映画『オープン・ウォーター』‐「サメの話しようぜ」「無理!」な映画‐

これって、たしか公開当時、けっこう話題になってた映画だよなあ、ってことで『オープン・ウォーター』を観たらびっくりした。

 

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まず、しょっぱなにいきなりとくに意味もなくマン毛が出てきたのにもびっくりさせられたが、それ以上にびっくりしてしまったのは、とにかくものすごく地味な内容だったということである。

ある日、休暇を利用してスキューバダイビングの団体ツアーをしにやってきたカップルが、アホな従業員のうっかりミスのせいで海に置き去りにされる。

「どうせ助けが来るだろ」と、最初のころは余裕ぶっこいてつまらないアメリカンジョークをかましつつイチャイチャしているふたりだったが、いくら待っても誰もやってくる気配がなく、次第に焦り出す。それでも励まし合って、でもやっぱり焦って、そのうち無意味な責任の擦り付け合いをして、なんだかんだでまたイチャイチャして、やっぱり励まし合いながらも、やがて絶望のなか夜が明けて話は終わる。

物語的に唯一の盛り上がりどころと言えそうな場面はサメが男の足を食いちぎるところだが、これがまた画的にものすごく地味に撮られているので全然エキサイトしない。

とにかくマン毛見せてくれた女と軽くハゲかけた男のカップルが、海に置き去りにされて、とくに盛り上がるところがあるでもなく、気づいたら映画は終わっていた。

なんだ。これはいったいなんなんだ。ポカーンとした。

なんだか、どこにでもいるカップルの地味な日常をえんえんと見せられているような感じというか、いや海に置き去りにされたうえサメにまで襲われている時点で全然地味な日常じゃないのだが、それにしたって、せめてサメが竜巻とともに空から襲いかかってくるだとか、宇宙空間に投げ出されたサメとライトセイバーで大立ち振る舞いを繰り広げるだとか、もうちょっと「映画を観た!」という感慨を味わわせてくれてもいいじゃないか。まあ、仮にそんなムチャクチャな映画がほんとうにあったとしたら作った人間に殺意が湧くのは間違いないが、それにしてもこれはいかんせんどうにも地味すぎる。出番が少なすぎるサメを不憫に感じてしまったほどだ。

地味な映画だけど最初にマン毛見せてやるから許してちょんマン毛、ということなのか。

もしリアルタイムで映画館へ観に行ってたとしたら「金返せ!」と叫んだ上、この映画を撮った監督の家に上がり込んでいきなり全裸になって無理やりチン毛を見せつけるか風呂に一日中浸かり続けて夜が明けるまで抗議したであろう。

たしかにリアルといえばリアルだし、「一風変わったことをしてやるぜ!」というチャレンジ精神みたいなものはそこはかとなく感じさせられる作品ではある。でも、リアルさや風変わりさを追求するんだったら、人から借りた水中マスクを付けて無理やりひとりで潜りに行こうとするおっさんと「ふたりひと組じゃなきゃだめ!」と止めようとする女従業員の押し問答がえんえんと続くお話だったほうがまだ笑えたのではないか。まあ、笑えりゃいいってもんでもないが。

とにかく、この映画をお好きな人を否定するつもりはないが、個人的には肌に合わず、繰り返し観たい気持ちにはまったくならなかったと正直に告白しておこう。そして、マン毛が見えるシーンだけは3度ほど繰り返し観てしまったことも合わせて正直に告白しておく。