映画『スウェプト・アウェイ』‐マドンナがフツーの女を演じるっていうのは、マイケル・ジャクソンが『電車男』の主人公を演じるようなものである‐

マドンナ主演の映画『スウェプト・アウェイ』を観た。

ちなみにマドンナのことは正直よく知らない。とくにこれといって興味がないからだ。

まあ、「ライク・ア・ヴァージン」とかいうヒット曲があることはもちろん知っている。あと、「マテリアル・ガール」とか。

とはいえ、サビ以外の部分はどういう感じになってるのか、やはりよく知らないし、そんなわけだからCDを購入したことはいまだかつて一度もない。

ましてや、マドンナの母校とか乳首の色とか好きな男のタイプとかセブンイレブンの弁当だったらなにが一番の好物だとか、知らないし、知らない以上、熊本工業高校出身で乳首の色はやや茶色がかったピンクで好きな異性のタイプは元巨人のガルベスでセブンイレブンの弁当だったら牛カルビ弁当が好き、などと憶測で答えるべきではないだろう。

俺がマドンナに関して唯一知っていると言える知識。

それは、とんでもなくエロい女である、ということだ。

なにしろレオタード姿で飛んだり跳ねたりしたりボンテージ・ファッションでポールダンスしながら飛んだり跳ねたりしているのを観たことがあるからだ。

そんなことを公衆の面前で堂々とやらかす女、エロいに決まっている。

そんなマドンナの主演映画である。どんなエロいことをやらかしてくれているのだろう、と、観る前から俄然テンションが上がろうというものだ。

ところがじっさいに映画を鑑賞してみたところ、なんだか思ったほどマドンナがエロくない。

まあ、監督も一応男性鑑賞者へのサービスのつもりなのだろう、乳首とのご対面こそ残念ながら最後まで果たされなかったものの、水着姿のマドンナが登場するシーンがやたらと多い。見た感じ、胸と尻は良い具合に突き出ていて、それでいて腹のほうはしっかりと引っ込んでいる。ボンキュッボンなまさに理想的なプロポーションの持ち主と言えよう。

しかし一方で、どうなのだろう、このとてつもなくマッチョな身体は、と思う。

なにしろムキムキだ。そのうえスーパースターとしての本来の出自がそうさせるのか、威圧感たっぷりのオーラのようなものがマドンナが画面に登場するたび放出されまくっていて、なんだか観ていて無駄に疲れる。「エロい」というより「こええ」のである。

ちなみに本作でマドンナが演じているのは孤島に男とふたり取り残されたセレブのご婦人という役柄であり、女傭兵とか柔道の元オリンピック選手で現・女殺し屋みたいな特殊な役を演じているわけではない。こんな筋肉ムキムキで威圧感が半端ない女、世界中探してもそうは見つからないだろう。

AVでも洋物は苦手、というのは多くの男性諸氏が抱えている問題である。

あちら側の女というのはどうも、恥じらいというものがなくてよろしくない。

まあ、女のほうが積極的であることを否定するつもりはないし、むしろ個人的には大歓迎したいところではあるが、鼻の穴おっぴろげて眉間に皺寄せながら今にも食ってかからんばかりの勢いで「オゥ!」だの「カモン!」だの「ファック・ミー!」だのと大声を張り上げられても萎えるというものだ。いや、果し合いじゃないんだから、と思うのである。

なにを言いたいのか自分でもよくわからなくなってきたが、今回、生まれてはじめて2時間近くの長丁場に渡ってマドンナを鑑賞し感じたのはこういうことだ。

つまり、本作『スウェプト・アウェイ』でのマドンナは、マイケル・ジャクソンが『電車男』の主人公を演じるようなもので、スーパースターの人にはそれ相応の役どころを与えないと無理が生ずる、ということである。本作においてゴールデンラズベリー最悪主演女優賞を獲得、かたや実在したアルゼンチンの元大統領夫人という大層な役どころを演じた『エビータ』では見事ゴールデングローブ主演女優賞を獲得したことがなによりの証明だろう。

まあ、それとはべつに、やっぱり洋物のAVはもうちょっとどうにかしてほしいものだと思う。

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