映画『プラトーン』ー素直に「戦争反対!」ってなりましたー

戦争映画ってあんまり得意じゃないんだよなあ……。むしろ、苦手と言っていいかもしれない。というか、個人的には恋愛映画やファンタジー映画とともに「観ない」映画の代表格だったりする。

これは大半の戦争映画に当てはまるだろうが、なにが苦手ってなんといっても「やたらとたくさんの登場人物が出てくる」のが苦手だ。

「で、この人はどんな役だっけ……?」

てなふうになってしまいがちで、まず人物相関図が把握できないのだ。

で、人物相関図を把握できていないのだから当然ながらストーリーも理解できるはずがなく、それでも

「なんだかよくわかんねーな……」

と思いつつ頑張って鑑賞し続けるものの、気づいたら寝落ちしていた、なんてケースは一度や二度どころの話ではない。

たとえ人物相関図やストーリーをなんとか理解できたとしても、

「ああ、やっぱり戦争って恐ろしいなあ。戦争反対!」

という至極当たり前の感想しか出てこなかったりする。

つまり、戦争映画=つまらん・くだらん、と言いたいわけではもちろんなく、単に私の頭が悪さが原因である。

いや、一応好きな戦争映画もあるんですけどね。『フルメタル・ジャケット』とか『ディア・ハンター』とか。あと、デ・パルマの『カジュアリティーズ』もわりかしおもしろかったと思う。ああ、前に感想書いた『スターリングラード』もなかなかだったな。じゃあ『地獄の黙示録』や『ブラックホーク・ダウン』はどうかというと、これらも昔観たはずだが、とくに刺さった記憶がないしどんな話だったのかもまったく覚えていない。

そんなわけで、おそらく20年ぶりぐらいの再見となった『プラトーン』もまったく内容を覚えていなかった。まあ、さすがに例の両膝を地面に付けた状態でバンザイポーズをしているシーンだけはかろうじて覚えていたが。

 

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いや、『プラトーン』を観たことがない人でもあの有名なシーンだけは知っているという人は多いだろうし、第一、あのバンザイポーズをしているのはいまのいままでチャーリー・シーンだと思い違いしていたのだから、覚えていたという表現はやはり相応しくないだろう。

ちなみにあのバンザイポーズは、もちろんサッカーの試合でゴールを決めて喜んでいるわけではなく、仲間に裏切られた挙げ句ベトナム兵に蜂の巣にされたアメリカ兵(ウィレム・デフォー)が壮絶な最期を遂げるというこの映画の中でもとりわけ凄惨なシークエンスである。

「ここまで派手にバンザイして大喜びしているのだから、さぞかしかっこいいゴールシーンが観られるのだろうな」

などと、青春サッカー映画かなにかだと勘違いしてうっかり本作を鑑賞してしまうような迂闊な輩は勝手に鬱になって後悔してほしい。

で、映画の内容のほうに話を戻すと、ひさびさに観た『プラトーン』はなかなかおもしろかった。チャーリー・シーンやウィレム・デフォーに加え、トム・ベレンジャーやフォレスト・ウィテカーや、さらに端役だがブレイク前のジョニー・デップも出ていたりだとか、やっぱり登場人物がわんさか出てくるが、ストーリーもとくにわかりにくいだとか感じることもなかった。

20歳ぐらい年を取って、ようやく頭が人並みになったのだろうか。いや、単にチャーリー・シーン以外「この人だれ?」状態だった昔と比べて、いまは役者の名前も顔もそこそこ知っているので、そのぶんストーリーも比較的スムーズに頭に入ってきた、と考えるべきだろう。

とにかく、人並みの知性を持っている人ならふつーに楽しめる映画であることは間違いないと断言してよろしかろう。まあ、戦争映画を観た感想が「おもしろい」だとか「楽しい」だとかってのも少々アレな気もするが、おもしろかったり楽しかったりしなければまず頭に入ってこないのであって、その結果が「ああ、戦争ってやっぱり恐ろしいなあ。戦争反対!」になるはずである。やっぱり、どんな作品でも「面白い」に越したことはないだろう。

ちなみに私が一番好きな戦争映画は『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』である。まあ、あの映画を「戦争映画」という括りに入れてしまうのはちょっと違うような気がしないでもないが。

 

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