本ブログの推定総読者5人中2人が楽しみにしているであろう超人気コーナー「はじめて○○へ行ってみた」であるが、初回の漫画喫茶、2回目のひとカラの記事を投稿した現在、早くも雲行きが怪しい状況になってしまっている。
そもそも俺は好奇心旺盛な人間じゃない。加えてものすごいめんどくさがりやだ。
テレビ番組の観覧とかお笑いライブの観覧だとか、あとヘッドスパを体験してみるとかストリップショーを観に行くとか、なんとなく興味がある案は思いついたものの面倒のほうが勝っていてどうにも億劫で足を運ぶ気になれないでいる。
ああ、ほんとうにだめなやつだなあ。
なんてことを思いつつ、こないだ買いたいものがあり津田沼のイオンに行ったら店内にこんなもんがあった。
占いである。
ちなみに俺は占いにはまったく興味も関心もないが、随分昔に一度だけ暇つぶしで見てもらったことがある。あんときは占い師の女の息が臭くてまいった(下記事参照↓)。
ともあれ、これもなにかの縁だ。買い物ついでに占ってもらうことにした。
前述したとおり占い自体は経験済みだが、イオンの占いのアリーナ館なるところで見てもらうのははじめての経験なのでまあよかろう。
とはいえ、ただ単にふつうのことを占ってもらうんじゃおもしろくない。
大半の人間が占ってもらうことといえば、恋愛や結婚のことだったり、あるいは金や出世とか健康面の問題とか、まあそういったことだろう。
うん。
おもしろくない。
おもしろくないので、以下のことを占ってもらうことにした。
「いつ頃死ぬか占ってもらう」
べつにふざけていたわけではない。
いや、正直に言おう。
ぶっちゃけ、超ふざけていた。
まあしかしだ。もし今から鑑定してもらう占い師が俺の死期を正確に言い当てることが出来る有能な人物だったとしたら、「死ぬまでの間にこれをやっておこう」と目安を立てながらこれからの人生を過ごすことが出来るようになるではないか。
これほど有意義な占いがあるだろうか。ふざけて思いついたにしてはじつに意義がある占いじゃなかろうか。
決めた。これを占ってもらおう。
というわけで、とっとと買い物を済ませ2Fエスカレーターの目の前にある占いのアリーナ館前に到着。
入口がカーテンで仕切られた小部屋がふたつ並んで設置されており、左の小部屋には40ぐらいのおっさんの占い師、右の小部屋には50ぐらいのおばはんの占い師が座っているのが見える。
ちなみにさっき通りがかったときもそうだったが、客がひとりもいない。
土曜の夜の7時である。土曜の夜の7時っていったらふつう書き入れ時じゃないのか。いいのだろうか、こんなんで。まあ、いいか。
小部屋の外観部分に上の写真のように占い方法についての説明がいろいろと貼っ付けられており、左のおっさん占い師と右のおばはんの占い師はどうやら専門分野が異なるらしい。おっさんのほうが手相占いで、おばはんのほうはタロットカードを使って鑑定するとのこと。値段はどちらでやってもらうにしても一緒らしい。
正直、どっちでもいい。
そんなふざけた態度で迷っていたら右の小部屋のいるおばはんが声をかけてきた。
「どうぞどうぞ~中に入って」
どっちでもよかったし、せっかく声をかけてもらったので中に入ることにした。
「おにいさんははじめて?」
「あ、はい。はじめてです」
「そうなんだー。よろしくね~」
「あーはい。よろしくお願いします」
なんだかはじめて風俗にやってきた客と風俗嬢の会話みたいである。
ひととおり会話をすますと、おもむろに紙を一枚手渡された。
「それじゃこの用紙に詳しいことを書き込んでね」
用紙には氏名や生年月日を書き込む欄に加え、「占ってほしい内容」という項目があり、そこには
1.恋愛運
2.結婚運
3.仕事運
4.金銭運
5.家族関係
などという感じでずらりと細かく並んでいて希望する部分に「○」をつけるようになっていた。
当然、「いつ死ぬか」なんていう項目はなかったので「その他」という部分に○を付けおばはんに渡す。
「ふーん、『その他』ね。わかりました。で、何分コースにする?」
小部屋内には時間別の料金表が貼っ付けられており、
「5~6分程度→1080円」
「10分~12分程度→2160円」
「20分程度→3240円」
「30分程度→5400円」
「40分程度→6480円」
と詳細が記されている。
「う~ん。どれがいいですかね?」
「そうねえ。おすすめは20分コースかしらね」
「じゃあそれでお願いします」
5~6分や10分~12分じゃ短すぎるし、かといって30分→5400円や40分→6480円は高すぎる。正直、「20分で3240円って。これもじゅうぶん高けえよ!」とも思ったが、まあ社会勉強ということでわりきってこちらのコースにすることにした。
「20分コースね。了解しました。で、『その他』ということだけど、なにについて占ってほしいのかしら?」
「えーっと、なんでも占ってもらえるんですよね?」
「もちろん。なんでもいいわよ」
一応、失礼にならないように確認してみたところ「なんでもOK」とのことだったので、遠慮なくズバリ本題を言った。
「あの~、いつ頃死ぬか占ってほしいんですけど」
「………あのね……だめなのよ、それは」
だめなのだそうだ。
なんでも「いつ死ぬ」とかそういう不吉なことを鑑定するのは占いの世界では御法度であるとのこと。さっき「なんでもOK」って言ったじゃないか。これは困った。
「本当にごめんなさいね。もっとほら……恋愛とか仕事のこととか、なにかないの?」
「うーん、ない……ですねえ…」
「わかったわ。じゃあいまからカードをテーブルに広げるから直感で7枚(だったと思う。うろ覚え。)選んで抜き取ってちょうだい」
「あ~、はい」
なにが「わかったわ」なのかわからなかったが、とりあえず言われたとおり7枚選ぶ。
「それじゃあなたが占ってほしいことを言ってみて」
「えっ? 言えばいいんですか?」
「そう。言葉に出して言ってみて」
よくわからなかったが、「言え」というので再度言ってみた。
「いつ頃死ぬか占ってください!」
「………だからー! だめなの、それは!」
「言え」って言われたから言ったのにわけがわからない。
結局、「いつ死ぬか」についてはまったく触れられず、「あなた長生きするわよ」だの「このまま努力してやっていけば幸せになれるわよ」だの、矢継ぎ早に「いいこと」を言われタイムアップとなった。
「占い師っていいこと言って相談しに来た人を元気づける商売なんだな」
という当たりまえにあらためて気づかされた。
とりあえず、「なんでもいいから元気づけてほしい」という人は行ってみるのもアリかもしれない。
ちなみにこの日見てもらった占い師のおばはんだが、息は臭くなかった。
というフォローにもなってないようなフォローを一応最後にしておく。