俺はいい歳したおっさんなんです。おっさんなんですが、無駄に歳を重ねてきたくせに経験してないことがあまりにも多い。
というわけで、「はじめて○○へ行ってみた」と題して、行ったことがないところに行ってみてその体験レポ的なことを書いてみたいと思う。
記念すべき第1回目は漫画喫茶である。
漫画喫茶……というか、今はネットカフェ略してネカフェと呼ぶのが一般的なのだろうか。
まあ、べつにどっちでもいいので、とりあえずあいだをとって「ネ漫喫フェ」と呼ぶことにする。
なぜいい歳ぶっこいてこれまで漫画喫茶(※「ネ漫喫フェ」って打つの面倒なんでやっぱりこっちで呼ぶことにした)に行ったことがなかったのかというと、とくべつ漫画に興味がないから。
で、まあ
「一生行くことはねえんだろうなあ」
なんて思っていたのだが、前々から「快活CLUB」という漫画喫茶的な店をやたらと街で見かけるので気になっていたのだ。
上のリンク先が店のホームページだが、ざっと目を通してみたら驚いた。
漫画や新聞・雑誌等が読み放題だったり店のパソコンでネットができるというのはなんとなく知っていたが、ドリンクバー付きかつソフトクリームも食い放題で、別料金になるがそのほかの食い物のメニューもそこそこ豊富に揃っている。映画だって観ることができるし興味はないがオンラインゲームができたり、さらに店舗によってはカラオケや、あとこれも興味はないがビリヤードやダーツなんかもできたりする。「漫画喫茶」っていうんでてっきり漫画だけに特化した店だと思い込んでいた。
俄然興味がわいたので行ってみることにした。
なんなら店名どおり「快活」に過ごせるようだったら、おもいきって一泊してみようじゃないか。なにしろ慣れてない場所なので寝れるか不安だが、俺の仕事は土曜日はほかの曜日に比べて甘いので、多少寝不足になってもどうにかなるだろう。「快活」に過ごせず一泊するのが無理そうだったら家は近いので適当な時間に帰ればいい。うん。そうしよう。
そんなわけで、先週の金曜に自宅からそこそこ近場にある快活CLUBに仕事帰りの20時ちょい過ぎに入店。
「あのーはじめてなんですけど」
一応、事前に店のホームページ以外にも快活CLUBマニアみたいな人のブログ記事等をチェックしていたので、ある程度お店のシステムは頭に入っていたが、なにしろ漫画喫茶自体はじめてである。正直に店員に上のように言ったら、40ぐらいのおっさんの店員が店の利用方法について懇切丁寧に説明してくんなさった。
説明が終わりタブレット的なモノを手渡され個人情報を入力。入力が終わりタブレット的なモノを返すと会員カードを手渡された。これで俺も晴れて快活CLUBの会員である。
「お席はどのタイプにいたしますか?」
リクライニングチェアやマッサージチェアが備えつけられている部屋などもあったが、今回は事前にチェックしていた寝っ転がることができるというフルフラットシートを選択。
「では、ご案内いたしますのでどうぞ」
おっさん店員のあとを付いていき席に到着。
「それではごゆっくりどうぞ」
ふーん。なるほど。こうなってるのか。
個室内の広さは畳一畳ぶんといったところだろうか。
中にはマットレス的なモノが敷いてあって靴を脱いでためしに横になってみるが身長170の俺でぎりぎりぐらいな感じ。店舗によって多少個室の広さに違いがあるのかもしれないが、少なくとも俺がこの日訪れた店のフルフラットシート内では180ぐらいの高身長の人は確実にまっすぐな姿勢で横にはなれないだろう。中には座椅子も置いてあるのでパソコンを使用するのにはストレスがなさそうだ。
で、漫画はやっぱり興味ないしこの店舗にはカラオケとかもないので、とりあえずパソコン使ってブログ用の記事でも書こうかな、と思ったのだが
「システムの更新プログラムのインストールが完了するまで、しばらくお待ちください」
という文字が出ててパソコンが使えない。
ので、とりあえずドリンクバーに行くことにする。
メロンソーダとソフトクリームを調達し部屋に戻る。
「システムの更新プログラムのインストールが完了するまで、しばらくお待ちください」
メロンソーダ飲んだりソフトクリームを食ったり煙草吸ったりしながらひたすら待つ。
20分が経過。
「システムの更新プログラムのインストールが完了するまで、しばらくお待ちください」
…いつまで待ってりゃいいんだ!!!
さすがにしびれを切らしカウンターに行きさっきのおっさん店員に声をかける。
「あのすいません、なんかパソコンがシステム更新してるからお待ちくださいって画面になってて、もう20分くらい待ってるんですけど…」
「えっ! わかりました! すぐにうかがいますのでブース内でお待ちください!!」
個室内(「ブース」と呼ぶらしい)で待ってると、すぐにおっさん店員が慌てた様子でやってきた。
「すみません、最近ウィンドウズ10にしたんで、しょっちゅうこの状態になっちゃうんですよ」
「あーそうなんですか」
「すみません、もうすぐ直りますんで」
「あー全然大丈夫ですよ」
「あっ、直りましたね。申し訳ありません。これで使えますので」
「いやはじめて来たもんでこのまま待ってたほうがいいのかなってとりあえず待ってたんですけど、なんか終わりそうになかったんで…」
「いえいえ。またわからないことなどありましたら声をかけてください!」
とかなんとか言いつつさわやかな笑みを浮かべながらおっさん店員は去っていった。
なんて出来た店員さんなんだ。ホモじゃないがファンになりそうである。
で、それはともかく、ようやくパソコンが使えるようになったので、はてなにアクセスしブログの記事を書くことに。小一時間ほどブログ書きに没頭。
21時半ぐらいになりいいかげん腹が減ってきたので「ポテから」と「マヨたこ焼き」なる食い物を頼んでみることにした。
パソコンの画面から注文できるのでクリックして送信。10分後ぐらいにさっきのおっさん店員とは違う若い男の店員がメシを持ってやってきた。「ポテから」「マヨたこ焼き」ともにカラオケ店と同レベルのシロモノであって、特別ウマくもないがマズいってわけでもない。
で、その後もまたブログ書き。その間、ドリンクバーに行きメロンソーダ2杯、コーラ1杯、紅茶1杯、カフェラテ1杯を調達し飲み、さらにおかわりのソフトクリームを食うなどする。
0時半になりまだ記事を書き終えてなかったがさすがに疲れた。
さて、帰るかこのまま一泊するか。
ふとブース内をまじまじと見渡してみると、「迷惑行為お断り」と書かれた張り紙を発見。
「大きな声で会話」だの「においのする物の持込等」だの、まあ、これらを禁止するのはわかるが、「いびき」を「お断り」するのはさすがに無理じゃないか。
「さあ、いびきかいて寝るぞ」
なんつって器用にいびきをかけるやつがいるのだろうか。誰も好きこのんでいびきなんてかかないだろう。
つーか、左隣のおっさん、言ってるそばからおもいっきり爆音でいびきかいて寝てるし。
もちろん店員も注意にやってこない。そりゃそうだ。
おっさんのいびきがちょっと気になるが、まあ酒飲めばなんとか寝れるだろう。
よし、せっかくだから一泊してみよう。覚悟を決めた。
というわけで、さっそくパソコンでハイボールを注文。注文後、ソッコーで店員が持ってきたハイボールを一気に流し込む。冷房が効いてて少し寒いので通路のほうへ行き貸し出し用のブランケットを2枚調達。一枚は足に、もう一枚は上半身にかける。ブース内にある貴重品ボックスに財布を締まい、ノイズキャンセリングイヤフォンを耳に装着。iPodに入っているティム・バックリィの名盤『Happy Sad』をおとなしめな音量で再生する。
俺が安眠する際の愛聴盤だ。
しかしながら、ノイズキャンセリングイヤフォンとティム・バックリィの名盤をもってしても隣のおっさんのいびきはハンパではなかった。
「ゴーゴー、グピーグピー!!!!!!!!!!!!!!」
かなり控えめな音量となったもののまだ充分に聴こえてくる。
たまらずハイボール2杯目を注文。やはりソッコーで持ってきた店員から受け取りふたくちほど飲んだあとは記憶がない。
「ゴホンゴホンゴホン!!!!!!!!!!!!」
右隣の女の激しい咳の音で起床。時計を見ると早朝5時半であった。
すっかり目が覚めてしまったので再びパソコンに向かい未完成だったブログ記事の続きを書くことにする。
そして8時ちょい前にようやく記事が完成。そのまま投稿した。前回投稿した以下の記事である。
投稿時刻が7時58分という俺としてはやたらと早い時間帯となっているのはこのためだ。
その後、またしてもドリンクバーへ行きモーニングコーヒーとソフトクリームを優雅に飲み食いし店を退出。そのままバイクに乗って職場へ向かった。
12時間ぐらい居て料金は4000円ちょい。別料金だった食い物と酒の代金を引くとおよそ2500円といったところだろうか(ちなみに店内への飲食物の持ち込みは禁止である)。まあドリンクバーを利用しまくったし、ブログ書きも集中してやれたので、充分に元を取ったと言えるだろう。
うん。漫画喫茶、また気が向いたら行こう。