「潜水艦映画にはハズレがない」というのは映画好きには有名な話だが、個人的には「医療系映画」もおもしろい作品がわりと多い印象がある。
たとえば『コーマ』だ。
マイケル・クライトン監督作で、ジュヌビエーブ・ビジョルドとマイケル・ダグラスが共演している映画である。
病院=「病気や怪我を治してくれる社会的にきわめて重要な公共機関」と誰しもが考えるだろうが、と同時に、病院といえばやはり「死」はどうしても切り離せず、なんだかちょっと不気味なイメージが頭の片隅にもたげたりもする。『コーマ』はそんな病院ならではのホラーっぽい要素を巧みに取り入れた医療系サスペンス・スリラーで、わりとハラハラドキドキしたお話だったと記憶している。
それから忘れてはならないのが『アウェイク』、あれも良かった。「術中覚醒」をテーマにしたちょっと変わり種の物語であり、先が読めない展開にゾクゾクした。こちらも医療系サスペンス・スリラーの秀作と言ってよろしい。
映画ではなくテレビドラマだが『刑事コロンボ』の「溶ける系」も良い。冷徹な殺人犯である医師に対して珍しく怒りを露わにするコロンボにしびれてしまうシリーズ屈指の名作だ。
さらに私は観たことはないが『白い巨塔』も傑作とされているし、『ナースのお仕事』は松下由樹と一緒に「あ〜さ〜く〜ら〜!」と言いたくなってしまう。
「あ〜さ〜く〜ら〜!」はともかく、かようにして医療系の映画なりテレビドラマはおもしろい作品が多い。
では、おなじ医療系スリラーの本作『ショック療法』はどうか。
これがなんとも珍妙な作品だった。
恋人に若い愛人がいることを知ったアラフォーの女が若さを取り戻すため、アンチエイジングで評判のクリニックへと出向き治療を受けることにする。
クリニックのいかにも怪しげな所長を演じているのは、仏界きってのイケメンスター俳優としてかつて世界中の女子たちをメロメロにしたアラン・ドロンだ。
まず、治療方法がすごい。ワカメステーキ食ったりワカメサウナやワカメ風呂に入ったりする。なぜワカメか。ワケワカメだ。もう珍妙と言うしかないではないか。しかしそれよりも驚いてしまったシーンがある。
問題のシーンは中盤あたりに訪れる。なにを思ったか突然衣服を脱ぎ捨てるアラン・ドロン。すると患者のおっさんおばはんたちとともに素っ裸になり、みんなして海辺で水掛け合ったりしておおはしゃぎするのだ。丸出しの連中に囲まれる中、アラン・ドロンもちんこ丸出しなのである。
あの天下のアラン・ドロンが出ている映画なんだからさぞかし立派な内容の作品なのであろうとアマプラで観てみたが、まさか違った意味で「立派なモノ」が観られるとは思いもしなかった。
まあ、厳密に言えばボカシ入りのちんこだったので「立派」であったかは不明であるが、どうも無修正版のDVDが出ているらしいので、実際の「モノ」をご確認したい方は観てみるといいかもしれない。私はアラン・ドロンのちんこにはとくに興味がないので観ませんが。
結論としては、おもしろいかというとかなり微妙だが、とにかく強烈に記憶に残る内容の映画であることは私が保証する。