キャッチーなメロディを創作することに長けているミュージシャンを指して「メロディメーカー」と称したりする。さらにそれに加えて創意工夫に溢れたコーラスアレンジを創作することに長けているミュージシャンのことを私は「コーラスメーカー」と尊敬の念を込めて呼ぶようにしている。私はそういうコーラスメーカーっぷりが存分に味わえる楽曲が大好物だからだ。
ちなみに私が常日頃から称賛してやまない邦楽界に燦然と君臨する「コーラスメーカー」を思いつくかぎり挙げていくと、エレカシの宮本浩次、キリンジの堀込兄弟、坂本慎太郎、柴田聡子などがいる。
……つうかアレだ、意外に挙げた人が少ないことにじつは自分がびっくりしている。
えーっと、ほかに誰かいたっけ…? ま、いいか。
そして宇多田ヒカルである。
宇多田ヒカルのディスコグラフィーにはじつに魅力的でかつ創意工夫に溢れたコーラスアレンジが展開される名曲が数多い。それこそ邦楽界随一の「コーラスメーカー」と言っても過言ではない存在だ。
というわけで私の拙い文章ではたしてちゃんと伝わるのか、かなり自信がないが、宇多田ヒカルのコーラスワークが光る曲ベスト5を唐突に発表したい。
5位「HAYATOCHI-REMIX」
まず5位はこの曲。R&B風の掛け声やら自身のサンプリング音声やら、まあ、これらはコーラスというよりはパーカッション的に配置されているのだが、終盤になると主旋律とはまたべつのメロディがさらにコーラスとして加わってきたりで、もうとにかく創意工夫っぷりがハンパない遊び心満載の曲である。2ndアルバム『Distance』収録。
4位「Kiss & Cry」
4位に輝いたのは4thアルバム『HEART STATION』に収録されているシングルヒットナンバー。この曲はわりとシンプルというか特に凝ったようなコーラスアレンジが施されているわけではないが、個人的にサビに差し掛かったときに背後から聴こえてくる「ナ〜チュラ〜ル……ハ〜イ」というコーラスに毎度グッとくるので。なかば強引なランク入りである。
3位「Stay Gold」
3位には同じく『HEART STATION』収録のこのシングルナンバーを挙げたい。頭からお尻までいろとりどりのコーラスワークがこれでもかと敷き詰められていて、ただでさえ美しい主旋律のメロディの魅力をより引き立てている。うん。やっぱ良い曲だなー。
2位「Letters」
2nd『DEEP RIVER』収録のこの曲はBメロ〜サビ部から挿入される怒涛のコーラスワークがとにかくもうたまらん。シンガーソングライターならびにコーラスメーカーとしての類まれなる才能が遺憾なく発揮された名曲である。
1位「Keep Tryin'」
栄光の第1位は4th『ULTRA BLUE』収録のこの曲。本当にこの曲はすごい。そして素晴らしい。中盤あたりから綺羅星のごとく無数に降り注いで来るひたすら美しいコーラスの雨あられにただただ圧倒されるばかり。最高。文句なし。異論は受け付けない。
以上。