最近、Momというミュージシャンが気になっている。で、YouTubeにいくつか曲がアップされていたのでその中の「いたいけな惑星」という曲を再生してみたら「あれ? これは……」とすぐにピンときた。
「これって、フィッシュマンズじゃん!」
↑をクリックしてみてくれたロッキンかつファッキンな人ならおわかりだろうが、べつに安易にパクっているというわけではない。ただ、フィッシュマンズから多大な影響を受けて作られたのであろうことがまるわかりな曲である。とにかく大好きなんだろうなー、ということがすごく伝わってくる曲で、フィッシュマンズが同様に好きな自分としてもなんだか嬉しくなってしまった。
フィッシュマンズの音楽の魅力はいろいろある。佐藤伸治が書いたすこぶるポップで瑞々しくて感傷的でもありなおかつ空虚感・鬱っぽい雰囲気も感じさせる唯一無二な楽曲、ロックに加えレゲエやファンクやヒップホップなど様々なジャンルを地肉化した柔軟性に富んだバンドアンサンブル、サウンドエンジニアであるZAKと共同で制作された後期作品の実験的かつ独創性に溢れた音楽性、などなどだ。
さらに付け加えたい魅力がもうひとつある。
柏原譲が奏でるベースラインである。
この人は本当にすごい。世界に誇れる名ベーシストだと思う。
というわけで、唐突だがフィッシュマンズのベースラインが素敵な曲ベスト5を発表したい。
5位「幸せ者」
まず5位にランクインしたのは7枚目のスタジオアルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録されているこの曲。どこか怪しげでいい意味で不気味っぽくもあるベースラインがじつに印象的で耳にこびりついて離れない。
4位「MAGIC LOVE」
4位は同じく『宇宙 日本 世田谷』収録のこの曲。シングルリリースされただけあってフィッシュマンズの楽曲の中でも超が付くほどとびきりポップなナンバー。じつに躍動的かつ華麗に踊っているようなベースラインで、どキャッチーな歌メロに負けず堂々とタイマン張っているかのようでもある。
3位「BABY BLUE」
こちらもシングルリリース曲。この曲で展開されるベースラインはもはや「リードベース」と言っても過言ではない。夢見心地なサウンドプロダクツも相俟って、ずっとこの音世界に浸っていたくなる。5thアルバム『空中キャンプ』収録。
2位「WALKING IN THE RHYTHM」
やっぱりどうしても後期の曲ばかりになってしまうな。ともあれ、この曲のベースソロは必聴である。低音と高音を巧みに響かせていて、聴いているとズブズブと底なし沼にはまっていくようなトリップ感がある。ベースってスラップとか派手な技を使わなくてもいろいろな表現ができるんだ、と驚かさせること間違いなし。『宇宙 日本 世田谷』収録のナンバー。
1位「なんてったの」
そして栄えある1位は2nd『King Master George』収録のこの曲。とにかくイントロからベースの存在感がすさまじく、優雅でキャッチーでなおかつ独特な浮遊感のあるベースラインが気持ちいいことこの上ない。まさしく柏原謙と言うしかない、この人ならではの個性溢れる名演である。
……という感じで僭越ながら勝手にベスト5を選ばせてもらったが、ぶっちゃけフィッシュマンズはどの曲もベースラインが素晴らしいので、音楽聴いててベースの意義がいまいち見出せないという人はぜひ聴いてみていただきたい。
おしまい。