昨晩は完全に脳がやよい軒モードになっていた。ただ、なにぶんこういうご時世である。混んでいたら諦めてテキトーなところでテイクアウトして帰ろうと考えていた。いたのだが、ラッキーなことに空いていたので入店。オーダーしたのは「牛・豚・鶏のスタミナ肉盛り定食」というやつである。
はじめて食うメニューだったが、味はまあそれなりだった。やよい軒に過度な期待をしてはいけない。
とはいえ、味はそれなりだったものの私は大変満足した。なにしろ「牛・豚・鶏のスタミナ肉盛り定食」を食えたからである。私はスタミナが著しく不足している人間で、とくにメンタル面のスタミナがほぼほぼ皆無な人間だ。スタミナを充填することイコール私がこの世の中を渡っていくための最重要事項と言っても過言ではない。スタミナのためなら味なんてこの際どうだってよろしい。
ところで、やよい軒の店内BGMといえばジャズである。私は音楽をこよなく愛する人間でありながらジャズに関してはほぼ門外漢なのだが、それにしてもまったくもってジャズはいい。
単純に落ち着いてメシを食えるってのがまず良いし、やよい軒のくせに、って言ったらアレだが、店に入りジャジーなサウンドを耳にした途端、なんだかちょっとばかりオシャレな空間に紛れ込んだような気分になる。
私がふだん行きつけにしているやよい軒の目の前にはマルエツがあり、店内から外に目をやるともうおもいっきりTHE日本と言うしかない庶民的な光景が広がっているのだが、ジャズの効用で心はニューオリンズに飛んでいる。自転車の前カゴに大根を積んでるババアが見えても心はニューオリンズである。
それにしても、これがユーロビートやスラッシュメタルがガンガン流れていたらと考えるとゾッとする。
とてもじゃないが落ち着いてメシを食う気分にはなれそうにない。むしろ想像しただけでなにかに駆り立てられているようなせわしない気分になってしまう。
しかしながら逆に考えれば、客が長居しがちな飲食店は、あえてユーロビートなりスラッシュメタルなりをガンガン流してみるのもアリかもしれない。おそらく、客の誰もが居たたまれない気分になり高速でメシをかっこみとっとと退店していくはずで、結果的に店の回転率は確実にアップするはずである。
まあ、もしそんな飲食店があったら俺は店に入るなりすぐにUターンして、以降絶対に寄り付かなくなるでしょうけど。