2024年8月の消化物(映画)その2

ぶい〜ん。原付バイクの音真似をしてみました。8月にもぐもぐしたやつの後編です。

 

『フォールガイ』

撮影中の事故が原因で失踪したイケメンのスタントマンが映画監督やってる元カノとヨリを戻すために超がんばるお話。簡単に言っちゃうと「古き良きハリウッド映画万歳!」みたいなロマコメだが、イケメンがとある陰謀に巻き込まれるという捻りがある謎々設定が効いていて、テンポも軽快、尚且つ、キャラクターも総じて魅力的で、しかもスタントマンという知ってるようでよく知らない職業の知識まで得られることが出来るしで、「あー楽しいなーハリウッド映画って」という気分にまんまんに浸れた。最近流行りの家父長制とかLGBTQみたいなのがテーマの深刻な映画を否定する気はないが、個人的にはこういう頭からっぽにして楽しく観られる映画がもっと作られてほしいなと思う。

 

『エア・ロック 海底緊急避難所』

州知事の娘やってるねーちゃんが恋人と友達と世話役のおっさんと一緒に卒業旅行へ向かうため旅客機へ→トラブルが発生して旅客機が墜落→海底にドボン→「水圧ヤベー!」&「酸素少ねー!」&「サメだー!」のトリプルパンチでヒェー助けてー! みたいなことになるお話。このトリプルパンチの設定自体はなかなか変わった感じで良いなと思ったが、ねーちゃんの自立物語というあるあるな展開すぎてせっかくのアイデアが生かされてないように感じた。取り立てて魅力的なキャラクターがいないのもしんどい。ただ、「志村うしろー!」のシーンでは大いに笑わせてもらった。ドリフ好きは必見であろう。

 

『デッドストリーム』

炎上系YouTuberが過激な動画が原因でスポンサーやファンからタコ殴り状態になり一発逆転をかけて幽霊が出るという曰く付きの廃墟に侵入していざ生配信をはじめるが……みたいなお話。これはおもしろかった。なにしろ馬鹿馬鹿しくて大変よろしい。もちろん幽霊が出てくるのだが、まさかのおっさんとのぶん殴り合いが笑える。視聴者とのやり取りも絶妙で「わーいインターネットだ!」って感じが楽しすぎる。なんというか、「今」という時代性を存分に生かしたPOVホラーという感じ。好き。

 

『サユリ』

仲良し一家が夢のマイホームに越してきたはいいが、謎の怪異によって、ひとり、ふたりと家族が次々と冷たい肉塊と化してゆき、最終的に残ったのは高校生の息子とババア、さあどうなる?!……みたいなお話。これは私が大好きな話の途中で展開がガラリと変わる系のやつだった。なにしろまったく予想もつかないぶっ飛んだ展開になる。それでいて、「なんかヘンな映画作ってみたよー」みたいな押し付けがましさがなく、なんだか漫☆画太郎みたいな世界観というか、清々しささえ感じさせる圧倒的なエネルギーに満ちているのが素晴らしい。いやあ、元気をもらえた。とにかく本年度最優秀ババアの筆頭候補の名演をぜひご覧になっていただきたい。楽しいぞ。

 

『ソウルの春』

大統領暗殺後の政権争いを描いたお話。こういう史実を元にした歴史大作みたいなのははっきり言ってあまり好みではないのだが、重厚なお話ながらも説明過多感はなく、しかし要点はしっかりと押さえられてて、そのうえテンポ良く進んでいくので、私のような無知な人間でもすいすい頭のなかに入ってきた。エンタメ作としてもしっかり成立しているのも好感。そして、ファン・ジョンミンは「ヤベー奴」を演じさせたら天下一品だなあ、とあらためて思った。

 

『箱男』

わりと遠目の場所にある映画館へ度付きのグラサンかけて意気揚々とバイクで出向いたはいいが、着いてから替えのメガネを忘れたことに気づき、さりとて着いた途端に取りに帰るわけにもいかず、結局グラサンをかけたまま映画館のスクリーンを凝視するハメになってしまった。当然ながらこんな経験ははじめてである。で、画面が明るい場面はやや暗く観えるもののまあとくに支障はない。しかし、画面が暗いシーンになるとかなり暗くて結構観えづらく、しかも運が悪いことにモノクロのシーンが多い作品で、これがもうどうにも観えづらくて仕方がない。というのが原因というわけではないが、なにしろ難解なお話で私にはなにがなにやらほとんどさっぱりな感じだなあ、と暗い劇場のなかでグラサンというアホ丸出しの姿で思った。

 

以上。疲れた。おしまい。