2023年3月の消化物(映画)その2

先月もぐもぐした新作映画の感想の後半戦でございます。デヴィ・スカルノでございます。

 

『The Son/息子』

再婚した嫁さんが妊娠して幸せいっぱいの弁護士やってるおっさんがメンタル面の問題を抱えている息子とも同居するようになって……みたいなお話。いやー、これは文字どおりの鬱映画でございました。安易に解決策を提示しなかったのには好感が持てた。ただ一本の映画としては単純にとてもおもしろくなかったです。

 

『オットーという男』

妻に先立たれ「ツマンネ。よっしゃ死ぬべえ」ってなってるトム・ハンクスさんが、向かいに越してきたピースな愛のバイブスでポジティブな感じでお願いしますよ的なファミリーと出会い、最初は邪険に接していたが、やがて自身もピースな愛のバイブスでポジティブな感じでお願いしますよ的なおっさんに変身していって……みたいなヤツ。まあ、良くも悪くもそれ以上でも以下でもないお話でした。つーかコレ、ほぼほぼイーストウッドの『グラン・トリノ』じゃね? にしても、なーんかトム・ハンクスってこんな役ばっかだな。悪役とかってやったことあるのかな。「そこで今日はみなさんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」とか言ったりする悪いトムさんとかも観てみたいんですよ俺は。

 

『コンペティション』

富豪のおっさんが金に物言わせて大作映画の撮影を計画し、新進気鋭の女性監督とロマンスグレーな舞台俳優のおっさんとさらにスター俳優のおっさんが集結、クランクインとなるがいろいろとすったもんだな出来事が発生して……みたいなお話。こーれーは楽しかったなー。なにしろ下品だし毒や皮肉が効いててとてもよろしい。ひさびさに映画館で声出して笑ってしまいました。アントニオ・バンデラスって暑苦しいハンサムガイっていうイメージしかなかったんですけど、ジジイになったので方向転換したのか元からこういう演技も達者な人だったのか、かなりオモロイおっさんになってて私の中で一気に好感度が上がりました。

 

『マッシブ・タレント』

望んだ役が得られず元嫁や娘との折り合いも悪く借金を抱えていることもあって日々悶々としているかつてのスター俳優ニコラス・ケイジさんが、ギャラが貰えるからと富豪のおっさんの誕生日パーティーに参加して自身の大ファンでもある富豪のおっさんと意気投合したまでは良かったが、じつは富豪のおっさんは反社組織のボスなのではという疑いが持ち上がって、CIAからの協力依頼を渋々引き受けるニコラスさんが……みたいなお話です。とにかく終始ニコラス愛に溢れた映画で、虚実織り交ぜたお話なのも相まって「頑張れニコラス! 負けるなニコラス!」と応援したくなるような映画でした。じっさい本作は批評家のウケも良く興業成績も好調とのことで、その後も主演作が目白押し状態らしく、リアルにニコラス復活しちゃうんだから凄いと言うしかありません。いやー良かったなーニコラス! でも『ゴーストライダー』の続編はもうやめとけ! と声を大にして言いたいです。

 

以上。疲れた。おしまい。