男の子だもの。
やっぱり「強い人」にはどうしても憧れてしまう。
そして、物心ついたころには私は格闘技観戦が大好きな人間になっていた。
ボクシング。プロレス。K-1。PRIDE。RIZIN。
中でも夢中になったのがプロレスだ。
いまではさっぱり興味がなくなってしまったが、小〜中学生のころにめちゃくちゃはまった。
プロレスの醍醐味のひとつといえばなんといっても選手の入場シーンであろう。とにかくこれが盛り上がる。
アントニオ猪木の「炎のファイター〜INOKI BOM-BA-YE」。
長州力の「パワーホール」。
天龍源一郎の「サンダー・ストーム」。
前田日明の「キャプチュード」。
三沢光晴の「スパルタンX」。
橋本真也の「爆勝宣言」。
田村潔の「Flame of Mind」。
スタン・ハンセンの「サンライズ」。
きりがないのでこのへんでやめとくが、これらの名入場曲を耳にするといまでも胸が熱くなってしまう。
さらにロックの名曲を入場曲として使用した選手も多い。
ブルーザー・ブロディの「移民の歌」(レッド・ツェッペリン)。
アブドーラ・ザ・ブッチャーの「吹けよ風、呼べよ嵐」(ピンク・フロイド)。
テリー・ゴディ&スティーブ・ウィリアムスの「勇士の叫び」(キッス)
などなどだ。
そしてミューズである。
ミューズの楽曲はプロレスと親和性が高い。なにしろ、どの曲もやたらとキャッチーで大仰で、なおかつ、この上なくドラマティックである。そして、これらの要素はプロレスの世界観とおもいっきりかぶる。
というわけで、ミューズのプロレスの入場曲に使えそうな曲ベスト5を選んでみた。
5位「Knights Of Cydonia」
5位にランクインしたのは4thアルバム『Black Holes Revelations』収録のこちらの曲。疾走する馬の足音&マカロニウエスタンの匂いがほの香る軽快なバンドサウンドが鳴り響くイントロから持ってかれる。決闘の地へと向かう西部劇のガンマンのような気持ちになれること請け合いのナンバーだ。唯一の問題点はイントロがクソ長いので、歌が始まる前に選手がリングインしてしまう可能性がきわめて高いことであろうか。なんとなく尻切れトンボ感を選手・観客ともども感じてしまいそうだ。
4位「Apocalypse Please」
続いて4位は3rd『Absolution』の幕開けを飾るこの曲だ。いかにもこのバンドらしい荘厳なムードを醸すナンバーで、なおかつ、どこかダークな雰囲気もある。ドラマティックなピアノの旋律も強烈。お耽美キャラの悪役レスラーなんかにピッタリはまりそうだ。
3位「Stockholm Syndrome」
3位にはおなじく3rd『Absolution』の収録のこちらの曲を挙げたい。ハード・ロック&ヘヴィ・メタルにニルヴァーナとクイーンを合体させたようなキャッチーかつ重量感たっぷりのど迫力なロック・ナンバーだ。正統派善玉レスラーの入場曲として相応しいだろう。盛り上がること間違いなしである。
2位「Plug In Baby」
続いて2位はこの曲、2nd『Origin Of Symmetry』収録のシングル・ナンバーだ。まず、出だしのギター・リフからして強烈きわまりない。エレキ・ギター、ベース、ドラムからなるバンド・アンサンブルが躍動する中、マシュー・ベラミーがどキャッチーかつ「陽」なメロディをファルセット混じりの歌唱で高らかに歌い上げる。レスラーの入場曲用に天から降ってきたと言っても過言ではないであろう、否応なしに沸点が上がりまくること間違いなしの名曲だ。
1位「New Born」
そして栄誉ある1位に輝いたのはこの曲。おなじく2nd『Origin Of Symmetry』収録のシングル・ナンバーである。まず冒頭の張り詰めたようなピアノの弾き語りで聴衆に緊張感を促し、やがて稲妻のようなエレキ・ギターが炸裂した瞬間、花道にセットしている花火が爆発、そのまま導入部が終わりバンド・サウンドに突入すると共に選手入場、天高く拳を突き上げる観客……という光景が鮮明に浮かび上がってくる。泣く子も黙るハイテンション&ハイエナジーかつドラマティックなロックンロール・ナンバーであり、これほどプロレスの入場曲に相応しい曲は滅多にないと断言したい。
おしまい。