今までで一番衝撃を受けたロックミュージシャンの共演

MTVで放送されているアメリカやイギリスのヒットチャート系の番組をたまに見ることがあるが、ミュージシャン同士がコラボレーションした楽曲がじつに多いことに気づかされる。

「○○feat△△」やら「○○&△△」やら、とにかくやたらと多いのだ。

もちろん「話題になりやすい」という宣伝効果を狙っているのだろうし、あるいは単純にミュージシャン同士の交流がわりと積極的に行われているというのもあるのだろう。

とくにヒップホップ系のミュージシャンによく見られる傾向である。

数年前にもMTVのUSチャート番組を視聴中、リアーナ&カニエ・ウェスト&ポール・マッカートニーという異色すぎる3者によるコラボ曲がヒットチャートに入っていて驚いた。

 

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先日リリースされたゴリラズのニューアルバムでは、デーモン・アルバーンとノエル・ギャラガーの共演が実現した。「We Got The Power」という曲だ。

 

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個人的にこのふたりの共演にはなんとも感慨深いものを感じてしまう。

1990年代にイギリス音楽界でにわかに巻き起こったブリットポップムーヴメント。ポップで親しみやすい音楽性を志向するイギリスのロックバンドが雨後の筍のごとく現れ脚光を浴びることになった。そのブリットポップムーヴメントの代表的なバンドとして君臨していたのがデーモン・アルバーンが率いるブラーとノエル・ギャラガーが率いるオアシスだった。

私はブラーもオアシスも大好きであるが、この両バンド、なにしろ犬猿の仲と言えるほど対立した関係であったのだ。

両バンドのメンバーたちによる罵り合いはイギリス国内はもとよりここ日本でも洋楽雑誌などでひんぱんに報道され、しまいにはノエルが「ブラーのデーモンとアレックスはエイズにでもかかって死ねばいい」と発言。さすがにこの過激すぎるノエルの発言は社会的な問題にまでなり、その後、ノエルは謝罪することになった。

両者が仲良くなるなんて永遠にないだろう……誰もがそう思っていた。

ところが数年前、なんとデーモンとノエルは突如として和解。2013年にはデーモンとブラーのギタリストであるグレアム・コクソン、ドラムにはポール・ウェラーというスペシャルバンドにノエルがギター&コーラスで参加し、ブラーの「Tender」を演奏するという形で夢のコラボが実現した。

 

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「エイズ発言」の頃には考えられなかったまさに奇跡のような出来事であった。今でもこの動画を観ると胸が熱くなるばかりだ。

現在ではマブダチのようにしょっちゅう飲みに行っているというデーモンとノエル。さらにノエルによると、いずれ自身の曲のレコーディング時にデーモンがなんらかの形で参加する構想もあるとのこと。じつに楽しみでならない。

ただこれ以上にある意味衝撃を受けたコラボがある。

ずいぶん昔、新宿のブートショップで私は問題の映像を手に入れた。ブラジルのリオで行われたニルヴァーナの野外フェスライブである。

例によってぶっきらぼうな様子で演奏するヴォーカルのカート・コバーン。今のようにインターネットで手軽に動画を観るなんて想像すらできない時代であり、私はテレビ画面に映るニルヴァーナのパフォーマンスを宝物を眺めるかのごとく鑑賞していた。

ステージも中盤も差し掛かったころであろうか。突如としてステージにひとりの男が登場してきた。

レッチリのベーシスト、フリーであった。

しかもなぜかフリーが手に持っているのはベースじゃなくトランペットである。

 

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吹くのか。

なんとも意外な形の共演である。とにかくこれは夢の共演だ。

そして、カートがギターをかき鳴らした。ご存知ニルヴァーナの代表曲、「Smells Like Teen Spirit」だ。私の興奮はいよいよ頂点に達する……はずだった。

「♪プヒ~」

いったいなんであるのかこの音は。

もちろんベースの音ではない。

トランペットの音だ。

お世辞にも上手と言えぬ吹きっぷりであった。

しかも曲が2番になると音を盛大に外しているではないか。

へっぽこというしかない演奏だ。

なんだ。なんなんだこれは。

爆笑した。

 

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いったいどういうつもりだったのかと今でも思う。

単なるおふざけだったのか。あるいは「マジ」だったのか。

つい先日、我が国が誇るガールズへヴィメタルバンドBABYMETALがアメリカでライブを開催したらしいが、その際、レッチリメンバーとのスペシャルコラボレーションが実現したという。

 

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もちろんこのコラボにはフリーも参加していたとのことだ。

果たしてフリーのへっぽこトランペットはまたしても炸裂したのであろうか。

動画を観てないのでよくわからないが、炸裂していないことを祈るばかりだ。