映画『ポリス・ストーリー/香港国際警察』ーこんなご時世だからこそジャッキー映画をテレビでばんばん放送してほしいー

かつて我が国において「暴暴茶(ボウボウチャ」という飲料水が販売・流通していた。

ジャッキー・チェンが製作したという触れ込みのお茶である。

本人出演のCMも大々的に放送されていた。

当時のジャッキーは全国の少年たちの憧れのスーパーヒーローだった。そして私もそんな少年のひとりであり、当然ながら「暴暴茶」を買い、そして飲んだ。

で、肝心の味である。

これがはっきり言ってよく覚えていない。

とりあえず、とくに美味くはなかったはずだ。美味かったら今でも売られているだろうからだ。

とにかく、「本人製作」というあきらかに嘘くさい謎のお茶がフツーに自販機で売ってるぐらい、当時のジャッキー人気は凄まじかった。

そんなジャッキー・チェンの代表作『ポリス・ストーリー/香港国際警察』をひさびさに観た。

 

うん。やっぱりいいねえ、この頃のジャッキーは。

なーんも難しいこと考える必要がない。正義の味方ジャッキーが悪い奴らをぶっとばす。それだけ。

しかもとびきりのアクションで悪い奴らをぶっとばしてくれる。昨今の映画でよく観られる、ブレの激しいカット割りが特徴的なアクションも、あれはあれでありだと思わんでもないが、「なにやってんだかよくわかんねえよ」という難点があったりする。

かたやジャッキーのアクションはとてもわかりやすい。しかも唯一無二のオリジナリティがある。本作における有名なショッピングモールの電飾ポールから滑り落ちるアクションなんて3回も連発で見せてくれる。

同じシーンを3回も連発で見せるなんて、この時期のジャッキー映画とドッキリ番組で芸人が落とし穴に落ちるシーンぐらいだろう。

つまり、観る人をドッキリならぬドキドキさせる魅力、それがこの時期のジャッキー映画のアクションにはあるのだ。

あとジャッキーといえば表情が豊かなのがいい。ジャッキーほど喜怒哀楽がはっきりしている人もそうはいない。

「喜」のシーンでは「ニカっ」ていう表現がぴったりな愛嬌溢るる笑顔を作り、「怒」のシーンでは絵に描いたような「懲らしめてやる!」っていう顔をする。「哀」ではいかにもしょんぼりとした顔、そして「でへへ〜」というマンガの吹き出しを付け足したくなるような表情で「楽」を表現する。

単純明快。わかりやすいったらありゃしない。だがそれがいい。

かつてはテレビのゴールデンタイムと言われる時間にジャッキー映画がしょっちゅう放送されていたものである。

こんなご時世だからこそジャッキー映画ゴールデンタイム放送を復活させても良いのではないか。私のような中年は懐かしみながら楽しんで観るだろうし、現代の子どもたちにもその魅力が伝わるはずだ。

ただ、暴暴茶は復活しなくていい。