なんだか洗濯機の中がくさい。なんとも言いようがないような異臭がする。なので洗濯槽クリーナーを買った。以下の商品である。
じつは数年前にも似た症状が出て、日立のこの洗濯槽クリーナーを使ったらものの見事に異臭が解消されたのだった。
して、今回もこれを使えば大丈夫だろう、と思い、ひさしぶりに使うのでとりあえず取扱説明書を広げて使用方法を確認した。そして記載されているとおりに洗濯機の中にクリーナー液をぶち込んで数時間洗濯機を回した。したら綺麗さっぱり異臭が消えた。
で、その問題は解決した。したのだが、ひとつ気になったことがある。洗濯槽クリーナーの取説内の文章だ。「警告」と記された項目の中にそれはあった。
「液を飲まない」
当たり前じゃないか。
「よし、洗濯槽クリーナーを買ってきたぞ。さあ、飲むか」
そんな奴がいるものか。
「馬鹿かテメーは。万が一、子どもが飲んじゃったら大変だから親切に書いてくれてるんだろーが」
と反駁する人はちょっと落ち着いて視線を下のほうに移していただきたい。
「子どもの手の届くところには、置かない」
子どもが飲み込んだり、こぼして事故につながる恐れがあります。
そうなのだ。誤って子どもが飲み込まないようにと、ちゃんとした「警告」が下のほうに記載されているのだ。
つまり、
「液を飲まない」
この「警告」は、大のおとなに向けて書かれたものであると考えて間違いないのである。
もちろん、物事に絶対はない。
「おっ。美味そうだな。どれどれ」
などと、ジュースのようにごくごく飲んでしまう馬鹿者がいないともかぎらない。
飲んでしまったがために体調を崩した馬鹿者に「ちゃんと警告してくれなかったからだ!」と万が一訴えられたら日立としてはたまったものではない。だからアホらしいとは思いながらもあらかじめ「警告」として取説に記載しているのだろう。
おそらくこれは日立の洗濯槽クリーナーにかぎった話ではないのではないか。ほかのメーカーの洗濯槽クリーナーにも、さらには農薬や除草剤や配管の洗浄剤など、様々な劇薬の取説にはきっとおなじように「警告」としてこう記載されているはずだ。
「液を飲まない」
あるいは、自動車だ。私はいまだかつて自動車を購入したことがない。だからよく知らないが、もしかしたら自動車の取説には以下のような「警告」が記載されているのかもしれない。
「ガソリンを飲まない」
では、電子レンジはどうか。電子レンジは私も持っているが、取説をしっかりと読んだ記憶はない。私が見落としているだけで、じつはこれらの「警告」が記載されているのではないか。
「投げない」
「コンセントの差し込み口を鼻の穴に入れない」
「中にある丸皿をフリスビーにして遊ばない」
「本体の上に乗って踊らない」
「冷凍庫に入れて凍らせない」
「野球のホームベースとして使わない」
もういったいなにを読んでいるのか、わけがわからなくなるのだった。