2024年4月の消化物(音楽、映画)その1

いよいよ暑くなってきましたがそれはともかくとして読んでますか。4月にもぐもぐした新譜と劇場鑑賞した映画の感想文です。

 

【音楽】Indus&Rocks『LRC』

Indus&Rocks待望のニューアルバム! と書いたところで、このブログの推定読者でおられる4・5人の方々の大半はおそらくおわかりにならないでしょうが、そんなことはどうでもいいのです。ロックでサイケでブルージーでジャジーだったりする旨味成分+色気たっぷりのインストナンバーや、さらに歌モノは歌モノでひじょうに耳馴染みの良いメロディを聴かせてくれたりする今年で結成20年のそこそこのベテランかつかなりマイナーなバンドであって、私は数年前にフェスでたまたまライブ観て以来ファンやらせてもらっているのです。そしてしょっぱなで「待望の」と書いたとおり、オリジナルアルバムとしては4年ぶりとなるひさびさの新譜なのです。で、贔屓目が入ってかもしませんがこれがまあ良いアルバムです。なにしろチルいです。繊細で色気もある楽曲が敷き詰められており、それでいてポップスとしても相変わらずしっかりと機能しているのが大変よろしい。ただし、既発曲のリアレンジヴァージョンを含む計5曲トータルタイム14〜5分という内容はちょっとさびしいなあという思いもあるっちゃあったりします。なにしろ10分くらいある曲とか平気でぶっ込んでくるバンドなので。尚、このバンドはサブスクとか基本的にやってないので、いらっしゃらないでしょうが万が一ご興味を持たれた方はこちらのサイトでサンプル音源聴けたりCD買えたりします。

 

【映画】『アイアンクロー』

私と同類の昭和のプロレスオタクなら誰しもが知ってるであろう「呪われた一家」フォン・エリック一族の物語です。当然脚色した部分もあろうと思われますが、まあ悲惨です。ただし、かなり古い史実をベースにした作品ですが、家父長制というかマッチョ主義というかそういうのへの批判が暗に仄めかされていて、ようするに昨今の時流に乗っかったお話だったりします。私自身、家父長制だのマッチョ主義だの苦手です。というか超嫌いです。しかし、最近そういうテーマの作品がやたらと多く感じていて、正直食傷気味だったりします。とはいえ、これはプロレスのお話ということもあってか興味津々に観ることが出来ました。昭和のプオタじゃなくても全然楽しめると思います。楽しめる筈です。あと、「アイアンクロー」と「ダンカンコノヤロー」はちょっと似ている、などとものすごくどうでもいいことを考えたりなんかもしました。

 

【映画】『毒娘』

夫と嫁さんと嫁さんの連れ子の少女が郊外の一軒家に引っ越してきたらクソデカいハサミを振り回したりして大暴れする少女がおウチに度々侵入してきてしかも連れ子のおねーちゃんとなぜか意気投合してつるむようにまでなっちゃってやれやれ僕は射精した、みたいなお話です。これはわりとどうでも良かったかなあ。なんといってもクソデカハサミ少女というかまあいわゆるひとつの「毒娘」のことですが、こいつの人物像が私にはよくわかりませんでした。一応、連れ子とおなじように心に傷を持つ少女っぽい感じに描かれていましたが、そのわりにおまえはターミネーターかみたいな万能感がありすぎだったりで、人間なのか化け物的なアレなのか、よくわからず、かといってそこいらへんをうまくぼやかしているような考察しがいのある内容でもないというか、よく覚えてませんがたぶんそんなような感じだった気がします。

 

【映画】『インフィニティ・プール』

売れない小説家やってる旦那が嫁とリゾート地の孤島に気分転換を兼ねて遊びに来たら旦那のファンだと名乗る女と仲良くなってついでにそいつの旦那や仲間たちともつるむようになって手コキされたりクルマで人轢いて死刑を宣告されるがこの島では金払えばクローンが身代わりになってくれるから大丈夫ダヨーンみたいなことになってくお話です。これはかなり好きなやつでした。俗世界から隔離された環境で倫理を外れた行為にずぶすぶとハマり込んでいく、というシチュエーションがじつに不気味でゾクゾクしましたし、サイケでグロいヴィジュアル描写も、重厚だけどうるさすぎない音楽もばっちりストライクでした。というかミア・ゴスってやっぱりすごい。なんかホラーかつミステリアスなキャラクターを演じさせたら右に出る者はいないのでは、と言いたくなるような妙な魅力があるなあ、と感心しました。

 

【映画】『オーメン:ザ・ファースト』

そうそう股にアワビが貼り付いてんのかよってはじめて見たときは衝撃を受けてしばらくトラウマになりました、ってそりゃオーマンです。という、とてもおもしろくないダジャレはともかくとして、いまさらオーメンかよと思いつつ、なんだか評判が良さげだったので誘惑に負けて観に行ってしまいました。オーメン爆誕までの道のりを懇切丁寧に描いた、評判どおりのよく出来た作品だと思いました。結果的にモザイク越しでしたがマジのオーマンが観られたのも大きな収穫でした。ただ、私は悪魔とかまるっきり興味がないのであんまり刺さらなかった、というのが正直なところです。じゃあ観に行くんじゃねえよという話ですが、せっかく休日だからなんか映画観に行きたい! でもほかに良さげな映画がない! ということでついうっかり本作をチョイスしてしまったのでした。

 

【映画】『貴公子』

病気の母を抱えながら地下ボクシングでなんとか生計を立てているフィリピン暮らしの貧しい青年のもとにある日、一度も会ったことがない父がぜひ対面したいから韓国に来てくれないかという一報が入り、関係者を名乗るなんだか悪そうな連中とともに彼の地へ向かうが、と同時になんだかやたらとニコニコしていて悪そうな青年にもなぜか付き纏われるようにもなって……みたいなお話です。これはとても良かった! 個人的には現時点で本年度ベスト級の作品でした。まず、韓国映画ならではのエグいぶっ殺しアクションが冴えてます。おまけに展開も先読み不能の楽しさに満ち満ちてます。そしてなにしろ「貴公子」のキャラクターが大変素晴らしい。すこぶる不気味、けれどすこぶるお茶目でもある稀有な魅力があります。残酷で悲しい物語なのにいい感じの「軽さ」もあるというか、とにかく『シティーハンター』の冴羽獠のようなキャラクターがツボな人は本作の「貴公子」にもベタ惚れする筈です。

 

以上。疲れたので続きは次回。おしまい。