YouTubeの「○○を歌ってみた」の人

最近、あるミュージシャンの方が気になってしかたがない。

いや、ミュージシャンというか、その方はおそらくプロではなく素人の方だろうから、「ミュージシャン」と呼ぶのは相応しくないかもしれない。ただ、歌を発表していることはたしかであり、とりあえず便宜上、「ヴォーカリスト」と呼ぼうと思う。

そのヴォーカリストは「pucuoさん」という方である。

YouTubeで「○○を歌ってみた」というタイトルの、素人の方がカラオケを披露している様子を収めた動画をよく見かけるが、pucuoさんもそのような動画をアップロードされているひとりだ。

 

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先日YouTubeで偶然発見して、なんとなく再生してみたのだが、このpucuoさんの歌がじつに魅力的なのだ。

どう魅力的であるのかというと、まあ、なんというか、ちょっと説明しづらいが、歌が上手いとかヘタとか、そういう話は置いといて、ともかく「個性的」だと説明するしかない。

「感想・アドバイスなどどんなことでもコメントもらえると嬉しいです」

と、pucuoさん自身のコメントが掲載されているので、本当は直接YouTubeのほうに書いたほうがいいのだろうが、面倒なのでpucuoさんには大変申し訳ないがこのブログに感想を書いてみることにする。

 

Funky Gutsman!/m.c.A・T

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アラサー・アラフォー世代にはお馴染みであろう、m.c.A・Tのヒットナンバーであり、私がはじめて耳にしたpucuoさんの記念すべき歌である。カラオケならではのチープなサウンドと、脱力しまくったコーラス音声が響きあう中、「生硬」「深遠」という言葉からは100億光年かけ離れた「ノリノリ」で「イケイケ」な歌詞をひたすらエネルギッシュかつ真剣な様子で歌い上げるpucuoさんにいきなり心を鷲掴みにされたのは言うまでもない。

なにしろ上手いっちゃ上手いが、そこはかとなくほの香る「素人くささ」がじつにいい塩梅だ。歌の最後、カラオケの音がフェードアウトしていくのと同時にpucuoさんの裏声も遠くなっていくところが、個人的にとくにお気に入りの部分である。

 

フーガ/ユニコーン

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ベースのEBIが作詞・作曲したバンドのベスト・アルバムにも収録されている楽曲。歌い出しからいきなりモタつき気味なのは、pucuoさんのはやる気持ちの表れか。その後もところどころピッチが微妙に安定していない様子が見受けられ、思わず心配してしまうが、それでもどうにか最後まで歌いきるpucuoさんに頭が下がる思いである。

 

ALONE/B'z

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お馴染みB'zのヒットナンバー。B'zの曲といえば歌うのに苦労しそうなイメージがあるが、上に挙げたユニコーンのと違ってピッチが安定しているし、高音の伸び具合もちょうどいい感じだ。ドヤ顔で悦に入っているpucuoさんの絵が浮かんできて、思わずイラッとせずにはいられない歌唱である。ただ、それもpucuoさんの「ALONE」が心に引っかかったということであり、そう言った意味でpucuoさんにはやはり「歌の才能」があると考えるべきであろう。

 

千の風になって/秋川雅史

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例のテノール歌手による大ヒットナンバーだが、高音の歌声が特徴的なpucuoさんからすればさすがに無理があったのか、低い声を出すのにかなり苦労している様子がありありとうかがえる。というか、あきらかに上手く歌えてないこんな代物をわざわざアップロードしなくたっていいじゃないか。

しかし、それでもわざわざそれをアップロードするのがpucuoさんだ。「感想・アドバイスなどどんなことでもコメントもらえると嬉しい」からそうしたまで、ということなのだろう。これもまたpucuoさんの魅力である。

 

キン肉マン Go Fight!/アニメ『キン肉マン』主題歌

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いきなり「ハッ!」「ハッ!」の連呼だ。じつに元気いっぱいな様子である。そりゃそうだ、なにせキン肉マンの歌なんだから、と言われればそれまでだが、そんなに気合を入れて歌わなくたっていいじゃないか。 

 

プロジェクトA/映画『プロジェクトA』主題歌

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気合みなぎる『キン肉マン Go Fight!』の熱唱に続くは、なんとも驚くべきことに流暢な中国語を披露しているpucuoさんである。発音的に合ってるのか、まあ、よくわからんが、ともあれ歌のほうはピッチも音程もばっちりな感じだ。ただ、前の日の夜に食ったナマモノかなんかに当たって腹でも壊していたのか、他の歌に比べてpucuoさんの声にやや元気がないのが気になるところである。

 

交響曲第9番/ベートーヴェン

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ベートーヴェンである。もはやなんでもありである。いったいどういう考えでこれらの選曲になったのか、さっぱり意図が不明だ。

単純に普段聴いてる好きな曲を歌った結果、このようなチョイスになったのか。そもそもマジでやっているのか、はたまたギャグのつもりなのか。 

いろいろと興味は尽きないが、なんにせよ幅がありすぎである。

 

他にもボン・ジョヴィの『Livin' On A Prayer』、X JAPANの『X』、森山直太郎の『さくら(独唱)』、いきものがかりの『ありがとう』、アニメ聖闘士星矢の主題歌など、山ほどの歌唱動画をアップロードされておられるpucuoさんであり、気になられた方はぜひチェックしていただきたい。そんじょそこらの歌手の歌では味わえない「個性」をとくと堪能できること請け合いである。