映画『サボタージュ』‐「コントのような死に様」を観たい人は日本語吹き替え版での鑑賞を推奨したい‐

『サボタージュ』は4年前に公開された作品とのことだが、いつのまにかシュワちゃんがすっかり老けてて驚いた。

おじいちゃんだよ。

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しかも中井貴一を彷彿とさせるびっちり横分けのヘアースタイルである。全然似合ってない。べつに生真面目なゴリラのセールスマンの役とかでもないのに、なぜわざわざこんな髪型にしたのだろうか。

昔、ゴルフの石川遼が頻繁に髪型を変えていた時期があり、

「どの髪型も全然似合ってないなあ。つうか、なんでそんなにしょっちゅう髪型を変えてるんだ?」

などとスポーツニュース等で見かけるたびに思ったものだが、シュワちゃんのびっちり横分けヘアーも「髪型迷子」になっていたころの石川遼ぐらい似合ってない。

本作でシュワちゃんが演じているのは凄腕の精鋭たちが集う麻薬取締局チームのリーダーである。お馴染みの単純明快なストーリーでもって適度に肉弾戦やら銃撃戦が展開されるアクション娯楽作かと思って観てたら、これがわりとシリアスな内容で、そのうえやたらとグロい描写もあったりして驚いた。

「いつものポップコーンムービーとは違うぞ!」

みたいな意気込みはとりあえずいやがおうにも伝わってくる作品である。

ただいかんせんやっぱりびっちり横分けのおじいちゃんなので、サム・ワーシントンら比較的若くて屈強な体躯をした連中を引っ張る現役バリバリのリーダーってのはどうも説得力に欠けていたように思う。

さすがのシュワちゃんもいいかげん歳相応の役柄を演じるべき時期に差し掛かってきているのかもしれない。

たとえば、いまテキトーに考えて思いついたが、若いころにボディビルダーとして活躍し、その後映画界に進出しアクションスターとしての地位を確立したうえ州知事にまでなったものの隠し子がいることが発覚して離婚したりなんかしていろいろあってすっかり歳を取ったけど再びショービズの世界に舞い戻ってきました、みたいな人物なんかはまり役なのではないか。ちょっと現実味が感じられない設定のキャラかもしれないが意外にアリだと思う。

というどうでもいい冗談はともかくとして、とても冗談で済ませられないのは麻薬取締局チームのメンバーのひとりであるイケメン白人俳優の日本語吹き替えを担当している人間である。なにしろこれが幼稚園のお遊戯レベルのひどい棒読みなのだ。

で、この声をあてている人物、誰かと思ったら三四郎の小宮だった。

「さすがにこれはひどすぎだろ」

とイライラしながらしばらく観てたら、

「いったいどうなってんだチクショウ! うわあああああああああ!!」

と、いつもの小宮の声で断末魔の雄叫びを上げながら列車に轢かれてあっという間に死んでった。

なんだかコントのような死に様で笑ってしまった。

というか、マジで笑わせようとしていたのだろうか。

そういう意図でもってわざわざ吹き替えに小宮を起用したのだとしたら、吹き替えの配役を担当した人物はじつはものすごく有能な人なのかもしれない。