柴田聡子のグッとくるキラーフレーズが炸裂している曲、ベスト5

私は音楽を拝聴する際、歌詞というものをあまり重要視しない。

もちろん、いいなと思う曲にさらにハッとさせられたり個人的に共感したりするような歌詞が乗っていればそれに越したことはない。

ただ、優れた音楽イコール楽曲の出来こそがすべてである。少なくとも私にとってはそうだ。

いくら芥川賞に選ばれてもおかしくなさそうな歌詞が綴られていても、その楽曲自体がUNKOなら、秀逸であるはずのワードの数々もまるで頭に入らずボロボロとこぼれ落ちていってしまう。

私は洋楽を愛聴しており、好きな曲はたくさんあるのだが、だからといってCDのライナーノーツだとかネットの和訳サイトだとかをいちいち覗いて熱心に読み込んだりなんか滅多にしない。基本的になに歌ってんだか意味もわからず聴いている。

いや、正直に告白すると、洋楽にはまりたてのころにビートルズとかニルヴァーナの曲の訳詩集を買って読み込んだり、あと鬱になった時期にレディオヘッドの曲を聴きながら和訳を目で追って枕を涙で濡らしたりなんていう恥ずかしい経験をしたこともあるにはあるが、まあ、それくらいだ。

あくまでも楽曲の出来がすべてで歌詞は二の次。というか、曲が良ければ歌詞なんてどうでもいい。

いや、どうでもよくはないか。深い意味もないくせにやたらと前向きな歌詞のJ-POPとか不快だし。

……と意味なく韻を踏んでみたところで柴田聡子である。

この人は曲も良いが歌詞もまた良い。歌詞に鈍感気味な私でもつい耳を奪われてしまう。

というわけで、柴田聡子のグッとくるキラーフレーズが炸裂する曲ベスト5を勝手に選んでみた。

 

5位「どうして」


柴田聡子 - どうして (Official Music Video)

まず5位は7月にリリースされたばかりのEP『スロー・イン』からのナンバー。「だけどラーメンも餃子も全く人気がなくて真ん中でにっこり」「ぜいたく/孤独/ほつれを望む/滅多ことはしてみないように」などといった部分も印象的で良いが、とくに耳を奪われてしまうのは終盤の「どうしてひとりにしてくれるの私は泥棒かもしれないのに」というフレーズ。この「泥棒」というちょっとギョッとするようなワードを嫌味なくさらりと聴かせてしまうところになんというかこの人ならではのセンスを感じる。
 

4位「遊んで暮らして」

遊んで暮らして

遊んで暮らして

  • 柴田聡子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

4位に選ばれたのは4thアルバム『愛の休日』に収録されているこちらの軽快なポップチューン。「女の子らしくなったって言われてみても」からの「男やってたつもりないけど」という言い回しがとても素敵。

 

3位「ばら」 

ばら

ばら

  • 柴田聡子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

3位は記念すべき1stアルバム『しばたさとこ島』に収録のこちら。「あいつがなぜ山に行ったかわかるか?」という出だしからいきなりインパクト大である。その後も物語調の詩世界が展開されていって、全体的に素晴らしいが、個人的にもっとも印象に残るのがサビでの「静かに煮たって毎日が蒸発していつしか消えて」というキラーフレーズ。続く「かがやくあいつのひとみにはいつまでも火が映って」という部分もなんとも言えぬ余韻があってとても良い。

 

2位「結婚しました」


柴田聡子 - 結婚しました (Official Music Video)

2位は5th『がんばれ!メロディー』のオープニングトラックであるこちらの名曲。ほんわかしていて賑やかでリズムもタイトでなおかつグルーヴィで気持ちいいしコーラスも楽しいし本当にいい曲だなー、などとボケ〜っとしながら聴き惚れている最中に突如差し込まれる「今好きなことどれくらい好きでいられるかなんて話」というキラーフレーズに毎度グッときてしまう。

 

1位「涙」


柴田聡子 - 涙 (Official Music Video)

そして僅差で1位に輝いたのは同じ『がんばれ!メロディー』収録のこの曲。出だしの「今年いちばんに欲しいものは?/そのつぎに欲しいものは?/つぎに欲しいものは?/すぐに叶えられることは?/ちょっと難しいことは?/きっと無理なことは?」といった問いかけの連発からすでにドキドキさせられる。キラーフレーズは「メリークリスマスフォーユー」という部分。このワードをBメロのお尻に持ってきているところが絶妙で、そのままサビに入った瞬間、何気ない日常にぱっと光が差し込んでくるような感覚になるというか……、うまく説明できなくてもどかしいが、とにかくもう本当に素晴らしい。

 

以上。