサンブルが復活しているのがまず嬉しいし、どの曲にもキャッチーなフックラインがちゃんと仕込まれていて聴きごたえはばっちり。かつては懐古主義かよと一部から揶揄されていたインドインドした音楽スタイルももはや一周回って新鮮さすら感じさせられるくらい溌剌としたエネルギーに満ち溢れている。いやあ、いいねえ。つーかサマソニも大変結構ですが、どうせなら単独来日公演開催してくれ。

 

【映画】『PLAN75』

高齢化社会がさらに深刻化した日本では政府がある法律を施行していて、それというのは「PLAN75」 というサービスであり、このサービスを利用すれば75歳を過ぎた人間は専門業者の手厚いサポートを受けながら自由に死ぬことが出来て…みたいなお話。 嫌いな映画ではない。むしろ、私は重たくてしんどいお話はわりかし好んで観たりする人間だが、これはちょっとばかし悪い意味で重たくて、そしてしんどかった。私は映画というものにまずなによりも求めているのは「日常からの逃避」「エンタメ性」であるわけで、どうも生真面目すぎるノリについていけなかったというか、たとえば皮肉めいた展開だとかユーモアが効いた会話劇だとか、そういうのがあればまた印象が変わったようなというか「いや皮肉もユーモアもいらねーよ! こちとら腹括って問題提起してんだくたばれカス!」って言われそうなのでこのへんで黙ります。

 

【映画】『ザ・ロストシティ』

元研究者で現在は売れっ子の小説家として名を馳せているサンドラ・ブロックが金持ちのボンクラに「おいそこのアマ、オメー研究者やってたんだから宝探しなんてわけねーよな? ちょっとこっち来いや!」つって誘拐されて、そんななかサンドラの小説の表紙モデルをやっててサンドラとは顔馴染みの仲であり一方的に好意を抱いてもいるインフルエンサーのチャニング・テイタムは突如として行方をくらましたサンドラのことが心配でならず、ならばと元軍人で超絶イケメンなあの人の力を借りてサンドラが拉致られてるジャングルの奥地に向かうが…みたいなお話。まあ、簡単に言ってしまうとラブコメ冒険活劇であり、それはいいとしても、「ラブ」も「コメ」も「冒険」もどこかで見たような既視感バリバリなやつばかりであり、なんとなく懐かしさみたいなものはあったがあんまり「活劇」じゃなかったな…という感じだった。

 

【映画】『きさらぎ駅』

フツーに電車に乗っていただけなのに気づいたら謎の無人駅「きさらぎ駅」に到着していたとかいう奇跡体験アンビリバボー的な出来事を2ちゃんねるにリアルタイムで書き込んでいた女性がそのまま行方不明になって現代版神隠しとしてネット民のあいだでちょっとした騒ぎになったりしてそれから数年後、このアンビリバボーな謎を解明するためあるひとりの女子大生が立ち上がるが…みたいなお話。中盤くらいまではなんか安いホラーゲームみたいでつまんねーなって眠気を堪えながら観てたが、途中から2部構成っぽく場面転換して、いい意味でマンガっぽい感じにストーリーが展開していくのが楽しくて一気に眠気が吹っ飛んだ。今年は珍しく邦画をそこそこの本数観ているが、画の迫力やテンポ感とかはハリウッド映画等に劣るものの、オチに関しては「おっ」と思わせてくれるような意外性のある作品がわりかし多かった気がする。たまたまなのかもだが。

 

あとはこういう音楽を聴いたり

gu-tara-tonchi.hatenablog.com

 

こういう音楽を聴いたりしてた。

gu-tara-tonchi.hatenablog.com

 

以上。疲れた。おしまい。