恒例のもぐもぐしたやつの感想文。今月はもぐもぐしたのが多めなので2回に分けて書く。まずは音楽と映画の感想文から。
【音楽】Scoobie Do『Tough Layer』
フルアルバムとしては3年ぶりの15作目。まあ簡単に言ってしまうとファンキー&メロウないつもどおりのスクービーだがとにかく曲が良い。ギターやベースのフレーズだったりメロディラインだったり、どの曲にも耳について離れないキャッチーなフックが含まれていて、すこぶるポップ。そしてなにより中年の悲哀がたっぷり詰まっている。とくにラストの「荒野にて」がとても良い。説教臭く感じてしまう人もいるかもしれないが、私はこの曲を聴くとなんだか泣けてきてしまう。個人的には10th『何度も恋をする』以来の会心のアルバム。
【音楽】ミューズ『Will Of The People』
こちらは4年ぶりの新作。うーん、こっちのほうはスクービーと違ってあんまり良くない意味で「いつもどおり感」がある。相変わらずのハイテンションぶりでバキバキやらかしててそこいらへんには好感を持てるが、なんだかどの曲もいまいちパッとしない感じがしないでもない。ただライブで聴くとまた印象が変わりそうな曲はちらほらあったりする。
【音楽】マーズ・ヴォルタ『The Mars Volta』
で、こちらは再結成したマーズ・ヴォルタの10年ぶりとなるアルバム。インプロ的な異次元サウンドが余裕で10分以上続くようなぶっ飛んだ曲とかないし、ミドルもしくはスローめなテンポの曲が多いし、オマーのギターも全体的に控えめだしで、聴きはじめのころは「なんだかおとなしい感じになっちまったな…」みたいなネガティブな印象を受けてしまったが、めげずに聴き込んでたら「あぁなるほど、これはマーズ・ヴォルタ流の歌ものアルバムなのか」と思えるようになった。ようするに「聴かせるメロディ」に重点を置いたアルバムであり、そして私はわかりやすいメロディで構築されてる曲が大好物な人間なので、これはこれで嫌いじゃない。つーか結構気に入った。ただ復活一発目のライブ映像がネットに上がってたので観たが、まあ既に知ってはいたが全盛期のパパイヤ鈴木を彷彿とさせるセドリックの風貌にやっぱりショックを受けてしまった。一応「動けるデブ」だったので少し安心したが、さすがにもうちょっと痩せてほしい。
【映画】『ブレット・トレイン』
コメディ色が強いアクションサスペンスというあるある系の作品ながら高速列車内でドンパチが行われる密室劇というところがなかなかに新鮮で良かった。「えっ、この人も?」みたいな大物ゲストがわんさか登場するし、豪華絢爛でノリが良いザ・ハリウッド映画という感じ。そして相変わらずブラピが超カッコいい。中身は一切ないがこういう幕の内弁当みたいな映画を劇場で観られるとなんだか得した気分になる。
『ブレット・トレイン』、まさかの山下真司登場なさそうと思ったらやっぱりなかった。 pic.twitter.com/2UxdRo57SY
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2022年9月3日
【映画】『地下室のヘンな穴』
50代くらいの夫婦が入ると時間が12時間進むかわりに肉体が3日若返るヘンな穴がある地下室付きの新居物件に越してきて、当初は「フーン。なんだかよくわからんが、ま、いっか」くらいでとくに気に留めてなかったが、そのうち嫁のほうが「アタシ若返ってやるわ! そしてモデルになる!」とかトチ狂ったことを言い出して穴に入りまくるようになる。一方、旦那の勤め先の社長で夫婦の友人でもあるおっさんが「ジャポンの病院で機械のおちんちんを付けてもらってきたぜ!」とかこれまたわけのわからぬことを抜かしてきて……みたいなお話。監督はカンタン・デュピューという人で、彼が撮った『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』というめちゃくちゃぶっ飛んだ内容の映画を少し前に観た私は珍しく興奮して感想文を書いた。というわけで満々に期待して観に行ったわけだが、うーん、悪くはないがオチがよくある感じの風刺っぽくてちょっとなー。そういうのは他の人に任せて『ディアスキン』ばりに狂ってるヤツが欲しかった、というのが正直なところ。いや、機械のおちんちんが故障・炎上するシーンとか大変馬鹿馬鹿しくてとても良かったが…。
『地下室のヘンな穴』
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2022年9月3日
うーん、ちょっと期待しすぎたか。つーか途中から穴よりも社長の電子ペニスのほうが気になっちゃってだね…。 pic.twitter.com/l6BNdRxXlC
【映画】『この子は邪悪』
一家が交通事故に遭って全員一命を取り留めたものの、父は身体に障害が残り、母は意識が戻らず病院で点滴を常時繋ぎっぱの植物人間に、さらに次女はヤケドを負った顔を隠すため常に仮面を被り家から一歩も出ない生活をしていて、一方、長女だけは五体満足の身でひとり罪悪感を抱えている。そんな日々が5年ほど続いたある日、意識が戻った母が家に帰ってくるが「なんか顔違くね? あっ、事故ったから整形したんだったね。フーン。なるほどですねー。いやでもなんかやっぱりヘンだよなー。……つーか別人じゃね?」となぜか長女だけが違和感を覚えて、で、その「なぜか」にはじつはこんなカラクリがあって……みたいになってくお話。魅せるというより精神的にじわじわ来る系のホラーで、不穏な雰囲気が満々で良かったし、まあまあ驚きの展開もあったり最後まで展開が読めない・飽きさせないお話でなかなか好きなヤツだった。オチがちょっと都合良すぎではと思ったが全然及第点以上。フツーにおもしろかった。
『この子は邪悪』
— とんちの人 (@tonchinonaka) 2022年9月6日
カルトの匂いがプンプンするホラー映画でございました。しかもすこぶるデキが良いヤツ。ジャニーズの人にも容赦なしでゾクゾクした。いやーこれは楽しかったな。 pic.twitter.com/dGsHSN4ktZ
というわけで続きは次回。
以上。疲れた。おしまい。