【第18回】iPodをシャッフルして出てきた5曲を語ってみる:番外編「ビートルズの『Tomorrow Never Knows』っぽい(オマージュもしくはインスパイアされたと思われる)曲7選」

さて、前回書いたとおり、今回は「iPodをシャッフルして出てきた5曲を語ってみる」の番外編として、私のiPodに入っているビートルズの「Tomorrow Never Knows」っぽい(オマージュもしくはインスパイアされたと思われる)曲をいくつか抜粋し、それらの曲についての感想を書いてみたいと思います。

 

The Beatles「Tomorrow Never Knows」

トゥモロー・ネバー・ノウズ

トゥモロー・ネバー・ノウズ

  • ビートルズ
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

まずは本家本元であるこちらから。

作詞・作曲はジョン・レノン。7枚目のアルバム『リボルバー』のラストに収録されている。レズリースピーカーによってノイジーに音響処理されたジョンのヴォーカル、ポール・マッカートニー考案・作成のカモメの鳴き声ふうのテープ・ループ、逆回転再生ギター、とんでもなくグルーヴィなリンゴ・スターのドラム、さらにはジョージ・ハリスンが傾倒していたインド音楽風味も取り入れられている。

そういったさまざまな音楽的要素がありながら、基本的にワンコードのみで進行していくという実験的な曲だが、それでいてものすごくポップですらある。

いまでも斬新に聴こえるし、この曲が50年も前にリリースされたというのだから、ただただ驚くばかりである。「Yesterday」や「Let It Be」など、「教科書に載っているようなビートルズの曲」しか知らない人が聴いたら驚愕するに違いない。じっさい、私も20年ほど前にはじめて耳にしたときはマジで超ビビった。

余談になるが、先日、劇場にて鑑賞したビートルズのドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK-The Touring Years』で一瞬この曲がかかったが、あらためてその凄まじいサウンドに圧倒され鳥肌が立った。いまさら言うまでもないだろうが、ほんとうに凄い曲だと思う。

 

The Chemical Brothers「Setting Sun」

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英テクノ・ユニット、ケミカル・ブラザーズとオアシスのノエル・ギャラガーがコラボした楽曲。1997年にリリースされたケミカルのセカンドアルバム『ディグ・ユア・オウン・ホール』に収録されている。

ちょうどそのころはロックとテクノを融合した「デジタル・ロック」という音楽スタイルが盛り上がっていた時期で、その潮流に乗ったおかげもあり、シングル盤としてリリースされた際は英国を中心に大ヒットとなった。

ビートルズ・フリークとして有名なノエルによる単調だがどこか中毒性のあるメロディもそうだし、さらにはサイケなサウンドやリズム・パターンなど、「Tomorrow~」から影響を受けているのはあきらかである。じっさい、当時は「Tomorrow~」を現代的に再構成した曲と評されていた(たしか本人達もそのような趣旨の発言をしていたと思う)。

 

The Chemical Brothers「Let Forever Be」

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おなじくケミカルとノエル・ギャラガーがコラボした曲で、こちらはケミカルの3rdアルバム『Surrender』に収録されている。上の「Setting Sun」が「Tomorrow~」をよりハードに再構成した曲なら、こちらは「Tomorrow~」をよりポップで親しみやすいサウンドに再構成した曲と言えるだろう。ちなみに個人的には「Setting Sun」よりこの曲のほうが好みである。ミシェル・ゴンドリー作のPVも何度でも観たくなるほどじつにおもしろい。

 

Oasis「Falling Down」

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オアシスのラスト・アルバム『Dig Out Your Soul』収録曲で、当然作詞・作曲・ヴォーカルはノエル・ギャラガー。ケミカルとのコラボだけでは飽き足らず、ついに自身のバンドでも「Tomorrow~」を再構成した曲をリリース。どんだけ「Tomorrow~」が好きなんだよ、って話である。しかも、「Tomorrow~」そっくりのドラムを演奏しているのは、リンゴ・スターの実子ザック・スターキーだ。とはいえ、ストリングスを大々的に配していたり、メロディがキャッチーだったり、じつにオアシスらしい仕上がりとなっている曲でもある。

 

Radiohead「House Of Cards」

House of Cards

House of Cards

  • レディオヘッド
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

7枚目のアルバム『In Rainbows』収録曲。軽く聴き流してしている感じでは「Tomorrow~」とは似ても似つかない曲のようでもあるが、あの印象的なカモメの鳴き声ふうのSEや、ところどころで挿入されているサイケっぽい電子音だったり、控えめながらもどことなく「Tomorrow~」のそれを思わせるドラムなど、おそらくレディオヘッド流に「Tomorrow~」へ向けてオマージュを捧げた曲ではないかと思う。「Tomorrow~」のような派手派手しさはまったくないが名曲である。

 

宇多田ヒカル「Passion」

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4枚目のアルバム『ULTRA BLUE』のラストを飾るナンバー。宇多田ヒカルとビートルズとなると、音楽的にほとんど接点は感じられないが、じつは宇多田ヒカルはライブでビートルズの「Across The Universe」をカバーしてたりなんかする。
で、この「Passion」であるが、ヴォーカルが一部逆回転ふうになっていたり、印象的なドラム・パターンなど、おそらくこの曲も「Tomorrow~」の影響下にあるのではないかと思う。
なんかしらんが海外でもヒットした有名なゲームソフトのテーマソングとして使用されたそうで、全編英語詞で歌われているヴァージョンもリリースされているらしい。そのためか、YouTubeのコメント欄には海外の人によるものと思われる書き込みをやたらと多く見かける。

 

L⇔R  「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」 

アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック

アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック

  • L⇔R
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

9枚目のアルバム『Doubt』収録曲。曲のタイトルはモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」からもじったものらしいが、くぐもった感じに音響処理されたヴォーカル、さらにドラム・パターンがじつに「トゥモロー~」的な楽曲である。
個人的にL⇔Rに関しては、大ヒットした「KNOKIN’ ON YOUR DOOR」を聴いてもとくに興味も関心も示すことはなかったが、この曲が唐突にシングルリリースされてはじめて耳にしたときは「かっけええええ!! やるじゃんL⇔R!!!」と思った。
うん。やっぱりいい。当然これも名曲である。

 

藤木直人「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」

アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック

アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック

  • 藤木直人
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

で、そのL⇔RのPVをYouTubeで探してたらたまたま見つけた藤木直人による同曲のカバー。まあ、とくになにも言うことはない。

 

以上です。また気が向いたら通常どおり続きを書くか、今回のように番外編としてなにかしら関連する楽曲を何曲か取り上げるつもりです。