CDレビュー:「VERY BEST OF HIKARU/西田ひかる」

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Hello! アタシ、ひかる。

というわけで、今日はこの『VERY BEST OF HIKARU』がいかに素晴らしい作品かっていうのをアタシ自身の口でお前らに説明してやろうってわけなの。それじゃいい? はじめるわよ。

もちろん『VERY BEST~』なんて書いてあるくらいだから、このアルバムがアタシの大ヒット曲を網羅したいわゆるベスト・アルバムだってことは、よっぽどのバカじゃないかぎり理解できるでしょうね。で、早速このアルバムが発売された経緯について話をしようと思うんだけど……そりゃもう苦労の連続だったわ。今でこそアタシも一流女優として世の輩どもに認知されているわけだけど、ここに至るまでには過酷な下積み時代を経験したの。

あれはまだデビューして間もないころだったかしら。当時鶴太郎がやってる夕方の生放送のバラエティー番組があったの。その番組にアタシはレギュラーとして出ていたんだけど、ただ名前が似ているというそれだけの安易な理由で石田ひかりとセットで売り出されちゃって、もう大変。アタシのほうが100万倍かわいいに決まっているんだから、当然アタシのプライドはズタズタだったわ。

まあ、アタシもプロだから生放送中では仲良さげにやっていたけど、CMに切り替わった途端、取っ組み合いのキャットファイトに突入するのは日常茶飯事。アタシがあの女の顔面に稲妻レッグラリアートをおもいっきり食らわせたと思ったら、あの女も犬の糞を手掴みで投げつけてきて応戦するわで、アバラの一本や二本折れるのも当たり前の毎日だったわ。

まあ、でも最終的にはアタシの勝ちね。なぜですって? あの女を最近テレビでまったく見かけないっていう現実がそれよ。まあ、アタシもアタシで、最近あんましテレビにお呼ばれしてないんだけどね……(泣)。ヤボなことは言わないで、もう!

あっ! いけない! 話が逸れちゃったわ。あの女の話になると途端に熱くなっちゃうの、アタシ。まあ、ここいらへんの話をもっと知りたいって方は、梶原一騎著『プロレススーパースター列伝』コミックス3巻に詳しく載っているんで良かったら読んでちょうだいね。

で、ようやくこのアルバムの話に移させてもらうけど、発売されたのは1994年。

そう。全世界にポツダム宣言が勧告された記念すべき年ね。

気づけば世の中は空前の平和ブーム。アタシ流行にはからっきし弱いもんだからすっかり触発されちゃって、仕事が終われば「サライ」を歌いながら夜な夜な街中をほっつきまわる毎日だったわ。

ところがそんなある日、いつものように深夜の街中で気持ち良く「サライ」を熱唱してたら、近所のオヤジが「うるせえ!」ですって! もちろんアイドルだからその場は丁重にすいませんって謝ったけど、次の日の夜中、オヤジんちにこっそり忍び込んで玄関に犬の糞を豪快に塗りたくってやったの。で、そのまま朝になるまで隠れて待ってたんだけど、朝刊を取りに出てきたオヤジの驚いた顔ったらなかったわね(爆笑)。まあ、今となってはいい思い出よ。

それから1994年に起こった出来事で忘れちゃいけないこととして、日本にはじめてブラが輸入されたなんてのもこの年だったわね。もっともアタシは「ブラなんぞしゃらくせえ!」ってな感じで頑なに拒否ってたんだけど、当然ビーチクのラインが丸わかりなんですわ。そんなもんだから、『デパート!夏物語』の収録に行った日なんかにゃ小林稔侍のセクハラが酷い酷い。いわゆる、ビーチクスーケーでゴイスーってやつ? まあ、セクハラは我慢すりゃいいとしても、稔侍の息が、も、くせえのなんの! これにはさすがのアタシも辛抱たまらんかったわ! サイアク!

てなわけで、マスカキ野郎どもの永遠のアイドル、ひかぴーことひかる一平でした☆ ナ~ンチャッテネ(>_<)

【全曲解説】

①フィフティーン ★★★★★

記念すべきデビュー・シングル(たぶん。うろ覚え)。15でデビューで、金だの社会的責任だのいろいろ厄介ごとが生じるようになるけど、まあ気合入れてやったろうゼ!っていう新人らしい初々しさが躍動しているナンバーよ。とにかく、若いって感じ。じっさい、あの頃の勢いはハンパなくて、「つーか、オレ、白竜に勝てるかも?」って半ば本気で思ってたもの。若さって怖いわね。

②恋は白いTシャツ ★★

で、一転してこれは恋する乙女の歌で、アイドルらしさが全開よ。タイトルからお察しの通り、吉田栄作にオマージュを捧げた曲という説明はするまでもないわね。

③Natural Summer days ★★★

「夏だ! アチ~な!」という豪快な一曲で、ライブのオープニング・ナンバーとしてもお馴染み。ただ、後にチューブにパクられて裁判沙汰にもなった曲なんで、正直、歌うのが辛かったりもするわ。

④オーマイゴッド!!だね ★★★★

これはなんといっても、文章の中途部分にビックリマークが差し込まれるタイトルが秀逸。他に「ホンキートンキークレイジー!!だね」や「ファンキーモンキーティーチャー!!だね」とか、いくつか候補があったんだけど、どれにするかで音楽プロデューサーと事務所のマネージャーが取っ組み合いの喧嘩になっちまい、最終的にはアタシの鶴の一声で「オーマイゴッド!!だね」に決定した、なんて逸話も。まあ正直、どうでもよかったんだけど(苦笑)。

⑤ときめいて ★★★★★

いわずと知れた『デパート!夏物語』主題歌。ライブでは「夢を見ている奴等に贈るゼ!」というお馴染みの常套句が演奏前に入る、強烈にロッキンなナンバーよ。アタシのお気に入り。

⑥Don’t Worry yourself ★

で、これが6曲目なんだけど……、つうかなに? まだ続くの? コレ。いいかげん、かったるいんだけど。

⑦めぐりあい ★★

これはたしか、めぐりあって良かったねって曲かしら(適当)。

⑧TRUTH ★★★

曲名「トゥルース」で、「チワース」って挨拶は古いと思ったアタシが変わりに流行らせようとしたっていう、たぶんそんなような曲よ。

⑨生きてるって素晴らしい ★★★★★

タイトルどおりのナンバーだわよ。「なんだかんだ言って、仕事してメシ食って風呂入ってクソして寝るっていう普通の日常が一番幸せなんじゃねえか?」という心境をありのままに描いた傑作ってところかしら。

⑩Happy Dream ★★★☆

ある日、何の気なしに外を歩いてたら近くの民家の中からこの曲が流れてきたの。たぶん、ちょうどアタシのファンが聴いてるところだったのね。いずれにせよ、あのストリートを歩いた瞬間、アタシの鼓動は愛しい8ビートに包まれたわ。そんな思い出深い曲よ。

⑪輝き!ください ★★★

これはタイトルを「かば焼き!ください」とどちらにするかでプロデューサーと揉め、結果的にこっちになったという曰くつきの曲。

⑫涙止まらない ★☆

いいかげん眠くなってきてあくびしたら曲名どおり涙が止まらなくなってきたんでノーコメントで。

⑬Burning Tonight(Samba Version) ☆

トレンド請負人・西田ひかるの立場として「次はサンバが来るわよ!」って作曲家に進言して作らせたんだけど、見事にコケたわ。いわゆる失敗作ね。

⑭きっと愛がある(Single Version) ★★★★★

ともかくアタシが言いたいのは、このアルバムを買うか(もちろん中古ではなく新品で)、いずれかの曲をカラオケで歌ってちょうだい(最低でも50回)ってこと。なぜって、印税が入るからに決まってるじゃないの!

 

総評(本人としての立場上)★★★★★