連続ブログ小説「大門団長の憂鬱」第3話“悲しきレイバンのグラサン”

団長です。こんばんは。

 

西部警察 キャラクターコレクション 団長(2) 大門圭介 (渡哲也) [DVD]

 

さて、先日のことですが、たいへん有難いことに『西部警察』の視聴者の方からお便りを頂戴いたしましたのでさっそく読んでみたいと思います。

ハンドルネーム「団長★LOVE」さんからです。ありがとうございます。

 

“団長さん、こんばんは☆

アタシわ17才の女子高生なのですが、団長さんのことがダイスキです! 角刈り&サングラスでライフル片手にスーツでバシっとキメるなんて、めっちゃ渋すぎ!! 

ところで、大門軍団さんといえば、ほかの団員のみなさんも団長さんと同じような激シブな格好をしていますが、軍団内で「ああゆう格好をしなければならない」という決まりごとのようなものがあるのでしょうか? 

アタシは渋くてカッコイイと思うのですが、友達はみんなジャニーズとかが好きで、アタシが「団長さん、かっけー」って言っても「てゆーか団長、怖すぎー」ってドン引きされて毎日ムカついてます(。´Д⊂) なんて言いつつ、アタシもイマふうのオシャレな格好をした団長さんがちょっと見たいかも……m(*・´ω`・*)m”

 

とのことで、さっそく質問の答えを述べさせてもらいますと、とくにああいう格好をしなければならないという決まりごとは軍団内にありません。しいて言えば、「その場の空気」というやつでしょうか。

まあ、ぶっちゃけ記憶がおぼろげなのですが、あれはたしか団長就任間もないある日のことでした。

凶悪殺人事件の担当を課長の小暮から任されまして、気合を入れるためとかよくわからない理由でためしに角刈り&レイバンのサングラスに一張羅のスーツで決めてみたのがそもそもの発端だったはずです。

ぶっちゃけダサいし、本当はあんな格好、すぐにでもやめるつもりだったのですが、気がついたらいつのまにかほかの団員たちも自分の真似をして似たような格好をするようになってしまい、結果的にやりだしっぺとして引っ込みがつかなくなってしまった、というのが事の真相です。

本当はあんな格好、したくありません。

じっさい、外とか歩いてると当たりまえのようにチンピラにからまれますし、ファミレスやスーパー銭湯とかああいう公共の場に行ったときなんかも「その筋の人間」と間違われて入店を断られたのは一度や二度どころの話ではありません。

そういえば、ある日逃亡した犯人を追跡している最中に人通りの少ない路地に入ったところ、偶然すれ違った小3ぐらいの少年に涙目で500円玉を差し出されたことがありました。

曰く、

「カツアゲされると思った」

とのことです。

その日の夜は松竹梅片手にヤケ酒をかっくらったのは言うまでもありません。

というように、私生活の面では「ひとつもいいことなし」の自分らの格好ではありますが、少なくとも事件の捜査をするうえではちょっとした効果はあるっちゃあります。

まあわかりやすい例で説明しますと、たとえば麻薬がらみの犯人のアジトを発見したとしましょう。

「よし、ハト(鳩村)! 出動だ」

そんなとき、自分を含め団員の見た目が、サラサラのマッシュルームカットで上着がキティちゃんの刺繍が入ったトレーナーかつ下は「PIKO」のジャージであったとしたらどうでしょうか。

これは、もう、ナメられます。

確実に犯人からナメられますし、じっさいそんな格好で

「警察だ。逮捕する」

つってアジトのほうに踏み込んだとしても、きっと犯人も相手にしてくれないでしょう。

犯人に相手にされない警察ほど悲しいものはありません。

が、角刈り&サングラスでライフル片手にスーツでビシっとキメた捜査員が踏み込んできたら、犯人だって「この野郎!」つって相手にしないわけにはいきません。つまりはそういうことなのです。

もちろん、自分だって馬鹿ではありません。角刈り&レイバンのグラサンに一張羅のスーツなんて格好、ヤクザにしか見えませんし、じっさい女性からもまったくモテません。むしろ、怖がられるぐらいです。

そういえば、部下の鳩村がある日

「畜生! こんな格好してるからオレはいつまでたっても結婚できないんだ!」

と、署内のトイレの中で叫んでいるのをタイミング悪く耳にしたことがあり、こいつも大変なんだな、と同情したこともありました(※↓のグラサンかけて激シブに決めているのが鳩村です)。

 

西部警察 キャラクターコレクション ハト(2) 鳩村英次 (舘ひろし) [DVD]

 

まあ、ヤツの場合、結婚できないのはあの格好のせいではなく、ヤツ自身に問題がある(息が鬼のようにクサい、異常にケチ等)と自分は睨んでいるのですが、それを直接本人に指摘するのは上司としてどうか、と思わないでもなく、なので、とりあえずいまは黙っています。

まあなんにせよ、あんな格好、金輪際したくない、というのが偽らざる本音なのです。なんなら、警察自体とっとと廃業してクレープ屋の店員さんなんかにでも転職したいくらいなのです。

でも、クレープ屋にはいまさらなれませんし、警察だってやめられません。あの格好だって嫌ですけど、貫きます。すべては市民の安全を守るため、なのです。どうかそこらへんをわかっていただきたいのです。

今日もグチグチ言ってすみませんでした。団長でした。失礼します。