2019年3月の消化物(音楽,映画)

めずらしくやる気が出たので、先月に引き続き恒例の今月味わい尽くした新作の音楽とか映画についての感想をちょこちょこ書いてみようと思う。

 

●【音楽】鹿の一族『P』  

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前作からおよそ一年ぶりとなる待望の2ndアルバム。グランジ/オルタナからの影響を感じさせるサウンドはそのままに切っ先の鋭さがさらにアップデート。頭からケツまでギターもベースもドラムもかっちょいいキワキワなフレーズがてんこ盛りで、バンドとしての一体感がより強固になったような充実ぶりを感じさせられる。それでいて相変わらずこのうえなくポップかつキャッチーな仕上がりになっているのが嬉しい。荒々しさと洗練のブレンド具合が絶妙だ。これで売れなきゃおかしいぜ、と言いたくなる捨て曲なしの名盤。今すぐアマゾンシーオージェイピーで取り寄せるかCDショップへGO!、と言いたいところだが、残念ながら一般流通はなし。クソが! 1.鹿の一族ライブ会場物販、2.鹿の一族HPから通販、3.iTunes Storeなど各配信サイト、以上の方法から好きなのを選んでゲットすべし。迷っているやつは下にMVとサンプル音源上げとくから聴け! いいか、絶対にだ!  

www.youtube.com

風呂

風呂

  • 鹿の一族
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

●【音楽】柴田聡子『がんばれ!メロディー』  

がんばれ!メロディー

がんばれ!メロディー

 

タワレコに行ったら前々から気になっていた柴田聡子のニューアルバムが出ていたのでなんとなく買ってみた。そして、はじめてがっつり柴田聡子の音楽を聴いてみた。感想。うん。良い。アルバムのタイトル名が表すように、とにかくどの曲もメロディが良い。なおかつ感心したのが色とりどりのコーラスワークだ。これがまた美麗でとても良い。日本を代表する「コーラスメーカー」(※美しくも印象的なコーラスを創作するミュージシャンのこと。俺が勝手に命名した造語)といえば、個人的には宇多田ヒカルとエレカシの宮本が思い浮かぶが、本作からも随所で宇多田や宮本を彷彿とさせるような素敵なサムシングを感じさせられた。「♪サトームセン!」だ。わけがわからない。とにかく、全編歌心あふるる楽曲がこれでもかと敷き詰められた作品だが、タイトで風通しの良いバンドアンサンブルや、隙間を生かしたサウンドプロダクションのおかげで妙な暑苦しさとは無縁なのも好感触。 

 

●【音楽】Weezer『Black Album』  

Weezer (Black Album)

Weezer (Black Album)

 

『Make Believe』以来、ひさかたぶりにがっつり聴いた。まず、グッドメロディが健在であることにホッとした。とはいえ、ギターポップ色がほとんど消え失せているのには正直驚いた。じっさいトレンドに寄せたサウンドプロダクションはファンの間でもかなり評価が割れているようだ。個人的には、もうかなりのベテランバンドであるのにもかかわらず貪欲にトレンドを取り入れていく姿勢は支持したいところであるし、優れたポップソングも多数収録されているアルバムだと思うが、いくつかの曲は派手派手しいサウンドプロダクションに比べて「ウィーザーっぽさ」が若干負けているような気がしないでもない。とくに「California Snow」はあきらかにやり過ぎだと思う。

 

●【映画】『THE GUILTY/ギルティ』

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おで、アスガー。刑事なんです。ほんとは現場に出て悪いやつらとっ捕まえたりしているはずなんだけど、ある事情でいま緊急通報指令室のオペレーターやらされてるの。あー、オペレーターなんてやってらんねえ。でも、それも今日で終わり。さあ、はええとこ腐れ仕事済ませて現場に復帰だ。プルルルルル。はい、もしもしこちら緊急通報姿勢室ですがあ! えっ? 旦那に誘拐された? なにそれ? やっべええええええ! えっと、奥さん大丈夫……じゃないよね? わかった! おで、助ける! えっ、こどもが? ひええええええ! は? ヤバいのは旦那じゃなくて奥さんのほうなの? ひええええええ! やっべええええ! どうしよう! つうか、俺、あした裁判なんでそれどころじゃないんだけど! ああ、でもほっとけない! どうにかしなきゃ! ……つう、ちょっと風変わりなサスペンススリラー。終始画面に映っているのは主人公のおっさんだけであって、おっさんフェチなら大喜びだろうが、基本、視覚的なおもしろみはいっさいない映画である。まあ、地味な映画だ。でも、電話越しの声だけを頼りに話が進んでいくっていうのが当事者気分を味わえるというか、ちょっとした新感覚で、けっこうおもしろかった。ラストが綺麗にまとまりすぎているのが個人的にはちょっと好みではなかったが。とはいえ、大味なハリウッド映画にうんざりしているという人は観て損はないと思う。ただし、ケータイのバイブにビクっとなるのは間違いないので心臓の弱い人は注意必須。

 

以上。