ナンバーガールの最後のライブを観てきた。残念ながらチケットは取れなかったのでライブ会場である神奈川・ぴあアリーナMMで生観覧することは叶わなかったが、いくつかの映画館でライブビューイングなるモノが開催されるというのでわりと近場の映画館へ行き観てきた。
ライブ会場、というか劇場内は満員だった。どの席も見事に埋まっている。満員って『アバター』を観に地元の映画館へ行ったとき以来じゃなかろうか。いやーなんだかすごい光景だ。
にしてもライブビューイングなるモノを体験するのははじめてである。当然ながらいつものように映画を観るのとは勝手が違うはずだ。
たとえば、通常のライブを観に行ったときのように立ち上がって観てもいいのか。ヘッドバンギングしながらノリノリな調子で身体を動かしていいのか。「ウォー!」とか奇声を上げたり拍手をしたりしても構わないのか。あるいはダイブはどうなのか。
結果から言うと、立ち上がったりヘドバンやダイブをかましたりする客は一切いなかった。いや、私は3列目の席にいたので後ろの客どもの様子はわからなかったが、おそらくいなかったはずだ。
ただ、席に座りながらナンバーガールの演奏に合わせて身体を動かす客はいた。というか私自身もそうした。「した」というか自然とそう「なった」。
さらに曲が終わると拍手も起こった。最初のほうこそぱらぱらとまばらだったが、ライブが進んでいくうちに拍手の音がどんどん大きくなっていった。
なので実際のライブ会場と同等とまでは行かないものの一体感みたいなものはあるっちゃあった。この日のライブはスペースシャワーTVでも生中継されていたらしいが、家でひとりこたつに入りぬくぬくしながら観ていた人間とは感じるものがちょっと違っただろう。
あとライブということで飲酒しながら観覧して膀胱が活発になったのか、途中退場→再入場する客がやたらと多かった。唯一不満を挙げるなら音が小さく感じられたことだろうか。やっぱり音楽の、ロックのライブなので、音量はもっとバカデカくしていただきたいなと思った。
そして肝心のナンバーガールのラストライブである。
とてもとても素晴らしかった。
私は20年前の1度目の解散時のツアー、つまり、今は亡きZepp Tokyoで行われた関東圏での最後となった公演を観に行ったのだが、あのときとは随分様相が違った。
なにしろナンバーガールの面々に笑顔があった。ナンバーガールらしくギラギラしているが、それでいて生温さのようなものは一切なく、メンバー各々の演奏技術・表現力が増した「新生ナンバーガール」を最後の最後まで見せつけてくれた。
20年前、仲違いのような形で空中分解してしまったバンドを新たに違った姿で甦らせ、最後のステージ上で満足そうな笑顔を浮かべ、その活動に終止符を打った。
新曲なり新作アルバムを作らなかったのは、せっかく修復したメンバー間の仲をまた拗らせたくない、という向井の思いがあったからではないか。
じつに幸福な最後のライブだった。
— NUMBER GIRL (@numbergirl_jp) 2022年12月11日