いきなり不躾な質問で申し訳ない。
したことあるだろうか。野糞。
私はある。
小学校低学年のころである。
宮城県のとある町で野糞をした。夏休みで酪農業を営む親戚のおじさんの家に遊びに行ったときに野糞をした。ひとりで留守番している際にボットン便所でクソするのが嫌でおじさんちの広大な敷地内の草がボーボー生えてるところで野糞をした。
ちなみに、近くに民家がなく人もクルマも滅多にやって来ない相当辺鄙なところの癖に、そのときに限ってスクールバスが目の前を通りバスに乗ってるガキどもに笑われた。嘘のような嘘の話ではなく残念ながら紛れもない実話である。
詳しい話は以前このブログに書いたので、まあ、長グソしてるときの暇つぶしにでも読んでいただきたい。
ともあれ、はじめての野糞はとても良かった。えも言われぬ快感、開放感を感じたのを今でも鮮明に覚えている。そして私が野糞をしたのは後にも先にもこの一度きりでもある。
先日、新作の映画を観に映画館へ行った。映画が終盤に差し掛かったころ、急に便意が込み上げてきた。
さすがに劇場で漏らすわけにはいかない。最悪だ。
ただ映画は山場だった。
「クソしに途中退席し戻ってきたら映画が終わっていた」
これもまた違った意味で最悪である。
結局、我慢し、やがて映画が終わった。私は一目散にトイレに駆け込み便座に座った。
するとなにやら音が聴こえてきた。鳥のさえずりと小川のせせらぎの音である。
これがあの「音姫」というやつなのだろうか。よくわからない。よくわからなかったが、気づいたら私は宮城で野糞をしたあのときの快感・開放感を思い出していた。
ここまで読んでピンと来た人も多いのではないかと思う。
「まさか野糞にビジネスチャンスが潜んでいるとは」
恥ずかしいから言わないだけで、じつは「野糞欲」がある人は全国あまたに存在しているのではないか。私はそう睨んでいる。
「野糞で大金を稼ぐ」
決して夢物語ではないはずだ。
便座に座ると波の音やスイカ割りに興じる人々の嬌声が聴こえてくる擬似ビーチ野糞。あるいは焚き火やBBQの音がする擬似キャンプ野糞を待望する者だって少なからずいるに違いない。さらなる野糞気分を演出するため便所のデザイン自体を野原ふうにコーディネートしてほしいという声も出てくるだろうし、葉っぱを模したトイレットペーパーの早急な開発も求められるようになるだろう。
思えば世界一優秀なトイレを開発する国として日本は他国から一目置かれてきた。野糞ビジネスへの期待が膨らむのも当然のことである。野糞が日本の景気回復の突破口になる未来が早晩やってくるのかもしれない。やってこないかもしれない。