「もみあげはどうしますか?」って訊かれても

いまの美容院に通うようになってからいかほど経つか覚えてないぐらいもう長いこと通い続けているが、前々から「その質問、無駄じゃね?」と思っていたことがいつのまにかなくなっていることに最近になって気がついた。

それは以下のごとき質問である。

「もみあげはどうしますか?」

カットしてもらっている最中にこの無駄としか思えぬ質問を必ず毎回され、そのたびに私は

「えっと、まあ、自然な感じで…」

と、いちいち返していた。

「意味ねえだろ」と思いながら。

だって「どうしますか?」って言われても「自然な感じで…」か、もしくは「ま、フツーで…」って答えるしかないではないか。

もちろん、ルパン三世や尾崎紀世彦やエルヴィス・プレスリーのように「伸ばしたがる人」もいるだろうが、それにしたってそのような人間はレアケースであるはずだ。

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大体からしてそういうもみあげを伸ばしたがる人は、「もみあげはどうしますか?」と質問される前の段階、つまり、席に座り「今日はどうしますか?」とオーダーの確認をされた時点で「もみあげは長めに残してください」などと注文を付けてくるはずである。

それにしても、この「もみあげはどうしますか?」って質問、どの店でも訊かれていたような気がする。小学生のころに通っていた昔ながらの庶民的な床屋さんでも、色気づいた時期に行きつけにしていた小洒落た美容院でも、1000円カットのチェーン店でも、カットしてもらっている最中に「もみあげはどうしますか?」って毎度必ず訊かれていた記憶がある。

なぜこんな無駄な文化があるんだ。

それとも私が知らないだけで、前髪を遊ばせるように、

「もみあげはアイロンパーマかけてください」

だとか

「もみあげだけ金髪にしてください」

だとか、もみあげにも「遊び」を求める人間が少なからずこの世の中にはいるのだろうか。

「えっと、もみあげは鈴鹿サーキットのシケインみたいなカタチにしてください。で、仕上げにジェルでガチガチに固めてください」

そんな奴がいたとしたら、一度がっつり話をしてみたいものだ。