推定Hカップの夫人

何気に今日のスポーツ報知を読んでいたら誌面に奇妙な記述を見つけた。

 

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明日行われるボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチに関する記事だ。

 

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チャンピオンの比嘉大吾選手と挑戦者のモイセス・フエンテス選手、両者による公開予備検診と調印式が昨日行われた、と記事にはある。

もちろん記事中において大々的にフィーチャーされていたのは王者である比嘉選手のほうだ。当日の比嘉選手の様子や、2日後に決戦の舞台に立つ本人の意気込みなどを写真付きで報じている。

で、挑戦者であるフエンテス選手の様子についても囲み記事で短く書かれていたのだが、この文章が奇妙だったのだ。以下がそれである。

 

強打の打ち合いを希望した。WBOのミニマム、ライトフライ級で世界2階級制覇を果たした挑戦者は、バンタム級の選手を相手に144回ものスパーリングで調整。推定Hカップのジェニーネ夫人(24)と手をつないで会見場に現れると、プロ14戦全KOの比嘉に対し「私もKOボクサー。貪欲に出てきてほしい。グレートな試合をしたい」と3階級制覇に向けて意気込んだ。

 

おわかりいただけただろうか。

そう。「推定Hカップ」という部分である。

「推定Hカップ」には並々ならぬ関心がある私だが、だからなんなんだと言いたくなった。試合とまったく関係ない情報ではないか。

当該のスポーツ報知の第一面を飾っているのは前日に行われた大相撲の役員候補選挙にて貴乃花親方が落選したことを報じる記事である。この記事の冒頭の文章を一部改変した形で書き起こしてみると上の記事の奇妙さがより理解できるだろう。以下がそれだ。

 

午後3時12分、落選が決まった貴乃花親方は選挙が行われた相撲教習所の階段を静かに下りてきた。自らに投じられたのはわずか2票。落選は協会職員から告げられたという。

「結果をどう受け止めるか」などの質問には無言のまま厳しい表情で迎えの車に乗り、推定Hカップの夫人と手をつないで都内の部屋に戻った。

 

もちろん、じっさいの記事には「推定Hカップの夫人と手をつないで」などという記述はない。本文とはなんの脈絡もなく、いきなり「推定Hカップ」という記述が出てくるわけで、じつに奇妙としか言えない文章である。

つまり、くだんの記事のおかしな点をまとめるとこうなる。

1.比嘉選手とフエンテス選手のことを取り上げた記事であるはずなのに、文章の途中で唐突に試合にはなんら関与しないフエンテス選手の夫人が登場する。

2.しかも、「推定Hカップ」という記者の勝手な想像による情報が記されている。

3.100歩譲って「推定Hカップ」が読者に伝えられるべき情報だとする。だとしたら、なぜ肝心の「推定Hカップのジェニーネ夫人(24)」の写真が掲載されていないのか。中途半端としか言えない内容の記事である。

いったいなぜ、スポーツ報知の記者はこのような不可解かつ奇妙な記事を書いてしまったのであろうか。私の推理はこうだ。

●記者、予備検診と調印式の取材のため現地へ出向く。

●フエンテス選手と一緒にいた奥さんをふと眺めたところ「やたらとでかい」ことに気づく。

●「ブラのサイズはなにカップですか?」とさすがに本人に訊くわけにもいかず、かといってデマを書いたら問題になるので、一応「推定」として勝手に「Hカップ」と断定する。

●「おきれいな奥様ですね。ぜひ奥様の写真をわが社の新聞に掲載させていただきたいのですが」とフエンテス選手に同意を求めてみたものの、やんわりと拒否される。

●「はあ、だめか。でもHカップだしなあ。せめて文章としてだけでも読者のみなさんにお伝えしたいなあ」という謎の使命感に突き動かされた結果、上のような不可解かつ奇妙な文章が展開される記事が掲載された。

以上です。

古畑任三郎でした。