2023年10月の消化物(映画)その1

先月もぐもぐした新作映画の感想文です。

 

『コカイン・ベア』

山に落っこちてたコカイン喰ってクマさん大暴れ、みたいなお話。まあ、悪くはない。同じクマが出てくる映画としても『グリズリー』のようなバカ映画とは比較にならないレベルでよく出来ていた。とはいえ、せっかく「クマさんガンギマリ」というなんぼでもおもしろくなりそうな突飛なアイデアを取り入れた癖にそのアイデアを生かしきれておらず、結果的に凡百のホラーコメディに落ち着いてしまっているのはいかがなものか。たしかにカップルがセックスの前菜に観るモノとしては、ほんのり怖くてほんのり笑えるちょうどいい塩梅のお話だったと言ってよろしいのかもしれない。しれないが、個人的にはセックスする気まんまんだったカップルのやる気が失せるような、なんなら観たあと自然と互いに別れ話を切り出すようなもっとエグくてぶっ飛んだヤツを期待していたのでわりとガッカリしてしまった。

 

『BAD LANDS バッド・ランズ』

オレオレ詐欺的なことして老人とかから金騙くらかして生活してる姉弟がヤクザの人たちとトラブルを起こしてそんで血で血を洗う抗争に発展して……みたいなお話。まず、登場人物が軒並み関西弁で喋ってて、で、それはべつにいいのだが、にしても「なに言ってんだかよくわかんねえよ!」という大問題が発生してしまったわけで、ただこの映画の舞台って西成だったっけ、観に行った後に現地住みの人の感想がツイッターに上がってたので読んでみたら曰く「西成の人がふだん喋る関西弁を忠実に再現してた」らしく、そりゃ聞き取りづらいわけだ、と納得した。なので私のように西成という地域に縁がない人は鑑賞する際は注意が必要ですよ、という問題はあるにはあるが、これはおもしろかった。貧困とか特殊詐欺集団とかそこで悪事を働くドロップアウト系の人らとか、いまふうのテーマを取り扱っていて、でも時流になんとなく乗っかってみましたみたいな感じはなく、かといって社会に警鐘を鳴らすという感じでもなく、あくまでもドライに描いているのが良いな、好きだな、と思った。

 

『イコライザー THE FINAL』

お馴染み元CIAトップエージェントのロバート・マッコールさんが悪い人たちをバカスカしばき倒すヤツ。ぶっ殺しに特化したぶっ殺し好きのための殺りすぎエンターテインメント。本作でおしまいとのことだが、シリーズ中、一番テンポが良かったのではと感じるくらいソリッドな疾走感がまんまんだった。まだまだ観たいなー、と思ってもらえてるときにすっぱりおさらばするのがまたマッコールさんらしい。

 

『配信犯罪』

若いあんちゃんがパソコンいじってたら突然謎のリンクが送られてきてクリックしてみたら「睡眠薬で眠らせたねーちゃんをペロペロしたりするところをいまから配信しちゃうヨ!」とか楽しそうにしてるおっさんが画面に出てきて「ハア?」みたくなりつつまじまじと観てみたら「つーか眠らされてるのオレの女じゃねーか!」ってなって、みたいなお話。私は最先端のデジタル機器みたいなのになにしろ疎くて、なので、こういうおっさんとあんちゃんがパソコンの画面越しにバトルを繰り広げるみたいないまふうのシチュエーションスリラーは結構好きで、「へー、こんなことも出来ちゃうんだスゲー」みたく無性にワクワクしてしまう人なのだが、これはあんまりワクワクしなかった。というのは、わりと前半のほうで「もしやこいつが一枚噛んでるのでは…?」ってなって、実際大体そのとおりのオチになってしまったから。なんか全体的にスカッとしないし説教臭いな、と思ってしまった。そして変態紳士役のおっさんはアリtoキリギリスの石井という人に似ているな、とも思った。

 

『極限境界線-救出までの18日間-』

アフガニスタンで韓国人23名がタリバンの人らに拘束されてしまって外交官のおっさんと現地の工作員のイケメンがタッグを組んで人質解放に向けて超がんばるお話。地味だがそれなりに手に汗握る展開で「実話をもとにしてるとか怖いなー」とか思いつつ観てたのに気づいたら超人映画になってて脳味噌が破裂しそうになった。

 

以上。続きは次回。疲れた。おしまい。