映画『トゥームストーン』-もっと「死んだフリ」に光を!-

人間誰しも一度は「死んだ経験」があるはずだ。

「えっ。ってことは、いまこれを読んでいる自分はじつは幽霊なの……?」

私は怪しい霊媒師などではないし、そういうことを言いたいわけではない。

「死んだフリ」

これのことである。

誰だって一度はやったことがあるだろう。まだ小さなお子ちゃまだったころ、友達と遊びでやったことがあるはずだ。

もちろん、私もやったことがあるが、これがすこぶる難しかった。

なにしろ「死んでる」ので「動いちゃだめ」だからである。

当然ながら呼吸するのも論外。

目を見開いたままの「死んだフリ」はもっとつらい。瞬き厳禁もプラスされ、より難度が高い。

結局、「死んだフリ」は、何度やっても数秒も持たなかった。

ちなみに100パーいないと思うが、万が一、今このブログ読んでるよーという小さなお子ちゃまがいたとしたらやり過ぎたらほんとうに死ぬので絶対にマネしないでいただきたい。そして、とっととYouTubeにアクセスして、はじめしゃちょーやらヒカキンやらの動画を楽しんでいただきたい。

さて、先日『トゥームストーン』という映画を観た。

カート・ラッセル演じる保安官を中心とする正義の軍団が町に蔓延っている悪いやつらをバタバタ退治しまくるアクション西部劇である。

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当然ながら死体がわんさか登場する映画だ。

銃で撃たれて死ぬやつ。

銃で撃たれたうえ、そのまま馬から落っこちて死ぬやつ。

ナイフで刺されて死ぬやつ。

そして、やっぱり出てきた目を見開いたまま死ぬやつ。

スカッとする展開で退屈せずに観られたし、カート・ラッセルの好演っぷりも良かった。ただ、一生懸命「死んだフリ」をしていた俳優たちに光を当てても良いのではないか。などとも思った。

なんなら、アカデミー賞に「最優秀死んだフリ賞」があってもいい。

「ちゃんと動かなかった」

「がんばって息を止めていた」

「ドライアイをものともせず瞬きをしなかった」

「死にっぷりにオリジナリティがあった」

等々を評価基準にして、その年の一番優れていた「死んだフリ」を表彰するのだ。

我ながら悪くない案だと思うがいかがなものか。

あとヴァル・キルマー。正義の軍団の凄腕ガンマンを演じていたが、大病に冒されているというキャラのため常に顔面に大汗掻いてた。

彼の出番のたびに事前に一生懸命、霧吹きで水を吹きかけていたであろうスタッフには「最優秀霧吹き賞」を差し上げるべきであろう。

たいへんよくできました。

とりあえず、そう褒めてあげたい。