『ビートルズと私』を観た。
ビートルズの大ファンであるシンガー・ソング・ライターのセス・スワースキーという人が、8年間の歳月をかけて、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴを知る世界各地の関係者たちへのインタビューを敢行し、それらをまとめて映像作品にしてみました、という体のロード・ムービー・ドキュメンタリーである。
言わずと知れた「5人目のビートルズ」であるプロデューサーのジョージ・マーティンや、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンやドアーズのレイ・マンザレクといった同業者、ジョンの最後のオリジナル・アルバムである『ダブル・ファンタジー』のプロデューサーを務めたジャック・ダグラス、オノ・ヨーコとの関係がこじれていた時期のジョンのパートナーだったメイ・パンなど、よく知られている人たちだけでなく、ジョージの学生時代の恋人やら、アップル社で出待ちしていたファンやら、さらにはジョンがレストランで食事中だと偶然知って挨拶しようとしたものの丁重に断られてしまったジョン・ヴォイトのような「『関係者』って言っていいの?」的な人も含め、総勢50人以上がインタビューに答えている。
有名な人もそうでない人もインタビューの尺はほぼ均等で、かつ、短い。そして、はっきり言ってどの人物もたいした内容のエピソードを話しているわけではない。つまり、ウィキペディアの逸話・エピソードの欄に掲載されているこぼれ話をまとめたような、まあ、それだけの作品である。であるが、これがなかなかにおもしろかった。
なんだかジョン、ポール、ジョージ、リンゴの「素の部分」を垣間見られたような気になれるというか、とにかく登場する人たちがみんな過去を懐かしみながら楽しそうにおしゃべりをしていて、もう、なんというか、ほっこりしてしまった。なにしろ、私はこういう「たいしたことないエピソード」が大好物な人間であり、以前、このブログでいろいろなミュージシャンの「たいしたことないエピソード」をまとめて記事にしたぐらいである。
で、本編の最後には登場人物たちが「好きなビートルズのメンバーは?」「好きなビートルズ・ナンバーは?」という質問に答えるのだが、これもじつに興味深くておもしろかった。
好きなんだよなあ、こういう話。
ついでにギャラガー兄弟やデーモン・アルバーンやトム・ヨークといった人たちの答えも訊きたくなってしまった。
まあ、リアムとノエルの「好きなビートルズのメンバーは?」の答えは確実にジョンだろうけど。
デーモンはポールだろうか。トム・ヨークは意外にリンゴと答えるかもしれない。
では、奥田民生はなんて答えるのだろうか。井上陽水は? 玉置浩二は? 宮本浩次は? 松村雄策は? くりぃむしちゅーの有田は? 越中詩郎は?
なんていう想像をしているだけで、丸一日、暇をつぶせそうである。
というか、これだけで本なりドキュメンタリーなり一本つくれるのではないか。
誰か出してほしい。
ただし、アイデア料はちゃんとよこせ。