去年の12月に観に行った映画の感想文です。
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』

税務署の職員やってるおっさんと7人の詐欺師どもがひょんなことからチームを組んで脱税している大企業の社長のおっさんを懲らしめようとあーだこーだするお話です。まあ、タイプとしてはよくある勧善懲悪モノなのですが、ひとりひとりのキャラが立ってるし、終始程よい緊張感があって、且つ、コメディパートもくどくない程度に盛り込まれていてクスっとしたし、詐欺師がテーマの作品らしく意外な展開からスカッとした気分にさせてくれるオチも含め、全体的によく出来たエンタメ作品となっておりました。『カメラを止めるな!』だけの一発屋じゃなかったんだな。いや、個人的に『カメラ止めるな!』はつまらなくないが絶賛するほどでもみたいな感じだったのだが、とりあえず上田慎一郎監督には今後も期待したいと思いました。
『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』

旅先で仲良くなった家族に招かれ家に遊びに行ったらこいつらヤベー奴らでした、みたいな5月頃に公開された『胸騒ぎ』という映画のハリウッドリメイク。中盤まではほぼ完コピという流れが終盤に入った途端、一気にオリジナリティを出してきます。まあ、いかにもハリウッド製っぽいあるあるっちゃあるあるな展開なのですが、元作の陰鬱なエグ味はしっかり残しつつ、わりかし意外な形でスカッとさせてくれたりもして予想してたよりも楽しめました。私はエンタメ大好き人間なので、元作よりこっちのほうが好きです。
『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』観た。予想よりも全然良かった。オリジナルをほぼ完コピした静謐ホラーからドンパチ上等の派手めな展開に突入。なので終盤だけ浮いてるがオチの「お前が○○のかよ」なアレとか細かい工夫が施されてて、且つ、エグいカルト感も一味違った形で見せてて感心した pic.twitter.com/zkKpuKdB9J
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2024年12月14日
『私にふさわしいホテル』

華々しい未来が約束されていた女流作家が大御所のジジイ作家に酷評されて文豪界隈からフルシカト状態になったものの「あたしゃ負けねえ!」みたく名前変えて再デビューしてついでだからジジイに復讐してやんべえ、みたいなことになってくお話です。と、ここまで読んで勘のいい人ならお気づきでしょうが、あたかも能年玲奈(「のん」ではなくあえてこう書かせていただく)のこれまでのキャリアをトレースしたようなお話でした。魂を感じさせる演技というか、キャラクターと同化したようなと言っても大袈裟ではないというか、なにしろ能年玲奈の輝きっぷりがハンパではない。あくまで軽妙洒脱なエンタメ作ですよーという姿勢を取りつつ終始中指立ててるみたいな、能年玲奈と本作の監督をはじめとするスタッフたちの覚悟が伝わってくるようなエネルギーに満ちていて、おもしろくて、尚且つ、かっけえ作品だなあ、と思いました。
『私にふさわしいホテル』観た。主人公の女流作家と意地悪ジジイ作家が繰り広げるコミカルなやり取りが終始楽しい。そして能年玲奈がピカピカに輝いている映画だった。とにかく実にエネルギッシュで生き生きと演じておられたのが印象的。キャラクターに命を吹き込む演技とはこういう事を言うのだろうな pic.twitter.com/oRqYEgW40d
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2024年12月27日
『満ち足りた家族』

「モラルなんて知るか!」みたいないけすかない弁護士の兄と「弱気を助け強きをくじくぜ!」みたいなクソ真面目な医師の弟という真逆の性格してる兄弟のそれぞれの子どもらがある日とある重大な犯罪をやらかして「ハァー困っちゃったなァ」みたいなことになってくお話です。狩人兄弟や若貴兄弟を彷彿とさせるまるで馬が合わない兄弟やら、くだらないことでいがみ合ってる嫁さんらやら、親の心知らずなガキんちょどもやら、イヤーな人間関係がばっちり遠慮なく描かれていて、「ああ俺らだわコレ」みたく嫌いな兄や弟や兄嫁や弟嫁の顔を思い浮かべてしまう人も結構いるのでは、ヘタなホラーよりよっぽど怖いなー、嫌だなー、と思いました。で、トドメのビックリなオチ。「いやー嫁もガキも持たない人生で良かったなあ。まあ、持ちたくても持てないけどな。ガハハ」みたいなことを心底思わされました。
『満ち足りた家族』観た。「あの会話が伏線になってたとは…」と、すっかり忘れてたアレをぶち込んできたオチにとにかく驚かされた。地味っちゃ地味だが、人物描写並びにシチュエーション的にもリアリティがあり、ヘタなホラーよりよっぽど怖い。「人の親になるのって大変だなあ」と心底思わされた。 pic.twitter.com/NEzzHJY0JZ
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2024年12月29日
『市民捜査官ドッキ』

振り込め詐欺に引っかかったおばちゃんがお仲間のおばさま軍団とともに詐欺師の拠点である中国に乗り込んで…というお話。「衝撃の実話」と謳っているだけあってかなりエグいお話でした。なにしろ私の母もじつは振り込め詐欺に引っかかりかけたことがあるので、実態とか観るに、いやこいつは恐ろしいなと肝を冷やした次第。とはいえ映画ですからねー、まああんまり肩肘張らず楽しんでちょ、みたいな感じで結構笑わせに来ます。エンタメ至上主義の私としては大正解、と言いたいところですが、なんだかこれがベタすぎる笑いで作品のトーンがチグハグになってしまっているように感じてしまいました。べつにクソ真面目にやれと言うつもりは毛頭ありませんが、笑いを入れるにしてもバランスが大事と思った次第。
『市民捜査官ドッキ』観た。実話ベースなので展開が読めてしまい、韓国映画らしいエグい暴力描写もあるにはあるがドキドキハラハラとまでは行かず。コメディパートも思ったほどハマらなかった。普通に面白いが突出した部分はない。ただ一生懸命楽しませようと頑張っていたガッツは買ってあげたい。 pic.twitter.com/DOkas9Wxjs
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2024年12月30日
以上。疲れた。おしまい。