2023年9月の消化物(映画)その2

まだ蒸し暑かったころに観に行った新作映画の感想をいまさらながら書いてみましょう。

 

『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』

医療用通報装置を誤作動させてしまったがために家にやって来た頭の悪い白人警官に殺されてしまう黒人男性の悲惨な顛末を描いた実録モノです。個人的にこういうのは「なんか『世界仰天ニュース』みたいだなあ。それこそテレビでいいんじゃね?」という感想になりがちなのですが、これはなかなか見応えがありました。まず、絵面がショボくないのが良いし、終始緊張感がすごい。タイトルでおもいっきりネタバレしているわけですが、その場にいるような臨場感があり「ひでえ話だなあ」と結構手に汗握りました。嗚呼、アメリカ怖え。でも日本の警察もわりとひでえことするよなあ、と私自身が警察から何度か受けたひどい仕打ちを思い出したりなんかしてムカついたりもしました。いい気分にはまったくなれないですし、また観たいとも思いませんが、観る価値は充分あると思います。

 

『スイート・マイホーム』

スポーツジムのインストラクターやってる旦那と美人の嫁と可愛い娘の3人家族が念願の新居を購入! 新たに赤子も産まれ誰もが羨む笑いが止まらないバラ色の日々を映像化したハートウォーミングなヒューマンドラマの傑作! みたいな、とてもおもしろくなさそうなお話では全然なく、怪異だとか死人だとかわりとホラーなアレが出てくるお話です。ただホラーと言ってもジャンプスケアとかそういう安易なビックリ描写には頼っておらず、じわりじわりと怖がらせようとしてくる演出がなかなか良いなーと思いました。まあ、オチで「超人かよ!」と軽くずっこけましたが。

 

『PIGYY ピギー』

太っちょなうえにビビりな性格なためいじめられてるねーちゃんが、いじめの張本人であるねーちゃんどもが狂人に攫われていく様子を目撃するのですが、「オラ知らね!」とシカトして、そうこうしているうちに血の滴るジューシーなお肉が飛び散ったり恋しちゃったりする、まあ、なんだかよくわからないでしょうが、とにかくそんなようなかなり風変わりなお話です。なにしろ先が読めないし、「ほー、そう来ますかー」みたいな意外すぎる展開もあったりして、そこいらへんはなかなかよろしいのですが、人物描写がやや詰めが甘い感があり、お話的にちょっと説得力に欠ける部分があるような気がしました。とりあえず、「今日は焼肉だ!」みたいなことを考えてる人は観ないほうが良いのではと思われます。

 

 

『コンフィデンシャル:国際共助捜査』

北のイケメンと南のブサメンと米のイケメンの刑事3人が協力して悪い連中をぶっ飛ばすお話です。ちなみにこれは続編作で2作目になります。公開前にアマプラで前作を観てみたらおもしろかったのでこちらも観に行ったのですが大正解でした。前作同様、サブキャラも含め登場人物のキャラが立ってて魅力的だし、シリアスと笑いの塩梅もちょうどよろしい。はっきり言ってマンガなお話ですが、エンタメ活劇としての魅力がたっぷり詰まっているのでまったく気になりませんでした。あるかもしれない3作目にも期待したいです。

 

『ハント』

上の『コンフィデンシャル』とおんなじようにこれも北と南があーだこーだする系のお話です。ただ内容的には全然違ってだいぶ気合い入ったスパイものです。騙して、騙されて、ヘンな日本語喋って、みたいな、相当入り組んだ気合いたっぷりの描写の連続で観ているこちらも自然と気合いが入るほど見応えがあります。とはいえなんでもかんでも気合いで解決できるほど世の中は甘いものではなく、なにしろ登場人物が多すぎ、人物相関図が複雑すぎで、私の頭が悪いだけなのかもしれませんが、まあ、中盤あたりからだいぶわけがわからなくなりました。ただ最後に白目剥いて死んでった人の死にっぷりがとても輝いていたのはよく覚えてます。個人的には本年度の「最優秀死んだフリ賞」の筆頭候補に推したくなるほどの見事すぎる死にっぷりでした。

 

以上。疲れた。おしまい。