映画『ディスクロージャー』‐マイケル・ダグラスは欲望に執着するキャラクターがよく似合う‐

結局、香取慎吾の『座頭市』はヒットしたのだろうか。
映画が公開されてからもうかなり経ったが、とくにこれといった評判を聞いた記憶がないので、まあ、大方の予想どおりダメダメだったのだろう。ためしにアマゾンで香取某の『座頭市』のDVDの評価を確認してみたら星1つ半だった。レビューにひととおり目を通してみたところ、とりわけ勝新太郎版『座頭市』のファンからはきびしい評価が与えられている印象だ。

 

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そういえば以前、漫画を実写化したドラマだか映画だかで剛力彩芽を起用した際も同様の事態が起きて、ネットの世界を中心に原作のファンの方々から多数のクレームの声が寄せられた、というのをなにかの記事で読んだ記憶があるが、仮に『スーパーマン』のクラーク・ケントや『ダークナイト』のジョーカー役に武田鉄矢を抜擢したら、米国にいるファンの方々から多数のクレームの声が寄せられるに違いない。もちろん、日本やその他世界各地にいるファンだって黙っちゃいないだろう。結果、ネット大炎上である。

ようするに、「キャラに合ってない」ということだ。人間には向き不向きがあるように、いくら人気者だからといってなんでもかんでも演じればいいというものではない、ということである。

マイケル・ダグラスといえば、どの映画でも欲望に執着している人物を演じている印象が強い。マイケル・ダグラスの出ているすべての映画を観たわけではないので、もしかしたら聖人君子なマイケルだったり、欲望どころか感情すら一切持たないロボット役のマイケルとかが観られる映画があるのかもしれないが、いずれにしてもマイケル・ダグラスのキャラクターに合っているのは、やはり「金」「女」「権力」といった欲望に振り回される男であろう。

本作『ディスクロージャー』でマイケルが演じているのは、勤め先の会社でより高い地位を得られるはずが、元恋人で同僚のデミ・ムーアにその座を奪われ、そのデミに誘惑されたうえセクハラ容疑までかけられ七転八倒する中、いつしか会社内のマネー・ゲームに巻き込まれていく男。まさにマイケルにとってうってつけのキャラクターと言っていいだろう。

心なしかいつにも増して生き生きとした表情で演技している感がするマイケルや、デミ・ムーアのブラからこぼれ落ちそうな巨乳なども見所と言えるであろう本作であるが、個人的にとくに感心したのが、前述のマイケルセクハラ容疑の件で関係者一同が集まり簡易裁判みたいなのが執り行われるシーンである。

「彼女(デミ・ムーア)見て、モッコリこないか?」

というセリフをマイケルが会社の同僚との会話中に言った言わないでデミ側と激しい口論となるわけだが、「彼女見て、そそられないか?」とか「ムラムラこないか?」などと訳してもべつに良かったはずだ。そこをあえて「モッコリ」としたところに翻訳者のキラ星のごとく光るセンスを感じた。

まあ、じっさい「モッコリ」言っているのはマイケルではなく同僚役の人間であるわけだが、やっぱりキャラ的にマイケル・ダグラスには「モッコリ」って言って欲しいし、というか言うべきである。翻訳者の方には個人的に金一封差し上げたいくらいだ。

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