映画『スクール・ウォーズ HERO』‐照英の「顔面」しか残らなかった‐

 

照英は犬に似ている。

チャウチャウに似ている。

土佐犬にも似ている。

ブルテリアにも似ていると思う。

要するに、「犬全般に似ている」ということなのだろう。

とにかく、なんだか物欲しげな潤んだ瞳が「もの凄く犬」って感じだ。

劇場版、というより「照英版」と言ったほうがいいだろう『スクール・ウォーズ HERO』であるが、これまで2度観た。ちなみに、2度とも途中から観た。2度とも深夜にテレビでやっているのをたまたま見かけ、まったく観る気はなかったが、気づいたら結局日が昇る時間になるまで観ていた。

それというのも、とにかく照英の「顔面演技」が凄まじく、目が離せなくなってしまったからだ。

泣く照英。笑う照英。怒る照英。

まあ。凄い。

言わば「闘魂」という名の気合いが入りまくった顔面なのであって、「顔面力」という意味では、ドラマ版における山下真司のそれを遥かに凌駕していた。

圧倒された。

というより、やっぱり犬だった。

思えばかつてのドラマ版では、大仰きわまりないストーリーに加え、大半の場面で泣いているか怒っているかで大忙しの熱血教師役・山下真司や、松村雄基演じる不良生徒・大木、さらには難病を抱えるラグビー部員イソップをはじめとした「やたらと死ぬ周辺人物」など、印象に残る場面なりキャラクターなりが数多くあったものである。だがしかし、この照英版『スクール・ウォーズ』に関しては、ストーリーにしてもキャラクターにしても、なにひとつ残るものはなかった。

正確に言えば、見事なまでに「照英の顔面」しか残らなかった。

ある意味、もの凄い才能だと思った。

そんなことを考えながら、アマゾンに表示されているDVDのパッケージに写る照英の顔面をあらためて眺めてみた。

やっぱり犬だと思った。

スクール・ウォーズ HERO [DVD]

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