ZAZEN BOYS@新木場STUDIO COAST(2019/5/29)

昨夜はZAZEN BOYSのライブを観に新木場STUDIO COASTへ行ってきた。 

f:id:tonchi-banchou:20190530211135j:plain

 

ZAZEN BOYSのライブを観るのはかなりひさしぶりになる。

それはわかっていたが、ファイリングしてあるチケットの半券を調べてみたら驚いた。

直近としてはなんと2009年9月23日、JCB HALL(現:TOKYO DOME CITY HALL)にて行われたエレカシとの対バン以来。さらにワンマンとなると、やはり同年9月10日、会場は渋谷C.C.Lemonホール(こちらはもちろん渋谷公会堂のことである。10月からは「LINE CUBE SHIBUYA」なる名称で再オープンするらしい)で、スペシャルゲストとして立川志らくが登場した「MATSURI SESSION独演会」まで遡らなければならない。

10年ぶりかよ。マジでびっくりした。そして、まさか立川志らくをテレビでしょっちゅう見かけるような世の中になるとは、当時はまったく想像すらしていなかった。

10年ぶりである。なぜ、ここまで間隔が空いてしまったのか。私がZAZEN BOYSへの関心をなくしてしまったからだ。

アルバム『すとーりーず』(2012年)を聴いて、ナンバーガールからのキャリアを通じてはじめて向井秀徳が停滞しているように私には思えた。嫌いなアルバムではないし、好きな曲もあるが、どうもいまいち燃えるところがなかった。なので、『すとーりーず』リリース以降、ライブを観に行こうという気になれず、じっさい観に行ってなかった。そして、ZAZEN BOYSは『すとーりーず』以降、アルバムはおろか新曲すらもいまだにリリースしていない。その間、YouTubeでライブ動画を観たりなどもほとんどしてしていなかった。

では、なぜこのタイミングでひさしぶりに観に行ったのかというと、やはりナンバーガールが再結成したというのが大きい。あいにく8月に野音で開催されるナンバーガール再始動一発目のライブはチケットが取れそうもないのでどうやら無理っぽい。だったらZAZEN BOYSだ、というわけである。にしても、まさか10年も経っていたとは…。

で、10年ぶりに生で観るZAZEN BOYSはいろいろと変わっていた。

吉田一郎が抜けて、新たなベーシストとしてMIYAというメガネ女子が加わっていた。カシオマンは相変わらずストーンズの『女たち』がプリントされた開襟シャツを着てステージに立っていたが、彼もやはりメガネをかけていた。そして、メガネといえばもちろん向井秀徳であり、バンドのメガネ率が一気にアップしていた。柔道二段はヴィジュアル的にはまったく変わった様子がなかった。これにはなんだかちょっとほっとした。

向井はこの日、ほぼすべての曲で、演奏が終わるたびに客席にむかって丁寧にお辞儀をしていた。これも10年前には見られなかった光景である。

もちろんZAZEN BOYSであり、多くの曲が変化・改良された形で演奏されていたのは変わってなかった部分である。「Weekend」も、「This is NORANEKO」も、「COLD BEAT」も、「Asobi」も、10年前とはまたかなり違った感じになっていた。どう違っていたのかと問われても、酒が回っていたので上手く説明するのは難しいが、とにかくかっこよかったのは間違いない。

そして、なんとなんと! 新曲が3曲も披露された。

ついに来た。俺はこれを待っていたんだ。

まず、一発目に披露されたのは「公園には誰もいない」である。センチメンタルなメロディが印象的なナンバーで、ナンバーガールの『SAPPUKEI』に収録されている楽曲をZAZEN BOYSが演奏してみたらこうなりました、みたいな感じの、『すとーりーず』の進化系と言えそうな曲である。

続けざまに披露されたのが「杉並の少年」というタイトルの曲だったが、この曲は、正直、あまり覚えていない。 酒はほどほどにすべきである。

個人的にもっとも印象に残ったのが、「黄泉の国」という曲だ。バキバキのリフをメインに構成されたファンク系のナンバーであって、ZAZEN BOYSならではの壮絶このうえないバンドアンサンブルがとてつもなかった。なにより、全身でアクションしながらグルーヴィなベースラインを刻むMIYAの存在感がじつに強烈だった。向井にとっても自信作なのだろう、この曲は本編とアンコール、2度演奏していた。

素晴らしいライブだった。それにしても、10年ぶりにライブを観に行ったらタイミング良く出来立てほやほやの新曲を聴けるなんて、私はとてつもない強運の持ち主なのであろうか。どうせならもう少し違うことに運が使われて欲しいと思わなくもないが。