映画『エクストリーム・ジョブ』ーとりあえずフライドチキン食いてえ!ー

『エクストリーム・ジョブ』は韓国産の刑事コメディである。

やる気は満々、しかし、やらかしてばかりのダメダメな麻薬捜査チームがいる。上司や同僚らからは総スカン状態でチームは解散の危機に陥っている。そんなある日、ダメダメなチームは起死回生のチャンスを得る。国際的な麻薬犯罪組織の情報を入手したのだ。こいつらを挙げれば一躍立身出世も夢じゃない。犯罪組織のアジトの向かいにあるフライドチキン店が営業不振により撤退することを知るとさっそくそこを買い取り、偽装フライドチキン店を営業しながら24時間の張り込み捜査をすることに。ところが偽装ではじめたはずのフライドチキン店が思いのほか繁盛してしまい……というお話である。

 

とりあえず私が思い出したのは、ウディ・アレンの『おいしい生活』だ。銀行強盗を企てた夫婦が銀行の隣にある空き物件を借り偽装でクッキー屋をはじめたら思いのほか繁盛してしまい……という、いかにもウディ・アレンらしいドタバタコメディである。

おいしい生活 (字幕版)

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  • ウディ・アレン
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というわけで、設定自体は似ている。似ているが、エンタメ性という意味では『エクストリーム・ジョブ』のほうが断然高いと思ったし個人的にはより優れた作品であるように思えた。あと、『おいしい生活』を観ても「クッキー食いてえ!」とはならなかったが、本作は観ている最中、猛烈に「フライドチキン食いてえ!」ってなった。

はっきり言って意外性のある作品ではない。大方の人はあらすじだけ読めば話の展開から結末までなんとなく想像できるはずだし、じっさいその想像の範疇におさまっているお話と言えるだろう。しかしながら、これがなかなかどうして、というか、とても楽しかった。

まず、なんといってもテンポが良い。ギャグ的な展開やセリフも冴えている。ダメダメ麻薬捜査チーム5人のキャラクターもしっかり立っている。適度にアクションも盛り込みつつ勧善懲悪のヒーロー物っぽい爽快感もある。なんつうか、これはよく出来たコントみたいだな、と思った。

それにしても、店が繁盛するにつれチームのメンバーらにフライドチキン屋の店員としての妙な責任感や連帯感が生まれてくる流れには「まあ、お約束ですよね」と思いつつ笑った。もちろん、「フライドチキン食いてえ!」って猛烈に思いながら笑った。

そして、映画を観た翌日、私がケンタッキーに駆け込んだのは言うまでもない。

あ、ちなみに俺は「骨なしチキン」より「オリジナル」派です。

きっと天国のカーネルおじさんもにっこり微笑んでくれたに違いない。

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