リーアム・ニーソン主演の『フライト・ゲーム』つう映画がこないだテレビでやってたんで観たが、やっぱりいつものリーアムおじさんだった。
んで、ようするにこの映画、というかリーアム・ニーソン主演のアクション映画全般って基本プロレスなんだな。
飛行機でフライト中、
「金よこせ。でなきゃ今から20分経過するたんびに飛行機の中にいる人間をひとりずつぶっ殺す」
というテロを予告する内容のメールが突如リーアムおじさんのもとに届く。
差出人は不明。リーアムおじさんの役どころは、幼い娘を病で亡くしそのせいで嫁との関係がこじれ独り身となり今は酒に溺れる毎日を過ごしている航空保安官である。
プロレスで言うならば、もちろんリーアムおじさんがベビーフェイス(善玉)で、テロを企てる犯人がヒール(悪役)だ。
プロレスの世界では基本的に最後はベビーフェイスが勝利をおさめることがお決まりになっている。当然ながら本作においても勝利をおさめるのはリーアムおじさんのほうである。
犯人にまんまと金を奪われたうえ多数の死傷者を出し、その責任を取らされる形で航空保安官をクビになって欝になり「もうどうでもよくなっちまったなあ…」とかなんとか言って郷里に引っ込んで牛を育てながら細々と暮らすリーアムおじさん、みたいなバッドエンドにはならない。なるわけがない。
犯人っぽい怪しげな人物は5・6人出てくるのだが、リーアムに協力的だがどこかワケありな事情を抱えてそうな女、IT技術者、アラブ系の医師、やたらとケンカっぱやい刑事など、ひとりひとりのキャラが立っているのもプロレスと一緒。ベビーフェイスとヒール、さらにはレフェリーやマネージャーや実況アナウンサーなど、各々の「登場人物」のキャラもきちんと立ってなければプロレスという「ドラマ」はけっして盛り上がらない。
プロレスには数々のお約束がある。
「なんでロープに振られて戻ってくるの?」
「対戦相手がトップロープに登って技を繰り出そうとしてくる間、なんでリングの中央で寝っ転がりながら技を受けるのを待っているの?」
などと、プロレス初心者はつい無粋な疑問を投げがちだが、「こまけえことは気にしない」のがプロレスの暗黙のルールである。
この映画でも
「なんで犯人が銃をぶっぱなしてるのにリーアムおじさんにはかすりもしないの?」
だの、
「つーか、アル中で自堕落な生活を送っているおっさんという役柄のはずなのに、なんで全盛期の猪木ばりに超強いの?」
だの、リーアム映画の初心者は鑑賞中、数々の疑問が湧き出てくるだろうが、プロレスと同様、お約束に突っ込みを入れるような野暮なことは言っちゃいけない。
そんなリーアムおじさんであるが、今月末には全国の劇場で『トレイン・ミッション』なる新作映画が公開されるという。
今度のリーアムおじさんは電車内で悪者と闘う人物を演じているとのことだ。
例によってプロレス的な世界観で我々を楽しませてくれることであろう。
ひとつ心配なのは、この6月で66歳になられるというリーアムおじさんのご年齢である。
70や80になってもリーアムおじさんには悪い奴をぶっとばし続けていただきたいものであるが、現在でも充分ご高齢であり体力的な面での衰えは出てきているはずだ。ジャイアント馬場のようなスローモーなアクションをされたんじゃさすがに説得力はなくなる。まあ、そこいらへんはCGとかでどうにかしていただきたい。