私はこれまでに排尿もしくは排便している最中の女の姿を何度か目の前で見たことがある。
なんだか変態男の独白みたいな書き出しになってしまった。
全然違う。
私はそっち系のAVにはまったく興味はないし、ましてや「のぞき」のような類の犯罪行為を行ったことも一度としてない。もちろん、過去に付き合った女のそういう姿を見たこともないし見たいと思ったこともない。違った種類の変態である可能性も捨てきれない人間ではあるが、少なくとも「そういう趣味」は私にはいっさいない。
だが、見てしまった。
一度目は高校生の頃で、バイト先のコンビニでの出来事だった。
その日、私はいつものように品出し作業をしていた。最中、不意に小便がしたくなった。
一旦、作業から離れ奥にある男女兼用の和式トイレに向かった。そしてトイレの前に到着すると勢いよくドアを開けた。
「きゃああああああああ!!」
びっくりした。
同じコンビニで働いているバイトの女だった。ガニ股の状態でこちらに尻を向けていた。
「うおおおおおおおおお!!」
びっくりして慌ててトイレのドアを閉めた。
やがてトイレから出てきた女は、赤らんだ顔で私に向かって開口一番こう言った。
「ちょっとお! なにすんのよお!!」
賢明なる読者の方ならば、このセリフが完全に間違っているという私の主張に同意していただけることだろう。
なんでカギをかけないんだ!
そうである。「ザ・正論」である。俺だって他人に小便やうんこしている姿を見られたくないよ。なのでトイレに入ったときは必ずカギをかける。あたりまえじゃないか。
当然ながら私はこの「ザ・正論」を持ち出して反駁した。
「いや、なんで俺が怒られるんだよ! カギかけて入れよ!!」
「へ?……ああ! ごめん、忘れてたあ!!」
2度目は数年前、ある音楽フェスに行ったときだった。
ここも男女兼用の和式便所だった。用を足したくなった私はトイレへ向かいそしてドアを開けた。
女「きゃああああああああ!!」
やはりガニ股の状態でこちらに尻を向けている女がいた。
私「うおおおおおおおおお!!」
だから、なんでカギをかけないんだ!
本当に勘弁してくれ。
ともかく、この2度の経験をしてあらためてわかったのは、私には「そういう趣味」はいっさいないということだった。件の女らにとっては不運であり屈辱的な出来事だったろうが、私は「目覚めなかった」。そういうことで許してほしい。
つーか、男女問わず便所に入るときはマジでカギかけてください!
……と、ここまで書いて思ったが、トイレのドアが閉まっている状態のときは表示錠の部分が青色であっても、まずはじめにノックするのが一般的なマナーなのだろうか…?
だとしたら完全に俺が悪い。
すいませんでした!!