2023年7月の消化物(音楽、映画)その1

やる気出ねええええええええええええ!

けど書く。

というわけで、先月もぐもぐした音楽と映画の感想文です。

 

【音楽】ブラー『The Ballad Of Darrn』

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「ツアーするついでに新作出してくんないかなー。ま、ないだろなー」と半ば諦めていたというか期待しないようにしていたので「新作あるよー。つーかもう出来てるし」とかいうアナウンスがツイッターに流れてきたのを見た瞬間には心底驚いたしひさびさに鳥肌が立った。というわけで8年ぶりの新作を聴いた。「地味だなー、枯れたなー」という印象が強い。正直、ピンとこない。いや、ピンとこなかった。それこそ「Girls & Boys」や「Song2」のようなノリノリのダンスチューンやエレキをガンガンかき鳴らすぜ的なロックな曲はない。ただ、渋い歌声を聴かせてくれるデーモンのヴォーカルだったり、相変わらず手癖感が一切ないのに「らしさ」全開のグレアムのギターだったり、あるいは儚げな美しいメロディラインだったり、地味だが何度も聴き込んでいくたびにどんどん骨身に沁みてくるというか、なんか「グッとくる」というか、とにかくそういった部分がいままでブラーの作品とはまた一味違うように感じる。往年のブラーを再現するような気などさらさらなく、深い年輪が刻まれたいま現在のブラーのサウンドを鳴らしてくれているような、なんかそんな味わいがある。ああ長いことファンやってきて良かったなーと思わせてくれる、そんなアルバムだと思う。

 

【映画】『告白、あるいは完璧な弁護』

ホテルの一室で若い女がぶっ殺されて女の不倫相手で部屋にも一緒にいたIT企業の社長やってるおっさんがとっ捕まるが「わーたーしはやってない潔白だー」と頑なに主張していて、やがて有能な弁護士のおばちゃんが裁判に臨むため両者間で話し合いをすることになるが……みたいなお話。事件の真相が二転三転するようなまったく先が読めない謎解きサスペンスで、基本的には私はこういうヤツはわりと好きなタイプの映画だったりするのだが、なんか回りくどいなというか、「つーかクソしてえ。どうでもいいからとっとと終わらせてくんないかな」みたいな事態に陥ってしまったのは、私のお腹の問題以上になんか応援したくなるような魅力的なキャラがいなかったのが大きいのでは。と終演後トイレでクソしながら思った。

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【映画】『リバー、流れないでよ』

旅館を舞台に2分間のループ地獄に巻き込まれる人らを描いた物語。手間暇かけまくり凝りまくりの設定はおもしろないなと思ったが、絵的なしょぼさもあってかなーんか映画観てる感があんまないというか、前作『ドロステのはてで僕ら」とおなじような感じで良くも悪くも舞台舞台してるというか、全体的にこぢんまりとしてる感がどうにも拭えなかった。まあ、低予算映画だからと言ってしまえばそれまでだが、にしても絵的・お話的にもうちょいビックリするような衝撃展開が欲しかったなと思った。

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「映画】『Pearl パール』

昨年公開の『X エックス』で映画を撮りに来た若者どもを相手に八面六臂の大活躍を繰り広げた殺人鬼のキモいババアの少女時代を描いた前日譚。「アタシ、女優になる!」と夢見る未来のモンスター、もとい夢見るピュアな少女が、苦しい家庭環境のなかで次第に精神が蝕まれていって……というキリキリするような痛々しさは単に怖がらせるだけのホラーとは違う味わいがあり結構好きかもってなったが、中盤あたりからわりとどうでもよくなってしまったのは、結局前日譚なので先が読めてしまったせいなのかもしれない。とはいえ、主演ミア・ゴスの気合い入りまくりの顔芸はすごかった。というか、すごすぎてちょっと笑いそうになった。

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【映画】『ヒッチハイク』

2人組のヤングな男子が山道でダメ元でヒッチハイクしてみたら親切な川崎麻世ファミリーが拾ってくれて「ラッキー!」ってなるが、まず双子の娘がなんだか不気味だし、カイヤじゃない嫁のババアもこれまた不気味だし、麻世は麻世で「ジョージ」とかいうアホ丸出しの名前名乗るわおまけに隙あらば大声で歌を歌い出すわでわけわかんねーってなって、で結局なし崩し的にみんなで山でキャンプすることになるが……みたいなお話。はっきり言っていま書いたあらすじだけでほぼほぼ説明が終わってしまうホラーなのだが、人通りが滅多にない田舎、静まり返った夜の山中、親切だが腹の内がいまいちわからぬ人物、というなんだかやだなー、怖いなーと誰もが一度は経験したことがあるような恐怖を上手いことシンプルに掬い上げてる感がして個人的には思いのほか好感度が高い映画だった。いや、怖いというより笑ってしまったんだけど。

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以上。後編は次回。