2024年4月の消化物(映画)その2

ブログにログインしたらひさしぶりにコメントが届いていて、「なんだろう。“死ね!”とかそっち系のコメントかなー」とワクワクしながら通知欄を開いてみたのですが、「我が国では反日の中国人と韓国人が暗躍しております! 私のブログを読んで真実を知ってください!」みたいな内容のリンク付きのコメントであって、「で、それはともかくとして、記事面白かったです!」とか嘘でもいいから書いてくれても良いのではないかと思った私は心が狭い人間なのでしょうか。4月にもぐもぐした映画の感想文後編です。

 

『ザ・タワー』

ある日、気づいたらマンションの周りが闇で覆われていて、その闇に踏み入れたら最後、物や人間が綺麗さっぱり消滅してしまう世界を描いたシチュエーションスリラーです。今までなかったようなこのアイデア自体はいいなあ、と思うのです。こぢんまりとした世界観も嫌いじゃないです。ただ、いかんせん絶望が足りてません。もっと人間のズルさだったり惨めさだったりをとことん描いてほしい。パンチ不足です。その証拠にオチをまるっきり思い出せません。鑑賞直後に投稿した私のツイートというかポストではオチについてしっかり言及しているのにもかかわらず、なのです。というか、昨日の晩になにを食べたのかも思い出せません。ちょっと病院に行ってきます。

 

『No.10』

舞台俳優やってるおっさんが共演者のねーちゃんと不倫してて、で、なんだかかんだしてる最中に一人娘の肺がないことが発覚してついでに自分自身の肺もないことが発覚して「はいそうですかー」みたいなことになってくお話です。「いや相当シュールでダルいコメディだなー」と思いながら観てたらどんどん話が明後日の方向に転がって行って「ほー、そう来たかー」と感心しましたが、やっぱり相当シュールでダルいことに変わりはなく、まあオチはわりと好きな感じでしたが、家で観てたらたぶん途中で寝落ちするか録画機に撮り溜めてある警察24時の視聴に切り替えてたんじゃないかと思われます。

 

『マンティコア 怪物』

ゲームデザイナーやってるあんちゃんが蓮舫を彷彿とさせるショートヘアーのプリティーなねーちゃんと出会いやがて互いに惹かれるようになって、みたいな、すこぶるダルいラブストーリーだなーと思いながら観てたら「怪物」が突然現れてどんどん明後日の方向に話が転がって行きました。この病んだ感じ、嫌いじゃないです。「ほんとうの怪物」はこの人だったのでは、と解釈できるオチも結構ゾクゾクしました。これでサメとゾンビと筋肉でなんでも解決してくれるマッチョマンが出てくれば個人的には100点満点だったのですが、リアリティを重視したのでしょうか、残念ながらそんなおもしろい展開にはいつまで経ってもなってくれませんでした。

 

『辰巳』

そうそう猪木の引退試合観に行ったらセミで「ドラゴンファイナルカウントダウン」ってやっててね、そんで「あードラゴンも引退かー。ひとつの時代が終わるんだなあ」って感慨に耽ったものですがいまだに現役って詐欺ですか、ってそりゃ藤波辰巳もとい藤波辰爾です。という、とてもおもしろくない小ボケとひとりノリツッコミをついうっかりやからしてしまうくらいなんだか乗れませんでした。というか、ぶっちゃけ内容ほぼ覚えてません。あんまりおっちゃんら至近距離で喋り合わないほうがいいのではみんな息くさそう、と思ったのはなんとなく覚えてます。

 

『キラー・ナマケモノ』

人ぶっ殺しちゃうナマケモノひっぱり出してSNSで承認欲求満たそうとしてる社会に警鐘を鳴らしてやるぜ! みたいな、志が高いんだか低いんだか、とにかくそんなようなホラーコメディでした。ナマケモノは可愛くて大変よろしいのですが、恐怖描写も笑いもどうにも生温く、これだったら不出来すぎて逆に笑えたプーさんのホラーのほうが全然好きだなあ、と思ってしまいました。

 

『異人たち』

おなじマンションに住んでるおっさんとエレベーターで一緒になった青年が仲良くなって付き合って突き合うような仲になるが、一方である日なんの気なしに幼少期に過ごした郊外の家を訪れたおっさんだったがなぜか遠い昔に死んでしまったはずの両親がふつーに暮らしていて彼らとも交流するようになって……みたいなお話です。今回、悪口しか書いてないような気がしますが、いやこれは良かったです。以前「秘密の森の、その向こう』という映画を観に行ったときにも書きましたが、私は「死者と邂逅する」というお話にどうも弱いみたいです。もちろん、現実ではありえません。絶対にありえないからこそ、こうやって映画という創作物を通して死者と向き合わせてくれることにロマンのようなものをおもいっきり感じてしまいます。さらにちょっとしたビックリ体験ができるオチも待ってます。これには意表をつかれました。後日、オリジナルである大林宣彦監督作の『異人たちとの夏』も鑑賞したのですが、相当ホラーした内容でまた違った味わいのビックリを体験できました。どちらもおすすめです。

 

以上。疲れた。おしまい。