エレファントカシマシはタイトルに「男」が付く楽曲(以下、「男ソング」)がやたらと多い。
というわけで今回はエレカシの数ある「男ソング」の中から例によって私の独断と偏見でベスト5を選んで発表したいと思う。
以下が候補に上がったエレカシの「男ソング」である。
- 「習わぬ経を読む男」
- 「花男」
- 「待つ男」
- 「珍奇男」
- 「浮雲男」
- 「男は行く」
- 「無事なる男」
- 「お前の夢を見た(ふられた男)」
- 「男餓鬼道空っ風」
- 「ドピッシャー男」
- 「かけだす男」
- 「戦う男」
- 「季節はずれの男」
- 「歩く男」
- 「涙を流す男」
あらためて書き出してみたら思ってたよりも多くてちょっとびっくりしてしまった。ともあれ、私のリサーチに間違いがなければ以上15曲である。
この中からベスト5を決める。
それではさっそく行ってみよう。
5位「珍奇男」
まず5位は3rdアルバム『浮世の夢』に収録されているこの曲、ライブでの定番ナンバーでもある「珍奇男」だ。この「珍奇男」がリリースされたころのエレカシは、一部の音楽好きのあいだで話題になっていたものの、一般的な知名度は皆無に等しかった。つまり、端的に言うとバンドとして燻っていた時代の曲である。そして宮本浩次と言えば自身の心情を「そこまであけすけに言っちゃっていいの……?」と聴き手が思ってしまうほどド直球に歌い上げる人であるわけで、この「珍奇男」で綴られている言葉もすさまじい。当時の宮本が抱えていたイライラや焦燥感が反映された自虐にまみれた強烈このうえない言葉の数々が否応なしに聴き手に突き刺さってくる。それでいてのちに開花するメロディメーカーとしての萌芽も感じ取れる秀逸な「ポップソング」でもある。
4位「花男」
続いて4位はこの曲、「花男」だ。これもすごい。なにしろバンドにとって記念すべきデビューアルバムに収録されている曲である。なのに初々しさというものがまったくない。とにかく怒気を滲ませた宮本の歌声がハンパないほどすさまじいし、タイトかつバキバキなバンドアンサンブルもじつに強烈だ。そんじょそこらのパンクバンドや往年のグランジロックが甘っちょろく感じてしまうほどである。
3位「待つ男」
2nd『THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ』のラストナンバー。しつこいが、これまたすごい。不遇だったこの時期のエレカシの楽曲すべてに言えることだが、宮本の世間への怒り、自分自身への怒りがカオスのごとく渦巻いている。はじめてエレカシの曲を聴いてみたらぶっ飛んで正座して拝聴した、というスピッツの草野マサムネの有名なエピソードがあるが、たしかにと言いたくなるほど壮絶で、襟を正して拝聴せざるを得ない「キワキワな迫真さ」が初期のエレカシの魅力である。
2位「季節はずれの男」
私がはじめてがっつり聴いたエレカシのアルバムは14作目の『俺の道』である。とにかく徹底的に「俺」のことを歌っている「嘘のなさ」に衝撃を受けた。草野マサムネと同じようにぶっ飛んだ。そして、この「季節はずれの男」は『俺の道』に収録されている楽曲である。当然ながら個人的な思い入れが強い。というわけで2位はこの曲である。一度ブレイクしたものの再度潜ってしまった時期の曲であり、「再ブレイク」という一発目のブレイクよりも困難なミッションをやり遂げようともがく宮本の心情が赤裸々に綴られた詞作は胸に迫るものがありじつに生々しい。この時期特有の哀愁が際立っているメロディラインも秀逸と言うほかない名曲である。
1位「男は行く」
そして1位はこちら、4thアルバム『生活』収録曲の「男は行く」だ。「勝て」「行け」「戦う」など宮本節全開の必殺フレーズ、鬼気迫る圧巻の歌声、ヘヴィで泥臭くもあるバンドサウンド、ロック的なダイナミズムに溢れていて、なおかつ、どうしようもなくポップでもあるソングライティング、というエレカシならではのエッセンスがこれでもかと凝縮されている。そして、とにかく燃える。ぐうたらでだめな私でもたちまち燃える。とにかく燃えざるを得ない。エレカシの代表曲のひとつであり珠玉の名曲である。
以上。疲れた。おしまい。