hideのヴォーカリストとしての秀でた才能を堪能できる曲ベスト5

先日、『有田と週刊プロレスと』のシーズン3エピソード13を観ていたら、「ブロディ刺殺事件」について有田とゲストのバイきんぐ小峠が以下のような話をしていた。

有田「コンビニかなんかで東スポで『ブロディ死す』って書いてあって、『えー!』ってなって……」

小峠「プロレス界はもう……騒然ですよね」

有田「騒然ですよ。もう、うわぁ……。しかも本当にいまから……いまからっていうときだったのよ。ブロディおもしろくなってくるぞ〜。ハンセンVSブロディとか……」

 

ちなみに説明しておくと、「ブロディ」とは、昭和の時代にプロレスを観ていた人なら誰もが知っているであろうブルーザー・ブロディのことだ。

かつて日本のマット界を主戦場に活躍していた外国人レスラーであり、猪木や鶴田や天龍といった日本のトップレスラーたちと数々の名勝負を繰り広げる一方で、試合をドタキャンするなどトラブルメーカーとしても有名だった。88年、ブロディは同業者であるプロレスラーにナイフで刺され亡くなった。享年42歳という早すぎる死だった。

少年のころ、私はプロレスに夢中だった。なので、おそらくリアルタイムでブロディの試合を観ていたはずだが、なにぶんまだ幼かったためか、記憶にはない。

もちろん、ブロディの試合は後にプロレス中継の再放送やビデオなどで観た。

「すげえ。超かっけえ!」

そう思った。

だから有田がくだんの番組で残念がっているのも頷けた。

42歳は若すぎる。もし生きていたなら、その後に間違いなく全盛期を迎えていたはずだ。私よりも100倍プロレスに詳しい有田の話を訊いてそう思った。

「本当にいまから……いまからっていうときだった。これから全盛期を迎えるはずだったのに……」

叶わぬことなのにいまだにそのような思いを馳せてしまう人物が私にもいる。

hideである。

もちろん、ジョン・レノンだったりカート・コバーンだったり佐藤伸治だったり、「いまも生きてたらなあ……」と思うミュージシャンはいっぱいいる。

ただ上に挙げた人たちとhideが違うのは、ミュージシャンとしてのピークを迎えるのはあきらかに「これから」のはずだったからだ。「やりきった感」がないのだ。

hide with spread beaverのラストアルバムとなってしまった『ja,zoo』を聴けば、まさに上昇気流の真っ只中にhideがいたのがわかる。それが突如として終わってしまった。だからこそ、「この先が見たかったなあ……」と、とりわけ思いを馳せてしまう。

hideの音楽の魅力はたくさんある。

ポジティブなメッセージをストレートに発したかと思えば、強烈な痛みを感じさせるほどのネガティブな心情を吐き出したり、かと思えばとびきりのユーモアを含ませて楽しませてくれたり、あるいはそれらをごちゃ混ぜにしたり、といった表現力に富んだ歌詞。メタルにハードロックにグランジにオルタナにインドストリアルにさらには歌謡曲などなど、様々なジャンルを取り入れつつ我流に染め上げる作曲センス。もちろん、本職であるギタリストとしてもキャッチーなリフを生み出す才能に長けていたし、また、メジャーとアンダーグラウンドという真逆のシーンを柔軟に行き来していたという意味でも稀有な存在だった。

がしかし、だ。「ヴォーカリスト」としてのhideの魅力にフィーチャーした評論なりなんなりってあっただろうか。少なくとも私はそういう類の代物を読んだ記憶も訊いた覚えもほとんどない。

hideはヴォーカリストとしてもとんでもない才能の持ち主だった。

なんだかそこいらへんについて書きたくなった。

というわけで、例によってぐだぐたと前置きが長くなってしまったのでとっととエロサイトに飛んでしまった輩もいるだろうが、構わずhideのヴォーカリストとしての秀でた魅力を堪能できる曲ベスト5を勝手に選んでみた。

 

5位「Sold Some Attitude」

Sold Some Attitude

Sold Some Attitude

  • zilch
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

まず5位に選出したのはこちら。hideがもうひとつのプロジェクトとして本格的に活動する予定だった日米混合バンドzilchのデビューアルバムに収録されているナンバーである。hideのヴォーカルの魅力的な部分は、「剛」であったり「柔」であったりなどの様々なトーンを変幻自在に使い分けるスタイルにあると思うが(ちなみに同様のヴォーカルスタイルの使い手としてスマパンのビリー・コーガンが挙げられると思う)、この曲ではまさにhideならではのその特徴的なヴォーカルスタイルが見事に発揮されている。全編英語詞の曲であり、クールネスな面とちょっと不気味でホラーな魅力が同時に味わえる。最大の聴きどころはなんといっても終盤で、英語で歌っているはずなのに日本語にも聴こえるというユーモアたっぷりの歌唱が最高に楽しい。

 

4位「Hi-Ho」

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続いて4位は2ndアルバム『PSYENCE』からシングルカットされたこちらのナンバー。ポップに弾けた演奏をバックに、場面によって甘い歌声で軽やかに歌い上げたり、はたまた早口でまくし立てたり、表情豊かな歌声がじつに素晴らしい。

 

3位「HURRY GO ROUND」

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3位に輝いたのはラストアルバム『ja,zoo』からシングルカットされたこちらのナンバー。どこか意味深にも聴こえる歌詞を美しいメロディラインに乗せて情感たっぷりに切々と歌い上げている。清々しさと物悲しさがごちゃ混ぜになるような、なんとも言えない味わい深さが耳に残る。

 

2位「ピンクスパイダー」

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2位にはおなじく『ja,zoo』からシングルカットされたこちらのナンバー。とにかく、ヒリヒリとした緊迫感に溢れた歌声は圧巻の一言に尽きる。かっこいい、素晴らしすぎる、と、いくら賛辞を送っても足りなく思えてしまう。問答無用、永遠に輝き続けるであろう最高にロックな歌唱であり、最高のロックソングである。

 

1位「BREEDING」

BREEDING

BREEDING

  • hide & Spread Beaver
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

そして栄光の第1位には、やはり『ja,zoo』収録のこちらのナンバーを挙げたい。グランジとエレクトロニクスを融合させたような曲展開がなされる中、本音と建前を使って生きざるを得ない世界について怒りと諦念がごちゃ混ぜになった複雑な心情をど迫力のヴォーカルでもって表現している。この曲を聴くと、毎度のように「この先が見たかったなあ……」と思わずにはいられなくなる。

 

以上。